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第二章:ナオト編「選ばれなかった理由」
ナオトは、自分の人生に「意味」なんて求めていなかった。
クラスで目立たず、特技もなく、声も小さい。
けれど、それでも彼は静かに「誰かを助けたい」と思っていた。
そして、ある日。
夢で見たとおりの黒いうさぎ——ロノウェと出会う。
「ナオト。君は“選ばれなかった者”だ。でも、それを恥じることはない」
「……じゃあ、なんで僕に話しかけたの?」
「選ばれなかったからこそ、届くものがある。見えるものがある。
それを使って、“選ばれた者”を導いてほしいんだ」
「選ばれた者って……誰?」
ロノウェは、少しだけ寂しそうに微笑んだ。
「君とすれ違った、あの少女だよ」