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第一章:「選ばれなかった少年」
舞台は、数年後。
かつてユウトと彼女が救ったこの世界に、またひとり、新しい少年が立つ。
名前は、ナオト。
クラスの誰にも特別視されない、いわゆる「モブ」と呼ばれる存在。
けれど、彼は夜な夜な“同じ夢”を見るようになっていた。
——赤い坂道、黒いウサギ、そして、誰かが倒れている。
ある日。
いつもの坂道の途中で、見たこともない少女とすれ違った。
「君……見えるの?」
少女は言った。
そしてその肩に、ロノウェがいた。
「おめでとう。選ばれなかった君が、世界を救う番だよ」
——そう。今度は、“選ばれなかった者”の物語が始まる。
誰かの祈りが、また新たな希望を生む。