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第3話:『世界のゴミ』
神宮寺結衣による粛清から数年後。ユーラシア大陸の跡地には、巨大な王国が築かれていた。その都市は、まるで神の御業によって一晩で作られたかのように、完璧な幾何学模様と、ガラスと鋼鉄の輝きを放っていた。
生き残った人々は、この新たな王国で暮らしていた。彼らは皆、神宮寺結衣が定めた「思いやり」という唯一の法律に従い、互いに助け合い、平和に生きていた。
しかし、彼らの心の中には、消えない傷があった。愛する家族や友人を、一夜にして失った悲しみ。そして、なぜ自分だけが生き残ったのか、という罪悪感。
彼らは、神宮寺結衣を畏怖し、同時に崇拝していた。彼女は、人々を救った救世主であり、同時に、人類の半数を滅ぼした破壊者でもあった。
人々は、彼女のことを「世界のゴミ」を掃除した、世界の創造主と呼んだ。しかし、彼女は、この新しい世界をただ与えたわけではない。彼女は、王国に「魔女協会」という組織を設立した。
そこは、女性だけが足を踏み入れることを許された場所。 そして、この世界で生きる全ての女性が、自らの力で未来を築くための、新たな試練の始まりだった。