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第1幕 1

どうも、六徳です。 

 もう一つの方が煮詰まってきたので、手慰みに戯曲を書いてみることにしました。



タイトルどおりナチスの話です。基本的に、史実に忠実に書いていきたいと思っていますが、進行の都合上、それとは若干異なったりする場面があると思います。気にしないでください(笑)

 

 まだ短いですが、ではどうぞー。

 1945年4月某日早朝 

 ベルリン 首相官邸地下壕の会議室

 円卓の中心に力なく座るヒトラー、それを囲むように士官たちとゲッベルスが座っている。


士官1「それでは総統、ソ連軍の軍旗を掲げた戦車が市街地に一歩でも足を踏み入れた時が正しいのですか?」


ヒトラー「・・・いいやナイン


士官2「ソ連の定時のニュースで官邸を包囲したと報告された時が頃合いでしょうか?」


ヒトラー「・・・いいやナイン


士官3「この官邸地下壕が爆撃を受けて、地上にその姿をあらわに晒して、ソ連がここに堰を切ってなだれ込んできたときが良いということですか?」


ヒトラー「・・・いいやナイン


士官123「では事を起こすのはいつが良いとおっしゃるのですか?はっきりとご命令ください。我々は必ずや総統の指示に従います」


ゲッベルス「まあ待ちたまえ諸君、総統はお疲れだ。今日はこの辺にしておこうじゃないか」


士官1「しかし、これは重大な問題です。ないがしろにはできませんゲッベルス閣下」


士官2「我々はナチとしての、支配民族ゲルマン人としての誇りを失いたくはないのです」


士官3「総統がここまで築きあげてきたドイツ第三帝国が、スターリンやチャーチルの手に掛かって砂城のように脆く崩れていく様を黙って見ているのは我々には耐え難く、我慢できません」


ゲッベルス「それは私も同じだ諸君、だが今は総統の心労も察して差し上げてはどうだろうか。このところ良い知らせと言えば、2日前にエバ・ブラウン女史がチロルのリンゴを使った手作りのパイを持ってきてくれたことくらいの他は、なにも慰めとなるようなことがないのだ。ドイツの痛みは総統の痛みだ。国が引き裂かれる痛みを国民に変わって享受しておられる総統のお疲れを少しでも癒して差し上げることを、今は優先するべきだと思う」


士官1「しかし、時間がありません」


士官2「敵はすぐそこまで迫ってきているのです」


士官3「我々が愛したこのベルリンは今や地獄の戦場と化しています。花という花がソ連の軍靴に踏みにじられ、建物という建物が連合の爆撃を受けて粉々になっています。逃げることはおろか、この官邸地下壕からおいそれと顔を出すことも今はままならないのです」


ゲッベルス「分かっているとも諸君。だからこそなおのこと総統閣下は健在でなければならないのだ。総統閣下があるうちはドイツ第三帝国が落ちることはない。だから安心して戻って休みたまえ」


 士官たちは渋々立ち上がる。しかしまだ出ていこうとはしない。 


士官1「総統閣下、せめて一言。せめて一言だけでもご指示を」


士官2「総統閣下のご命令がなければ我々は安心して眠ることはできません」


士官3「総統閣下、お願いいたします」


 ヒトラーはうつむいたまま答える。


ヒトラー「・・・とにかくだ。ソ連兵が目の前に姿を現したとき、それを合図に死にたまえ」


 それを聞いて、士官たちは右手を勢いよく高く掲げて敬礼。


士官123「ハイル・ヒットラー!」


 士官たちが出ていく。それを見ようともしないヒトラー。

 ゲッベルスはヒトラーの隣に座る。


ゲッベルス「親愛なる総統マインフューラー、あなたは優しいお方だ。私もその優しさに惚れたのです。いざというときは家族と共に最後までお供いたします、どうぞご安心を」


ヒトラー「ああゲッベルスそれはだめだ。お前がいなくなったらこのドイツを立て直す者がいなくなってしまう」


ゲッベルス「ゲーリングがおります、それにヒムラーも。あ奴らは停戦交渉にうってつけです、必ずやうまくやってくれるでしょう」


ヒトラー「あの二人は信用できない。ドイツを立て直すのはゲッベルス、お前でなければならない」


ゲッベルス「・・・また、あの男に話を聞いたのですね。どのようなことを?」


ヒトラー「ゲーリングはありとあらゆる財をかき集めて逃げ隠れする算段を整えているらしい。ヒムラーはあろうことか連合側と密会していた形跡があるという話だ。」


ゲッベルス「確たる証拠はあるのですか?」


ヒトラー「ない。だがあの男がそう言ったのだ。国家社会主義ドイツ労働者党官房長、マルティン・ボルマンがそう言ったのだ」


続く

まだまだ始まったばかりです。どうなるかはお楽しみに。

楽しんでもらえるように頑張りますー。

ご意見ご感想はお気軽にどうぞー。

ではではー。

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