国1:ベルモーシア公国
ベルモーシア公国(Principality of Bermouthia)
時代
リヴィアーナ暦470年 建国
法律
(海法・商法)
外国船が港を利用する際の税やルール、密輸や海賊行為は“海法”により最も重い罪とされ、捕まれば財産没収および終身拘束刑に処されることもある、商人ギルドとの契約と保護。
(魔導法)
公共の場での魔法実験は禁止(研究許可が必要)、
魔法による洗脳・催眠の禁止、魔導犯罪者には、“封魔の環”と呼ばれる魔力抑制具が装着される。これは王国時代の魔導封鎖技術を改良したもの。
(中立維持法)
外交的中立を侵す行動は重罪(他国の戦争に加担禁止)、
他国の民、兵士や商人の無断入国禁止、公国領内での他国の戦争行為(代理戦争など)禁止。
(奴隷法)
奴隷の売買禁止。
政治
中央集権型の君主制
軍事
軍の基本理念
実利重視・損耗回避・機動性優先
→ 長期戦を避け、短期決戦・奇襲・補給線の掌握を重視する戦い方
→ 無駄な消耗を嫌う(国力が他国より小さいため)
主力戦力構成
・ 第一魔導師団(地属性主力)
ゴーレム戦術(地形利用・物理制圧)
防御・拠点制圧戦に強い。
「地割れ」や地属性魔法による「要塞化」も可能。
・第二魔導師団(汎用魔導部隊)
水属性・風属性魔導師も配属。
船団のサポート(海上奇襲作戦)
陸海両用の柔軟な作戦行動に対応
・長槍騎士団
長槍と軽装馬を活かした中~遠距離突撃部隊。
地形制圧と奇襲に特化。
ゴーレムと連携して「動く城壁」のような陣形を組む
魔導船部隊
・海影小隊
2〜6隻程度の小型・軽量な魔導船を使う。
正規軍ではなく、特殊任務用部隊。
・基本任務:
→ 補給線遮断
→ 密偵・連絡任務
→ 奇襲陽動
・特徴
1隻に10~15人乗り、小型船。
隠密行動に特化。
魔導霧《潮影障壁》による認識阻害が生命線。
物量ではなく局地的・限定的な成功を狙う。
・ 軍全体の中での立ち位置
ベルモーシア陸軍(魔導師団・長槍騎士団)を支援する、裏方・サポート役。
正面戦闘にはほぼ関わらない。
・軍事上の弱点
物量戦に弱い
国力・人口規模で大国(チャウセシア等)に劣るため、
消耗戦・泥沼戦に持ち込まれると不利。
・閉鎖戦・城塞突撃に不向き
奇襲・陽動には強いが、真正面からの籠城戦では苦戦することも。
宗教
海神リヴァイアサン信仰
大公家も形式的、公的にはこの信仰を尊重している。ベルモーシアは種族の多様性があり、大公も海神信仰を強制はしていない。
港町広場にある小規模な潮鳴りの祠。毎朝、漁師が水をかけて祈る風習。年に一度「海神祭」が行われる。
この海神祭では他宗教の国民の参加も許されている(信仰対象が違っても、「海の恵みへの感謝」という共通の価値観で全員が楽しめる)。
信仰スタイル
漁に出る前に祈り、帰ってきたら感謝を捧げる。
「波が穏やかなのは、リヴァイアサンが眠っている証」とされる。
逆に海が荒れた日は“怒れる海神の目覚め”とされ、漁に出る者は祝詞を唱える。
海神リヴァイアサンへの祝詞『潮鎮めの言霊』
「蒼き海より目覚めし大いなるものよ――」
「渦を巻き、雷を呼び、波を裂きし神の王よ――」
「今ここに、我ら命を海に預けし者なり」
「貴き潮の巡りに感謝を捧げ、御怒りを静めんことを願う」
「風を鎮め、波を和らげ、我らを、再び穏やかなる波の中へと導き給え」
「リヴァイアサンよ――静かなる海にて、貴き夢を紡ぎ給え」
その他
ベルモーシア大公(レオニス・ベルモーシア十二世)が支配。
首都はツァダル。首都の人口約62,500人。高台にそびえる白塔と、魔導灯が灯る海辺の市場が象徴的な都市。海風と魔力の匂いが混じる、ベルモーシアの心臓部である。
ツァダル魔導学院という世界的に有名な魔法学校があり、多くの宮廷魔導士等を輩出している。
領内に主人公の生まれ故郷ハーハム村がある。
種族
国民の多くは人族だが、大公は種族間の差別に対し否定的であるため、
獣人や亜人間などと様々である。
国民性
レオニス・ベルモーシア十二世の影響下にあるため、非常に明るく友好的。
基本的にどんな種族に対しても気さくに話してくれる。
ベルモーシア公国の歴史的背景
ベルモーシア公国の背景
1. ベルモーシア公国の誕生と歴史的背景
大公レオニス・ベルモーシア十二世が支配するベルモーシア公国は、かつてチャウセシア王国の海洋属州として存在していた。
ベルモーシアは、海上貿易を主な収入源とし、魔法技術を駆使した魔導塔や港町で発展。表向きはチャウセシアの影響下で繁栄していたが、その実、ベルモーシアは常に支配と従属の関係にあった。
2. 支配と従属の時代(海洋属州時代)
税と軍事サービス:
ベルモーシアは毎年、海上貿易に関わる税をチャウセシア王国に支払い、税収の一部は戦争資金や宮廷費用に回されていた。
さらに、戦争時には魔導師団や長槍騎士団を戦線に送り、チャウセシア王国のために戦争の最前線として機能していた。
捨て駒としての役割
チャウセシア王国は、戦争で困難を抱えている時にベルモーシアを“支配下の兵力”として使っていたが、国内情勢が不安定になり支援を打ち切ることとなる。
3. 蒼の背信(※後述):裏切りと独立戦争
リグネイア連邦との戦いにおいて劣勢に立たされたレオニスはチャウセシアに援軍を要請。
支援打ち切りの理由:
長引く戦争による「国力の疲弊」と、「反体制勢力」との衝突などの結果、チャウセシア王国はベルモーシアへの支援を打ち切る。
(支援打ち切りの背景)
「財政難」「政治腐敗」「反体制派の台頭」→内部混乱の三重苦、自国の再建を最優先にした結果の判断。
しかし、この決断がベルモーシアへの裏切りとなり、国家間の信頼関係は完全に崩れる。
見捨てられたベルモーシア
若きレオニス・ベルモーシア十二世は、この裏切りに深い絶望と怒りを抱くこととなる。多くの仲間を失い、戦争を孤立無援で戦い抜いた。
この経験が、後のベルモーシア独立戦争を引き起こす要因となり、魔導師団の力を結集して自立への道を切り開く。
4. ベルモーシアの独立と中立
独立戦争の勝利:
ベルモーシアは魔導師団のゴーレム戦術と長槍騎士団の戦術を駆使して独立戦争を勝利に導く。
「陽動作戦」によってチャウセシア王国の戦力を削ぎ、ベルモーシアは独立を達成する。
中立を掲げる国家:
戦争に巻き込まれた過去を持つベルモーシアは、外交的中立を強く掲げ、他国の戦争には一切加担しない姿勢を貫く。
特にチャウセシア王国との関係は冷却し、以後の外交戦略は他国との平和的な共存を目指している。
5. ベルモーシアの国民性と大公の影響
レオニス・ベルモーシア十二世の影響:
現在の大公、レオニスは種族間の平等と国民の自由を重視し、どんな種族にも開かれた社会を実現。
彼の影響を受けた国民は、明るく友好的で社交的な性格を持ち、他種族との調和を大切にしている。
中立と自由を守る国家:
ベルモーシアは今も「中立国家」としてチャウセシア王国、その他の強国からの圧力に耐えつつ、国内の自由と独立を守り続けている。
レオニス大公が地属性魔法の使い手であるため、国内では海洋技術と共に魔法技術も発展し、魔導学院(ツァダル魔導学院)を擁する国となっている。
6. 現在の課題と展望
圧力と外交戦略:
チャウセシア王国からの圧力が常に存在し、ベルモーシアはその独立と中立を守るために様々な困難に立ち向かっている。
未来には、ベルモーシアを巡る外交的な問題や新たな戦争の危機が起きる可能性もある。
技術と魔法の発展
海洋技術と魔法技術の両立に成功しており、これを武器にした新たな商業圏や魔法技術の発展が今後の国の力を支える。
リグネイア侵攻戦
チャウセシア王国が北方リグネイア連邦への領土拡大を画策した際、属州ベルモーシアに対し先鋒として出兵命令が下された。
ベルモーシア軍はチャウセシア軍の尖兵としてリグネイア領土に侵攻したが、劣勢に陥り、チャウセシアからの支援も打ち切られた。
この裏切りが後の「蒼の背信(ベルモーシア独立戦争)」へと繋がっていく。
蒼の背信 リヴィアーナ暦746年 影月1日
ベルモーシアの陽動作戦(陸戦偽装)
陽動作戦(通称:海影の策)
陸上戦力への集中攻撃
・ベルモーシア軍は、あえて陸からの攻撃に戦力を集中させ、猛攻を仕掛けた。
・チャウセシアの判断ミス
この動きにより、チャウセシア側は「海戦警戒は杞憂」と誤認し、海上の守備兵を陸に振り分ける。
・海上奇襲の本命
季節風による自然な時化発生。荒れた海を利用した奇襲。
レオニスの本当の狙いはここにあった。静音性に優れた魔導船と航海術、認識阻害魔法を駆使し、荒波を越えて上陸。
手薄となった海岸線を突破。
・補給線の断絶
内陸深くへ展開した部隊が、チャウセシア軍の背後を突き、補給線を断つ。
勝利の決定
・戦力差を覆され多数の死者を出したチャウセシア軍が敗北。
・帰還後、チャウセシア王に反旗を翻し、「中立と自立」を掲げて独立宣言。
「蒼の背信」における“蒼”の意味
①【象徴的意味】
蒼=ベルモーシアの象徴色(公国旗・魔導師団のローブの色など)
海洋国家ベルモーシアにとって“蒼”は、「海」「魔法の理」「知性」の象徴。
また、魔導師団の制服や旗印に使われる色でもある。
②【感情的意味】
蒼=「冷たさ」「非情さ」「絶望感」
援軍を期待していたのに来なかった。
同胞が死んでいく中で、空は晴れ渡り、蒼かった。
「蒼天の下で見捨てられた」という詩的な表現でもある。
③【文学的・記録的意味】
戦後に記された書物のタイトルや歴史記録でつけられた通称
正式名は「ベルモーシア分離戦争」だが、人々は感情を込めて「蒼の背信」と呼ぶようになった。