81話 ゴラムへのお仕置き
「では、いくぞゴラム? ――――お仕置きの時間だ」
「お仕置きだァ? 何で俺様がテメェなんかにお仕置きされなきゃなんねーんだ!?」
お仕置きという言葉を聞き、途端に不服そうな顔をするゴラム。
「何だ? まさか貴様、自分がお仕置きされる覚えがないと言うのか?」
「あぁ、ねぇーな!!」
「そうか……。ならば教えてやる。俺は貴様にお仕置きをせねばならない理由が三つある」
「三つぅー……?」
俺が指を三本立てて話すと、ゴラムは不快な顔で不快な声を上げる。
「まず一つ目は貴様がチミニチ村を襲い、何の罪も無い人達を殺した事だ」
「はっ! そんな事かよ!? ありゃあアイツらも悪いぜ? 何せ生きる価値もねぇくらい弱っちかったからなぁ!!」
ゴラムの今の発言は俺にとってかなり不快であったが、今回はひとまず無視して話を続けた。
「…………そして次に二つ目だが、これまた何の罪も無い巨人族の里を襲い、大切な里のシンボルである門を破壊し、彼らの生活圏を脅かした事だ」
「あぁ? あんな硬そうでデケェ門があったら普通壊すだろうがよ!! それに俺様は一度巨人族の奴に負けてんだよ!! 生活圏、脅かされてねーじゃねぇか!!」
普通、門は壊さんだろ。という最もなツッコミは置いといて、確かにゴラムが言う様に巨人族達に関してはあまり被害を被ってないかもしれない。
だが、門を壊したのは事実だし、何より俺がコイツにお仕置きをする理由が一つでも多くあった方が体裁を整える為には便利だと判断した。
「あー……コホン。次で最後だが、貴様は魔王の配下でありながら、主君である魔王の言う事を一切聞かず、好き勝手に暴れ回り破壊の限りを尽くした事だ」
「あぁ? 俺様がいつ魔王様の言う事聞かなかったんだァ? 俺様はなぁ、誰よりも魔王様の事を尊敬してんだ……!」
俺が最後の理由を口にすると、ゴラムは先と同様に怒りに満ちてはいたが、その怒りの質が少し違うように思えた。
「ほう……。貴様は魔王の事を誰よりも尊敬しているのか?」
「あぁそうだ。だってよ、あんなちっちぇーのに、とんでもねぇ威力の魔法を使うんだぜ? 俺様はアレを見て一瞬で惚れちまったぜ……」
そう言うとゴラムはうっとりとした声を発した。
――うーん。ゴラムはどうやら俺が魔王城の屋根をぶち壊して家出した時の事を言っているんだろうな。
それにしてもまさかゴラムがそこまで俺の事を尊敬しているなんてな……。
ていうか、それなら何で俺の真意とは真逆の行動をしてんだよ!?
「そうか。ならばその時、魔王が言った事を一言一句記憶しているのだな?」
「当たり前だ!!」
「ほう? ならばその時、俺……じゃなくて、魔王が何と言っていたか、言ってみろ」
「"人間を皆殺しにして、早く戦いを終わらせろ"だ! な? めちゃくちゃかっけぇーだろ?」
――そんな事言ってねーわボケェ!!
と言いそうになったが、あの時は俺の言い方が悪かったのかもしれない。
その後俺は王都へ攻めて来たカマセーヌに伝言を頼んだはずだ。
それはさすがに上手く伝わっているだろう。
「はは……。そうか。ならその後、配下の魔人から何か伝言を聞かなかったか?」
「あぁ? んあー確かに聞いたな……。そん時は確か――――」
――確かあの時俺は『人間と争うのは辞めろ。俺の意思に背き、まだ人間族を滅ぼそうとするのなら、この俺が直々に粛清してやる』って言ったはずだよな。
「そん時は確か、『魔王の意思に従い、人間族を滅ぼせ。出来ぬのなら俺が直々に滅ぼしてもよいのだぞ』だったっけか? あぁ、確かそうだ。やっぱかっけぇな、魔王様は……!」
――いやいやいやいや……。そんな事一つも言ってないぞ!?
カマセーヌの奴……全然違う事を伝えてるなぁ!?
どこをどう聞いたらそうなるんだよ……。
あの阿呆は今度会ったらマジで泣かす……。
「そうか……。もう良い。どうやら貴様には魔王の真意は一切伝わっていないようだな」
「はぁ!? 何でテメェにそんな事言われなきゃなんねぇんだ!?」
「俺がその魔王だからだ!!」
俺がそう叫ぶと、ゴラムは口を閉ざし固まった。
そして少しの沈黙の後、ゆっくりと口を開く。
「――――んな訳ねぇだろうが、クソガキがぁ……!!」
「そんな訳があるのだ、ゴラムよ。――――【隠蔽 解除】」
怒るゴラムの目の前で俺は隠蔽を解除し、角と赤い目を露にした。
「どうだ? これで俺が魔王だとわかったであろう?」
「はぁ……? 何言ってんだテメェ? テメェのどこが魔王様だよ? ぶっ壊すぞ!?」
――はぁ? お前こそ何言ってんだ?
どっからどう見ても俺が魔王だろ?
今まで隠蔽を解除して俺が魔王だと気付けなかった奴はいないのに、一番尊敬しているというゴラムが何故気付かないんだ?
二本の角と赤い目、そしてこの可愛らしいショタボディ――――あっ……!!
そして俺は今頃になって思い出す。
――そうだ……。
今、俺……大人の姿なんだった……!
やってしまった……。
この姿の俺を魔王として見た奴なんてスカーレット以外一人もいない。
これじゃあゴラムが魔王と気付かなくて当然だ……。
ていうかやべぇ。急に恥ずかしくなってきた……。
めちゃくちゃドヤ顔で俺が魔王だとか言っちゃったよ……?
めちゃくちゃカッコつけて『さて、お仕置きの時間だ』とか言っちゃってたよ……?
はずいはずいはずいはずい……!!
「テメェ、顔真っ赤だぞ? へっ。馬鹿が。どこの魔族か知らねぇが、テメェなんかが魔王様の名を語るからだ。身の程を知れ!」
――クソ……何も言い返せない。
こうなったら元の姿に戻るか?
いや、ユーリ達に見られたら一巻の終わりだ。
それならもう、このままの姿でゴラムにお仕置きをするしかないな……。
「えぇい、うるさい!! とにかく貴様は俺を怒らせた! よって俺は、今から貴様にお仕置きをする!!」
「何だよ図星だったのか? まぁンな事どうでもいいが、俺様にお仕置きなんて出来ると思ってんのか? あ?」
「黙れ……もう口を開くな――――【探索】」
そして俺は【探索】を使い、ゴラムの今の身体である巨大ゴーレムを隅々まで観察した。
そしてその巨体の中からゴラムの核の位置を捕捉する。
「ふんっ。やっぱりあったか」
「あぁ!? 何がだ!?」
「貴様の核だ。まぁ気にするな。すぐに終わらせてやる。――――【超パワー付与 両手】」
「あぁ!?」
俺はゴラムにそう告げると、言霊の能力で【超パワー付与】を両手に施した。
「いくぞ、ゴラム。――――最初はグー! じゃんけんパァーーーン!!」
そして俺はゴラムの顔面を一度グーで殴り、続けてパーで平手打ちをくらわせた。
それにより巨大ゴーレムの顔面は見事に崩れ、原型が無くなっていた。
しかしゴラムは無反応だった。
――やっぱりそうか。
巨大ゴーレムがゴラム自身の身体だったら両手を砕いた時に痛がったり何か反応を見せるはずだ。
でもゴラムはそれをしなかった。
つまりこの巨大ゴーレムの身体の何処かに核があって、それを攻撃しない限りコイツはダメージを受けない。
だったら俺がやる事は一つ。
この巨大ゴーレムを粉々にして中からゴラムの核を引っ張り出す……!!
「オラオラオラオラオラオラァ……!!!!」
そして俺は巨大ゴーレムの身体を片っ端から殴り続け破壊していった。
「あーたたたたたたたたたたぁ……!! おぅわったぁ!!!」
暫く殴り続けると、巨大ゴーレムの身体は見る影もない程に小さくなっていた。
「ふぅ……。まぁこんなものか。よし、ゴラム。今から貴様を引っ張り出すが良いな?」
「い、嫌だ……! 辞めてくれ……! それだけは嫌なんだ……!!」
――ん? 何かキャラが変わってないか……?
「問答無用だ。いくぞ?」
「ひゃ、やめてくれぇぇぇ……」
俺はそう言うと小さくなったゴーレムの身体から情けない悲鳴を上げるゴラムの核を掴み、引き抜いた。
すると俺の手にいたのは棒人間の様に細く小さな生き物だった。
「…………ぷっ。これが……貴様……ぷっ……貴様の本体……か……?……ブフッ」
「わ、笑うなぁ……!! あと見るなぁ……!!」
笑いを堪えながら話す俺の手の中で小さなゴラムは甲高い声でそう叫んでいた。
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