疑い
―――――――――――――――家
玄関開けると、
「お兄ちゃーーん、お帰りーー。」
妹がダイビング。
俺は妹を抱き抱えて尻餅をついてしまった。
「はぅ。寂しかったよ。くんかくんか。」
全身に衝撃が走るほどのブラコンぶりを見せられてしまった。紗季がこんな風になるのは何年ぶりだろうか。確か俺が中学生になった時だったはず。
「落ち着け紗季。とりあえずどいてくれ。」
………。
「おい、紗季。きいてるのか。」
「お兄ちゃん?なんでお兄ちゃんからお兄ちゃんじゃない匂いがするのかな?」
さっきまでとはなんだか雰囲気が違う。
「み、美帆のだろ。今日あったし。」
「違うよ。美帆ちゃんのとは違う。それにいつもより匂いが濃い。まるで密着したかのような……。」
っ!!なぜそこまでわかるんだこいつ。警察犬かなんかか。
「何で黙るの?ねぇ?…ねぇ?」
紗季は俺が女が絡むとたまにこうなる。兄思いなのはいいが、そろそろ卒業してほしいもんだ。
「わかったよ。言い訳させてくれ。」
紗季に今日あった出来事を話した。はじめは毛が逆立つぐらい怒っていたが話が進むにつれおとなしくなってきた。
「そう。別にその女とはなんもなかったんだね。そう。でも、気を付けてね。そう言う女は基本お兄ちゃんの優しさに漬け込んで騙してくるんだからね。」
「大丈夫だって。そんな娘には見えなかったし。」
「あまい!世の中を甘くみないで!」
「わかってるって。」
「むぅ。…お兄ちゃんになにかあったら私は……………。」
「ん、何か言ったか。」
「いや、なにも。さ、ご飯食べよ。」
その後、一緒にご飯食べて寝ることにした。