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良薬は口に軽し・・・製薬の制約は重かった

※原作リスペクト作品です

※残虐・性的描写なし/対象年齢15歳以上推奨

※本小説の設定やキャラクターイメージはこちらから

https://akkin.site/?page_id=90

白いお兄さんの事務所から逃げ出したのは良いんだけど、どうしよう?

そもそも、何をすれば良いのか分からない。

そして今は小さくなっている状態。


まずは元の大きさに戻らないとダメよね?

でも、それこそどうしたら良いんでしょ?


一番の答えは「赤いキャンディー」を飲むこと。

それは間違いないはず。


とにかく、探すしかないわよね...

と、悩みながら歩いていると、長い柱が見えてきた。

森の木よりも高い...どうやって作ったんだろ?

ひょっとして、柱のてっぺんに神様が住んでいるとか?


何だろ?

興味本位で近づいてみる事にしたんだけど...


何これ?


森の中という場所。

大きく立派な木のふもとに、ドールハウスサイズの3階建ての一軒家。

1階部分は壁が半分無い、非常に変わった一軒家。

そこに不釣り合いな実験器具が並んだ机や棚。


一軒家の横には、巨大な柱...ではなく、鏡だった。

高さはかなりのものなんだけど、横幅は一軒家の10倍ぐらいかしら?とにかくでかい。

これ、どうやって立っているのかしら?

ひょっとして突き刺さっているのかしらね?


一番変わっているのは、一軒家の前には大きな機械があって、エンジン音が響き、パイプから黒い煙を吐いているのよね。


その機械の前に、どこかで見た事のある恰好をした人が立っている。

あ...あれは!


「え?あなたは...ひょっとして『死神博士』?」


そう。

パパが大好きだったシリーズものの一番最初の作品。

その番組の敵役の一人。

50年以上前のものだけど、小さかった私も思わず見入ってしまった人!


「むむむ!私の名前を知っている...君は誰だ?」


振り返って私を見る死神博士。

見た目は完全にあの人にしか見えない。


それにしても、こんなしゃべり方だったかしら?


「やっぱり死神博士だったんですね」


なんにしても、死神博士に会えてちょっと嬉しい!


「ふふふふ、お嬢ちゃん、ついに死神博士の前に来たな」

「『つい』も何も、初めましてだよね」

「そうとも言うな」


なんか違うなぁ~


「で、この私に何のようなのかな?」


あ~...用も何も、単にここまで来ちゃっただけなんだけど。

どうしようかと思って周りを見ていると、赤いキャンディーと青いキャンディーが入った瓶を見つけた。


「ひょっとして、大きくなったり小さくなったりするキャンディーを作ったのは死神博士ですか?」


「むむむ!どうして君はそんな事を知っている?君は誰だ!!」

「いや、誰だと言われても...」


話が進まない...

画面に「10分後」とか出て、この問題を一気に解決してくれないかなぁ~...


そんな事は起こるはずもないので、これまでの状況を説明しようとした瞬間、


「いや!みなまで言うな、分かっておるぞ!君は道に迷ってここまで来たんだな!」


なんでわかるの?

と、一瞬思ったけど、こんな森の中だから、当然か。


「よしよし、この虹色の脳細胞を持つ私には不可能は無いのだ!!」

「『虹色の脳細胞』って...それ、自分で見たんですか?」


思わず思った事をそのまま言っちゃった...


「お~!お~お~お~...」


と、急におでこをペシペシ叩きながらウロウロし始める。


「思い出せん」


なんかやだぁ~...こんな死神博士...


「ところで、道に迷ったのなら私の実験に付き合ってもらおうか」

「それ、どういう理屈ですか?」


唐突に話を変えてきた。

ま、ゲームなんだから仕方ないけど、強引よね。


「私の発明、『ビスコロキャンディーRS』の最終調整をしておるのだが、いかんせん中々進まなくてな」

「あの赤いキャンディーと青いキャンディーですか?」

「むむむ!どうして君はそんな事を知っている?君は誰だ!!」

「それはもう良いわよ!」


話が進まない。

ここで名乗ったら負けな気がするので名乗らない事にしよう。

これは仕様です!


「そういう訳で、配合の調整の為に、君には原液を飲んでもらう」

「...大丈夫なんでしょうね...」

「今までに失敗した事はないぞ?」


自信満々に胸を張って宣言してるけど、


「じゃあ、こんな実験する必要はないじゃないですか」

「甘いな。実験には失敗は付きものなのだ!」


言ってることがさっきと違う!!


「やっぱり失敗するんじゃないですか!」

「失敗を恐れていては科学は進歩しないのだよ!さぁ、我々の明るい未来のために!!」

「私の未来は明るくなりません!!」

「では、こちらに来てもらおう」


かなり強引に私を巨大な鏡の前に連れてくる。

なんか、毎回こんなパターンだなぁ~...


おそらくだけど、大きくなったり小さくなったりが分かるように鏡を置いたんだろうね。

もっとも、景色を見れば状況はすぐに分かるはずなんだけどな。


「はぁ~...分かりましたよ。実験には付き合いますけど、後で報酬をくださいね?」


こんなの、何か貰わなければ絶対損だ。


「よし!わかった!イカの怪人に改造してあげよう!!」

「そんなのは要りません!!」


なんで改造されなきゃならないのよ!しかもイカなんて絶対に嫌!!


「えっと、この赤い液体を飲めば良いんですね?」


赤い液体が入った瓶と、青い液体が入った瓶。そして、メモリの付いたスプーン...計量スプーンを渡された。


「そうだ。キャンディーの性能にバラツキが出ておってな...分量を確認しておく必要があるのだよ」


なるほどね。だから計量スプーンなのね。

てか、確かにばらつきがあるのよね。

既に体験済み。


「まずは赤い液体を3メモリ飲んで見てくれ」

「ところで、この大きな鏡はなんですか?」


めっちゃでかいんですけど。


「これは、被験者が自分の状態を確認する為のものだ。『大は小を兼ねる』からな」

「間違ってない気はするけど、こんなに大きなものにするのは間違っていません?」

「そんな事はないぞ。大きいという事には男の浪漫があるからな!」


女の子の私には全く浪漫を感じません。


「そもそも、大きくなったかどうかなんて、この家とかで比較できませんか?」


今までも鏡は無かったし。


「何を言う!比較対象は多ければ多いほど正確になるのだぞ?」

「大きい小さいの比較には、意味は無いんでは?」


今までも鏡は無かったし。


「意味は自分で決めるものだ!なので、意味が無い事はないのだ!」

「私の意味は私が決めるんですけど!!」

「その通り!君は君で意味を見つけるのだ!!」


なんか、もう疲れてきたわね。

もういいや。とにかく赤い薬を飲んでみよう。

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