絵本を開けば、 その2
王道? うん割りと好きだよ、いいよね。
魔王に攫われた姫を王子か勇者が助けに行って恋に落ちるとかさ。
トリップした子が勇者になって王子様といい感じになって恋に落ちるとかさ。
まぁ色々あるよね。
とりあえず王道が好きなわけよ王道が。
・・・・・・・・・・・・なんかコレ前にも語った気がする。
「よし一応聞いてやろう、役職は?」
「押し付けられたのなら、勇者かな。」
イヤっそうに答えられた。
しかも背景にある黒い燃えカスというか残骸というか・・・オイオイいくらなんでもバッドタイミング。
あれか、勇者のセリフから察するにあれか?
無理やり召喚されたけど理不尽すぎるその対応に我慢できず反逆的な?
なにその非・王道!いや王道ではあるけどマイナー・・・。
「で、アンタ見たとこ高校生っぽいけど・・・何?お仲間?」
切れ長の目がひたりとわたしを睨みつけた。
「いえ、Notお仲間。」
「アンタの足の下にいるの、この国の王・・・所謂魔王って奴なんだけど、どいたげたら?」
おっと、どうやら魔王というのは足蹴にされる運命らしい。哀れな。
そしてよくよく見てみるとおやおやぁ?オカシイナァ。
コレ、この前と同じ魔王じゃないですか。
「キミ、オレに恨みでもあるの?」
「いや・・・貴方が偶々わたしの出現ポイントにいらっしゃるだけかと、」
何ソレ笑える。
会話から何かを察したのか勇者が魔王を哀れみの目で見ている。何これウケル。
「あの巫山戯た国の次は魔王を・・・と思ってたんだけど、」
とそこで言葉を詰まらせる勇者。
え、もう召喚した国滅ぼしたあとですか。しかもその次に敵国まで滅ぼそうとかどんだけアクティビティー。
「・・・・・・・なんていうか、その・・・退いてあげたら?」
「え?・・・・・・・あ、スマン。」
すっかり忘れてた。
勇者の若干哀れんだ視線に魔王が居た堪れなくなったのは言うまでもない。