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第1場つづき ボルマン登場
ノックをしてボルマンが会議室に入ってくる。
ボルマン敬礼。それに合わせてゲッべルス、ヒトラー敬礼。
ボルマン「おはようございます総統閣下」
ヒトラー「おはよう」
ゲッベルス「おはようボルマン君」
ボルマン「早速ですがご報告がございます。うれしい知らせです。ベルリン市街地にて抗戦中のわが軍は、圧倒的物量で迫る敵を戦車を使って食い止めることに成功いたしました。また内通者と思しき市民15名を捕縛、一部をその場で射殺いたしてございます。現在は収容所にて残りの内通者についての詳細を尋問中です。 総統閣下、これによりわが軍は必ずや今後の反撃の糸口をつかむことができるでしょう」
ヒトラー「おお、すばらしい。 ボルマン君、きみの報告はいつも私を奮い立たせてくれる」
ボルマン「光栄にございます」
ヒトラー「このようなときに頼りになるのは、やはり君のようなゲルマン魂をもった生粋のナチス党員だけだ。他の者たちは皆自らの命可愛さにベルリンを脱出してしまったが、君だけは違う。これからも良い報告を期待しているぞ」
ボルマン「かしこまりましてございます」
ゲッベルス「しかし、報告の通り食い止めたといっても一時的なのでしょう?補給をしなければすぐに突破されてしまう」
ボルマン「すでに陸路と空路にて援軍を要請中です、御心配には及びません」
ゲッベルス「その無線も傍受されている可能性がある」
ボルマン「敵方にそのような動きはありません」
ゲッベルス「仮に援軍が来たとしてもソ連と連合の強固な包囲網をかいくぐるのは至難だ」
ボルマン「戦車の量産を急がせます。兵の確保も年齢枠を緩和したおかげで順調です。 ゲッベルス閣下、あなたは戦線の心配よりも、国民にいち早くこの知らせを伝えるために原稿の草案などをされてはいかがでしょうか。後の事は総統閣下と私が引き受けます」
ゲッベルス「総統」
ヒトラー「ゲッベルスそうしたまえ。草案は今の報告の通りにするのだ」
ゲッベルス「分かりました、総統」
ボルマン「報告の書類はもうあなたの部屋に置いてあります。熱い紅茶も砂糖菓子も用意するようにしてございます。誰にも邪魔されることなく静かに集中して書けるよう手配いたしました。さあゲッベルス閣下、お早く、良い草案をお願いします」
ゲッベルス立ち上がり去ろうとする。
ゲッベルス「用意がよいのだな君は」
ボルマン「ありがとうございます」
ゲッベルス去る。
ボルマン「総統閣下、その後のお体の具合はいかがでしょうか」
ヒトラー「ああ、君のおかげでだいぶ良くなったと思う。昼夜を問わぬ爆撃のせいで酷かった耳鳴りもこのところ治まっているし、手の震えも起きなくなってきたようだ」
ボルマン「それは重畳でございます。よい薬と医師を見つけるのは苦労しましたが今のお言葉でそれが報われたように存じます。今後も何かお困りのことがございましたら何なりとこのボルマンに申しつけください」
ヒトラー「何から何までなんと心強い男だ。我が秘書として君を選んだ私の目に狂いはなかったようだ、しっかりと頼むぞボルマン」
ボルマン「かしこまりましてございます、総統閣下」
続く
まだ全然短いんですが、お気軽にご意見ご感想どうぞー