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プロローグ
「昇、隣に引っ越してきた子よ。仲良くしてあげてね」
「うんっ」
昇と呼ばれた少年は母に促され、少女の元へ駆け寄った。
「はじめまして。名前、なんていうの?」
「…………」
少女はハイトーンの無い目で昇を一瞥すると、ぷいと他所を向いてしまった。
しかし昇は、少女の目先に立つと手を差し出して満面の笑みで言った。
「僕と遊ぼうよっ」
少女はおそるおそる手を伸ばし、昇の手を掴んだ。
「あ……そぶ……?」
初めて聞いたことのように繰り返す少女に昇も少々驚いたが、すぐに笑顔に還る。
「うん、遊ぼう!」
二人は手を取り合い、駆け出して行った。
初めての方、はじめまして。
他のコミュでもお世話になった方、久しぶりでございます。
くおんベアトリーチェです。
今回は主人公翁魅昇をはじめとして、個性を出していきたい作品です。
世界観こそ現実社会ですが、その中身は作者の頭の中同様混沌に満ちております。
最後までお付き合いいただければ幸いです。