保健室で
―――――――――――――――保健室
来栖さんを保健室に連れてきたけど保健室の先生はいないようだ。
仕方ない。素人なりに応急手当てを施しておくとしよう。
「来栖さん。とりあえず今から氷袋とタオル持ってくるからそれで痛むところを冷やしといて。」
「うん。ありがとう。」
………………
………………
無言の沈黙が続いた。
怒っているんだろうか。
そりゃそうか。わざとではないにしても怪我をさせてしまったのだから…。一応もう一度謝っておこう…。
「「あ、あの…」」
やってしまった。なんともベタなことを。しかしどうする。譲るべき…だよな…。
「先言って。」
譲った。
来栖さんは先程のことを恥ずかしそうにしながら、
「…あの…、すいませんでした。自分からぶつかって勝手に怪我しただけなのに…。…その…迷惑でしたよね。ホントすいません。」
「なにいってんだよ。困った人を助けただけだ。感謝される筋合いはあっても、謝られる筋合いはない。」
それでも彼女は申し訳なさそうに、
「…そうですね。すいません。昔から引っ込み思案で人付き合いも上手くいかなくて……。」
そう言うと彼女はうつむいてしまった。
どうにかしてやりたいと思ってしまった。普段からそういう性格でいつも周りより損ばかりしてきた。だからこれからはやめようと思ってはいたがやっぱりそうはできないみたいだ。性分ってやつかな。だから、
「これから直していこう。俺も手伝うから。なっ、来栖さん。よろしくな。」
「はっ、はい。」
「それじゃあ、俺は教室戻るから。」
そう言って俺は教室に向かった。
―――――――――――――――教室
教室に戻ると皆席についていてものすごく注目を浴びてしまった。
そして、教材を配られ先生が色々と諸注意を言って解散となった。
帰ろうとした瞬間拓斗が近づいてきて突然、
「おまえあの娘とどうなったんだよ。襲ったのか?」
などとふざけたことをぬかすので一発殴っといた。
「いてーな。なにしやがる。」
「お前が変なこと言うからだろ。」
「まぁいい。で、どーなったんだ?あの娘との関係は。」
「もう一発殴っといた方がいいか?」
「おいおい!!まてまて!!別に変な意味でいってんじゃねーよ。」
「私にも聞かせてよ。その話。」
いつの間にか美帆までやって来た。
「別になんもなかったよ。ただ少しは仲良くなれたかなって。」
「そっか。」
「じゃー、帰るか。」
「そだね。」
「おう。」
そうして、みんなで帰った