80話 五芒星【壊し屋】ゴラム
「――――うざってぇ野郎だ、テメェから先に始末してやる……!! 死ねぇ!!!」
ゴラムはそう言うと力一杯に腕を振り下ろして来た。
迫り来る大きな拳はまるで隕石の様に思えた。
「そこはまずビームだろうが……!!! ――――【身体能力超強化】! 【魔王パンチ 一〇〇パーセント】!!」
そして俺はそれに自らの拳をぶつけた。
すると俺の拳が当たった場所を基点に、ゴラムの拳は粉々に砕ける。
「何……!?」
「え……? やわらか……」
あまりの手応えの無さに、俺は思わず声が出てしまった。
そして俺の一撃の威力に圧倒されたゴラムはその巨大な身体を震わせ、少し困惑しているように見えた。
「テメェ……一体何をしやがった!?」
「フ、フハハハ……! お、驚いたか? これが実力の差だ」
――フハハハって。
今の笑い方、俺の方が悪役みたいじゃない?
……まぁいいか。俺、魔王だし。
基本は物語の悪役だよな、魔王って。
「クソがァ……!! 俺の力はこんなもんじゃねーぞぉ!!!」
そう叫び散らすゴラムは俺に砕かれた右手を引っ込め、今度は左手で殴り掛かって来た。
「ふっ。いいだろう。では見せてもらおうか。魔族軍のモビ〇スーツの性能とやらを……!」
――かぁーーー!!
言ってみたかったんだよなぁ……このセリフ!!
まぁコイツはただのゴーレムでモビ〇スーツではないのだけれど。
まぁ小さい事は気にするな。ワカチコだ。
それにしてもまたただのパンチか。
芸のない奴だ。
このまま俺が先と同じ様にコイツの左手も粉々に砕くのは簡単が、それだと面白みに欠けるよな。
「――――よし、これに決めた。【魔王キック 五〇パーセント サマーソルト】!!」
俺はそう言いながら今度は右足に力を込める。
但し、簡単に砕いてしまっては先と同じだから、出力を敢えて五〇パーセントまで下げた。
そして俺は力を込めた右足で迫り来るゴラムの右手を上空目掛けて蹴り上げる。
すると込める力を五〇パーセントまで下げたのにも関わらず、またしてもゴラムの右手は容易く粉砕してしまう。
「はぁ……!?」
ゴラムは驚いた様子で声を上げ、失った両手を見つめていた。
――おいおい、マジか……。
今回はちゃんと加減したというのに、それでも砕けちゃうのかよ?
俺の想定では、蹴り上げた拳につられて少し浮いたゴラムの腹目掛けて再度上空へ蹴り上げる。
その後は某七つの玉集め漫画のような、激しい空中戦を繰り広げるつもりだったのに……。
まったく……興醒めだ。
「ふざけるな。真面目にやれ……!!」
「はぁ!? 俺様は本気だっての!!」
俺の言葉にゴラムは怒りを滲ませてそう叫ぶ。
俺は一つため息をついて、再度口を開く。
「そんなヤワな拳のどこが本気だと言うのだ!? 俺をなめるのも大概にしておけよ!?」
「何を言ってんだテメェは!? 俺様は真剣にテメェをぶっ壊すつもりでやってんだよ!!」
俺の話を聞いていないのか、ゴラムは未だふざけた事を口にする。
「寝言は寝て言え、岩風情が。いや、その硬さなら泥団子くらいか?」
「ガハハ……。わかったぞ……。テメェさては俺様を煽って楽しんでやがるな?」
俺が少し茶目っ気を出してそう言うと、ゴラムは突然笑い出した。
そして何がわかったのか、とても見当違いな事を言い始めた。
「楽しくはない。少なくとも今は」
「クッソ……腹立つなコイツ……」
俺が本心でそう返すと、ゴラムは地面を蹴りつけ苛立ちを見せる。
「はぁ……。貴様は五芒星なのだろう? 強いのだろう? ならその全力を俺に見せてみろ。今度はしっかり受けてやるから」
「なめてんのはどっちだクソが……!! 行くぞオラァ!!」
ゴラムはそう叫ぶと、そこら中に転がっていた門の破片や瓦礫で欠損した両手を再構築した。
そして今度はその再構築した両手を前面に突き出した。
「お? いよいよビームか?」
「び……びーむ? 何だそりゃあ!? 訳分かんねー事言ってんなよゴルァ!!」
ビームの意味がわからなかったのか、ゴラムは両手を突き出したまま俺に向かって突進して来た。
「何だ、ビームではないのか。しかも両手を突き出して俺に向かって一直線に突進とは……。どこまで脳筋なんだ貴様」
「知るかよ!? くらえ……! 俺の必殺技……大爆発みてぇな攻撃!!」
――いや、技名とかないのかよ……。
何だ『大爆発みてぇな攻撃』って。
脳に筋肉が詰まり過ぎて思考が停止してるんじゃないのか?
しかも大爆発みてぇな攻撃って……英訳すりゃあ、"ビックバ〇アタック"じゃねーか!!
やめとけ、ボケェ……!!
俺が心の中でそうツッコミを入れているとゴラムの両手が俺の身体に届いた。
そして俺はそれに対し、何の反応も見せず全身でその馬鹿みたいな技を受ける。
「吹っ飛べぇ!!!!」
ゴラムの言葉通り、俺の身体は宙に浮き、山の麓の方へと飛ばされる。
――いやぁ、女神様に貰った"言霊"の能力はやっぱりめちゃくちゃチートだなぁ……。
殴れば簡単に粉砕出来るし、今みたいに攻撃を正面から受けても痛みやダメージはほぼ無いし、あるのは吹っ飛ばされるという物理的な事実だけだからなぁ。
ゴラムは恐らくこの世界じゃ相当強いはずだし、ユーリ達が戦ったら、何も出来ないまま瞬殺されるだろうけど、俺は正直、この程度の強さなら一ミリも負ける気がしないな。
「よし、じゃあそろそろゴラムへのお仕置きを考えるかな――――」
俺は空中で寝転がった体勢をとりながら、ゴラムへのお仕置きを考えた。
そして数分間考え、お仕置き内容が決まったところで俺はふと、ある事に気が付く。
「ていうか俺、いつまで飛んでるんだ? ゴラムに吹っ飛ばされてから随分と経つぞ?」
俺は辺りを見渡した。
すると地上に見覚えのある街を見付ける。
「え、あの街ってもしかしてブリジアか? おいおいマジか……。どこまで飛ぶんだよ……?」
それもそのはず。
俺が飛ばされたのは山の麓の方だった。
つまり吹っ飛ばされた俺を受け止めてくれる壁や山が一切無く、このまま放置していれば、この勢いが無くなるまでどこまでも飛んで行ってしまうという事。
「まずいなぁ……。かなり遠くまで飛ばされたみたいだ。ひとまずゴラムの所へ戻るか……。――――【瞬間移動】! 【浮遊】!」
そして俺は言霊の能力を使い、物理法則を完全に無視してゴラムの元へ戻った。
◇
「俺様を舐め腐ったクソガキめ、今頃どこまで飛んでんだろうなァ!? まぁ、俺様の必殺技を受けて生きてられる訳ねーから関係ねぇな! ガーハッハッハッ!!」
俺を遠くまで吹っ飛ばし、自らの勝利を確信したゴラムは大口を開き、高笑いをしていた。
そこへタイミングが良いのか悪いのか、俺はゴラムの顔の前に瞬間移動で戻ってきた。
「――――誰がクソガキだ?」
「あぁ……あぁん!?? て、テメェ、何でここにいやがんだ!? 俺様の必殺技をくらって吹っ飛んだはずだろうが……!?」
俺の突然の修験にゴラムはわかりやすく狼狽えていた。
そして俺はそんなゴラムに一切の気を使う事なく、話を続ける。
「貴様、必殺技という言葉の意味を正しく理解しているのか? 必殺とは必ず殺す技という意味だ。だかどうだ? 貴様の目の前にいる俺は死んでいる様に見えるか?」
「ぐっ……」
俺の問いに対し、ぐうの音も出ない様子のゴラム。
「否。生きているな? ならば貴様のあの技は必殺技ではないな。よかったな。少し勉強になったではないか」
「な、なんで生きてんだよ……!? 俺様の必殺技をくらって吹っ飛んだはずだろうが……!?」
悔しそうに声を漏らすゴラムに、俺は淡々と言葉を並べたが、思考を完全に停止した彼には何も届かなかった。
「貴様はそれしか言えんのか。はぁ……。まったく。どうやら脳まで完全に筋肉と化したようだな。もう話す気も失せたわ。では、いくぞゴラム? ――――お仕置きの時間だ」
そしていよいよ、ゴラムに対するお仕置きが始まる。
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