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転生ショタ魔王、世界平和の為に家出する〜チートを持ったお人好しによる世直し旅〜  作者: 青 王(あおきんぐ)
第五章 ブリジア ギガンテス編

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87話 破壊衝動の理由


 ゴラムがギガンテスの復興作業を開始して暫く。

 着々と復興は進み、ギガンテスのシンボル"ギガントデッケー門"も完成しつつあった。



「この門、こんなにデカかったんだな。こんな物、よく壊したな」


「へへっ……! そうだろう?」


「いや、別に褒めてはいないのだが。それよりどうやって壊したんだ?」


「ん? 殴った!」


 ――さすがはゴーレム。めちゃくちゃ脳筋だな……。

 こんな分厚くてデカい門を壊そうというだけでもおかしいのに、それを更に殴って壊すとか意味がわからん。

 そして今は自分で壊した門を一生懸命、元に戻しているわけで……。

 なんと言うか、物凄く滑稽だな……。


「それで? 貴様はここの復興が終わればどうするつもりだ?」


「そりゃあ勿論、エル様について行くに決まってんじゃねぇか」


「それは駄目だ」


「えー! 何でだよォー!? いいじゃねぇーかよー!」


 俺がキッパリと拒否すると、ゴラムは門の修復をしながらも、こちらをチラチラと見ては不満そうな声を上げる。

 

 ――ったく、コイツは……。

 駄目に決まっているだろ?

 自分が何をしたのか忘れたのか?

 そんな奴がユーリ達と一緒に行動出来るはずがない。

 それにスカーレットは何故かゴラムの事を相当嫌っている様子だしな……。


「駄目に決まっているだろうが。よもや、貴様が犯した罪を忘れた訳ではあるまい?」


「まぁそうだけどよォ……。俺様だって、初めてエル様を見たあの日から、ずっと側にいてぇなって思ってたんだぜ?」


 ――くっ……何だそれは。プロポーズか……?

 童貞だから勘違いするぞコラァ……。

 それにしてもゴラムの奴……この姿になってからやけに可愛いな……。

 荒っぽくて生意気な口調は同じはずなのに、今は何故かムカつかない。どころか、心地良いとさえ思っている。


「気持ちは嬉しいが、それでも駄目だ。貴様は他にやるべき事があるだろう?」


「チェッ……。わーったよ! 俺様はこれから他の街も回って、出来る事をやっていくからよ。――――だからよ……。たまには……その……。会いに来てくれよな……?」


 ゴラムはそう言うと、作業を一度中断し、俺の前まで来てしゃがみこみ、上目遣いでそう言った。


 ――ぐはぁっ……!!

 上目遣いは卑怯だろう……ゴラムめぇっ……!!

 ていうかコイツ……ショタの俺の身長に合わせて、わざとしゃがみやがったな?

 どこで覚えたか知らんが、男心を掴む方法を心得てやがる……。


「わ、わかった。たまには様子を見に来てやる。だからその分、頑張るのだぞ?」


「マジ……!? やったぜぇ! 俺様、俄然やる気が出てきたァ……!!」


 俺がそんな約束をしてやると、ゴラムは勢い良く門の方へと向き直り、テキパキと作業を再開した。

 そんな姿を見て俺は、ふと一つの疑問を抱いた。


「おい、ゴラムよ。貴様は何故、あんなにも乱暴に何でもかんでも壊して回っていたんだ? 今の貴様を見ていると、とてもそんな風には見えないのだが?」


 するとゴラムは俺の問いに答えるように、作業を続けながら昔話を始めた。


「んあ? あぁ、そりゃあエル様に見付けて貰う為だぜ。俺様は元々喧嘩っ早くて、腕っ節にも自信があった。だから魔族領では中々目立ってたんだが、そのせいか腫れ物扱いされててよ」

 

 ――そらそうだろうという言葉しか見つからんのだが、何やら真剣に語り始めたようだし黙って聞いておくか。


「気が付きゃ俺様、一人ぼっちだ。五芒星に選ばれたけど、一番若い新人だ! つって雑に扱われるし、何もいい事なかったんだ。ンな時にエル様の強さを見て一瞬で虜になっちまったってわけだ」


「そうなのか。で、そんな時、俺が家出してしまったと」


「そうだぜ!? アレにはマジでビビったわ! だって俺様が憧れて、尊敬して、側にいてぇと思った人がその瞬間に家出しちまったんだからよォ! マジで傑作だろ!?」


「…………」


 ――いやぁ……本当にそれについては、もう何も言う事が出来ない。

 上手く言葉を尽くせなかった俺にも非があると今になっては思う。


「そっからだ。俺様が人間の領地に踏み入って荒らし始めたのは。エル様に見付けてもらおうと、少しでも目立つ様に派手に街を壊し回ってよ。――――まぁそれも全部、今となっては思い違いで、結果エル様を怒らせちまってんだから……馬鹿だよなァ俺様は」


 ――そういう経緯だったのか。

 それにしてもゴラムは本当に俺の為だけを思って……。

 いや、ちょっと待てよ……?


「今の話だとゴラムは、俺に見付けてもらう為に人間の領地を荒らした。それまでは魔族領内で暴れていただけ。ということだな?」


「ん? そうだぜ? エル様が外にいなかったら、俺様が外に出る必要もねぇーだろ?」


 ――やっぱり……。

 ゴラムが人間を襲っていたのは、俺のせいじゃねぇーかァァァ……!!!


「そうか……。そうだよな……」


「ん……? 何、落ち込んでんだエル様?」


「あ……いや、ゴラムが暴れてたのは俺のせい……だったんだなと思ってな」


 俺はこの件において自分の責任が大きい事を重く受け止め、ゴラムの前で露骨に落ち込んでいる姿を見せた。

 するとゴラムは大口を開けて笑い始めた。


「ガハハ! 何言ってんだよエル様! さっきも言ったけど、エル様は何も悪くねぇーんだって! 悪いのは全部、エル様の真意に気付けなかった俺様達なんだからよ……!」


 ――確かにゴラムの言う通りでもあるのだが、俺はそう思えない。

 俺は少し真面目すぎるのだろうか。


「ただ、俺様はエル様の真意を知れたから良かったけどよ、他の五芒星の奴らはそれを知らねぇーってのがエル様にとっちゃあ厳しいよなぁ……」


「そうだ……! 他の五芒星の奴らは何処で、何をしている? アイリスは道中で出くわして、上手くこちら側に引き入れたのだが……」


「あの自己中高飛車絶壁お嬢様をか……!? 流石はエル様だぜ……」


 ゴラムは俺がアイリスをこちら側に引き入れた事に驚き、感動していた。


「あぁ、まぁな。それはそれとして――――ゴラムよ。他の五芒星達の行方を知らないか?」


「えぇ……? んー……皆バラバラに出て行ったからなぁ。よく覚えてねぇーけど、確かロクサーヌの奴は霊が集まる所に行くとかなんとか……」


 ――霊が集まる所……?

 あぁ、ロクサーヌはリッチーだったか。

 てことは墓地とかそういう所にいる可能性が高いということだな。

 でも墓地なんて割とどこにでもあるだろう。

 一体どこの墓地へ行ったんだ?


「そうか。ならロクサーヌは他に何か言っていなかったか? 場所を特定出来そうな何かを?」


「あぁー……何だったっけなぁ……。確か……じゃ……じゃぷ……じゃぱ……じゃぴ――――」


「もしかして"ジャペン"か!?」


「あーそうそう! それだ! 流石エル様だぜ!」


「もうそれはいい……」


 ――それよりロクサーヌの向かった場所が、まさか俺が目指すジャペンだったとは……。

 これは好都合だ。次の目的地はジャペンで決まりだな!

 あとはどうやってユーリ達をそこへ誘導するかだな。

 ………………まぁ何とかなるか。アイツら扱いやすいし。

 


「よーっし! 巨人族の里、修復完了ー!」


 俺が次の目的地について思案している間に、どうやらゴラムによるギガンテス修復作業が終わったようだ。


「おぉご苦労だったな。俺と話しながらも手を動かし続けていて偉かったぞ」


「ガハハ……! それ程でもねぇーぜ! ――――それよりエル様……。もう、行くのか……?」


 労いの言葉をかけてやると、ゴラムは嬉々とした表情を浮かべたが、俺がユーリ達の元へ戻ろうとしている事を察したのか、途端に寂しそうな表情へと変わった。


「あぁ。次はロクサーヌを止めにジャペンへと向かう。貴様も償いの気持ちを忘れずに、これからも頑張るのだぞ?」


「……わーってるよ!」


「そんな寂しそうな顔をするな。貴様が頑張っていれば、すぐに会いに来てやるから。な?」


「あぁ……! 待ってるからなっ……!」


 俺はそう言うとゴラムは、涙を流しながら俺の前で膝まづいた。

 俺は低くなったゴラムの頭を優しく撫で、その場を後にし、ユーリ達の元へと駆けて行った。

 勿論、角と赤い目を隠す【隠蔽】を施して――――



ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

これからも本作品をよろしくお願いします!


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