87話 破壊衝動の理由
ゴラムがギガンテスの復興作業を開始して暫く。
着々と復興は進み、ギガンテスのシンボル"ギガントデッケー門"も完成しつつあった。
「この門、こんなにデカかったんだな。こんな物、よく壊したな」
「へへっ……! そうだろう?」
「いや、別に褒めてはいないのだが。それよりどうやって壊したんだ?」
「ん? 殴った!」
――さすがはゴーレム。めちゃくちゃ脳筋だな……。
こんな分厚くてデカい門を壊そうというだけでもおかしいのに、それを更に殴って壊すとか意味がわからん。
そして今は自分で壊した門を一生懸命、元に戻しているわけで……。
なんと言うか、物凄く滑稽だな……。
「それで? 貴様はここの復興が終わればどうするつもりだ?」
「そりゃあ勿論、エル様について行くに決まってんじゃねぇか」
「それは駄目だ」
「えー! 何でだよォー!? いいじゃねぇーかよー!」
俺がキッパリと拒否すると、ゴラムは門の修復をしながらも、こちらをチラチラと見ては不満そうな声を上げる。
――ったく、コイツは……。
駄目に決まっているだろ?
自分が何をしたのか忘れたのか?
そんな奴がユーリ達と一緒に行動出来るはずがない。
それにスカーレットは何故かゴラムの事を相当嫌っている様子だしな……。
「駄目に決まっているだろうが。よもや、貴様が犯した罪を忘れた訳ではあるまい?」
「まぁそうだけどよォ……。俺様だって、初めてエル様を見たあの日から、ずっと側にいてぇなって思ってたんだぜ?」
――くっ……何だそれは。プロポーズか……?
童貞だから勘違いするぞコラァ……。
それにしてもゴラムの奴……この姿になってからやけに可愛いな……。
荒っぽくて生意気な口調は同じはずなのに、今は何故かムカつかない。どころか、心地良いとさえ思っている。
「気持ちは嬉しいが、それでも駄目だ。貴様は他にやるべき事があるだろう?」
「チェッ……。わーったよ! 俺様はこれから他の街も回って、出来る事をやっていくからよ。――――だからよ……。たまには……その……。会いに来てくれよな……?」
ゴラムはそう言うと、作業を一度中断し、俺の前まで来てしゃがみこみ、上目遣いでそう言った。
――ぐはぁっ……!!
上目遣いは卑怯だろう……ゴラムめぇっ……!!
ていうかコイツ……ショタの俺の身長に合わせて、わざとしゃがみやがったな?
どこで覚えたか知らんが、男心を掴む方法を心得てやがる……。
「わ、わかった。たまには様子を見に来てやる。だからその分、頑張るのだぞ?」
「マジ……!? やったぜぇ! 俺様、俄然やる気が出てきたァ……!!」
俺がそんな約束をしてやると、ゴラムは勢い良く門の方へと向き直り、テキパキと作業を再開した。
そんな姿を見て俺は、ふと一つの疑問を抱いた。
「おい、ゴラムよ。貴様は何故、あんなにも乱暴に何でもかんでも壊して回っていたんだ? 今の貴様を見ていると、とてもそんな風には見えないのだが?」
するとゴラムは俺の問いに答えるように、作業を続けながら昔話を始めた。
「んあ? あぁ、そりゃあエル様に見付けて貰う為だぜ。俺様は元々喧嘩っ早くて、腕っ節にも自信があった。だから魔族領では中々目立ってたんだが、そのせいか腫れ物扱いされててよ」
――そらそうだろうという言葉しか見つからんのだが、何やら真剣に語り始めたようだし黙って聞いておくか。
「気が付きゃ俺様、一人ぼっちだ。五芒星に選ばれたけど、一番若い新人だ! つって雑に扱われるし、何もいい事なかったんだ。ンな時にエル様の強さを見て一瞬で虜になっちまったってわけだ」
「そうなのか。で、そんな時、俺が家出してしまったと」
「そうだぜ!? アレにはマジでビビったわ! だって俺様が憧れて、尊敬して、側にいてぇと思った人がその瞬間に家出しちまったんだからよォ! マジで傑作だろ!?」
「…………」
――いやぁ……本当にそれについては、もう何も言う事が出来ない。
上手く言葉を尽くせなかった俺にも非があると今になっては思う。
「そっからだ。俺様が人間の領地に踏み入って荒らし始めたのは。エル様に見付けてもらおうと、少しでも目立つ様に派手に街を壊し回ってよ。――――まぁそれも全部、今となっては思い違いで、結果エル様を怒らせちまってんだから……馬鹿だよなァ俺様は」
――そういう経緯だったのか。
それにしてもゴラムは本当に俺の為だけを思って……。
いや、ちょっと待てよ……?
「今の話だとゴラムは、俺に見付けてもらう為に人間の領地を荒らした。それまでは魔族領内で暴れていただけ。ということだな?」
「ん? そうだぜ? エル様が外にいなかったら、俺様が外に出る必要もねぇーだろ?」
――やっぱり……。
ゴラムが人間を襲っていたのは、俺のせいじゃねぇーかァァァ……!!!
「そうか……。そうだよな……」
「ん……? 何、落ち込んでんだエル様?」
「あ……いや、ゴラムが暴れてたのは俺のせい……だったんだなと思ってな」
俺はこの件において自分の責任が大きい事を重く受け止め、ゴラムの前で露骨に落ち込んでいる姿を見せた。
するとゴラムは大口を開けて笑い始めた。
「ガハハ! 何言ってんだよエル様! さっきも言ったけど、エル様は何も悪くねぇーんだって! 悪いのは全部、エル様の真意に気付けなかった俺様達なんだからよ……!」
――確かにゴラムの言う通りでもあるのだが、俺はそう思えない。
俺は少し真面目すぎるのだろうか。
「ただ、俺様はエル様の真意を知れたから良かったけどよ、他の五芒星の奴らはそれを知らねぇーってのがエル様にとっちゃあ厳しいよなぁ……」
「そうだ……! 他の五芒星の奴らは何処で、何をしている? アイリスは道中で出くわして、上手くこちら側に引き入れたのだが……」
「あの自己中高飛車絶壁お嬢様をか……!? 流石はエル様だぜ……」
ゴラムは俺がアイリスをこちら側に引き入れた事に驚き、感動していた。
「あぁ、まぁな。それはそれとして――――ゴラムよ。他の五芒星達の行方を知らないか?」
「えぇ……? んー……皆バラバラに出て行ったからなぁ。よく覚えてねぇーけど、確かロクサーヌの奴は霊が集まる所に行くとかなんとか……」
――霊が集まる所……?
あぁ、ロクサーヌはリッチーだったか。
てことは墓地とかそういう所にいる可能性が高いということだな。
でも墓地なんて割とどこにでもあるだろう。
一体どこの墓地へ行ったんだ?
「そうか。ならロクサーヌは他に何か言っていなかったか? 場所を特定出来そうな何かを?」
「あぁー……何だったっけなぁ……。確か……じゃ……じゃぷ……じゃぱ……じゃぴ――――」
「もしかして"ジャペン"か!?」
「あーそうそう! それだ! 流石エル様だぜ!」
「もうそれはいい……」
――それよりロクサーヌの向かった場所が、まさか俺が目指すジャペンだったとは……。
これは好都合だ。次の目的地はジャペンで決まりだな!
あとはどうやってユーリ達をそこへ誘導するかだな。
………………まぁ何とかなるか。アイツら扱いやすいし。
「よーっし! 巨人族の里、修復完了ー!」
俺が次の目的地について思案している間に、どうやらゴラムによるギガンテス修復作業が終わったようだ。
「おぉご苦労だったな。俺と話しながらも手を動かし続けていて偉かったぞ」
「ガハハ……! それ程でもねぇーぜ! ――――それよりエル様……。もう、行くのか……?」
労いの言葉をかけてやると、ゴラムは嬉々とした表情を浮かべたが、俺がユーリ達の元へ戻ろうとしている事を察したのか、途端に寂しそうな表情へと変わった。
「あぁ。次はロクサーヌを止めにジャペンへと向かう。貴様も償いの気持ちを忘れずに、これからも頑張るのだぞ?」
「……わーってるよ!」
「そんな寂しそうな顔をするな。貴様が頑張っていれば、すぐに会いに来てやるから。な?」
「あぁ……! 待ってるからなっ……!」
俺はそう言うとゴラムは、涙を流しながら俺の前で膝まづいた。
俺は低くなったゴラムの頭を優しく撫で、その場を後にし、ユーリ達の元へと駆けて行った。
勿論、角と赤い目を隠す【隠蔽】を施して――――
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