77話 巨人族の力
老人からゴラムが一度、巨人族の男達に敗れ、今は山で修行をしていると聞かされ俺は戸惑いを隠せないでいた。
――嘘だろ……? 巨人族ってそんな強いの?
いや、ゴラムも一応五芒星の一角だぞ?
それを自分達の力だけで退けちゃうのかよ?
いくら何でも強すぎんでしょうが……。
そんな事を考えていると、老人はゴラムが里へやって来た時の事を話し始めた。
◇
※ここからは老人目線でのお話+エルの心のツッコミでの構成となります。
あの日は、よう晴れた日じゃった。
それなのに突然、雷が落ちた時の様な音が鳴り響いたもんじゃからたまげたわい!
――その雷が落ちた時の様な音っていうのは恐らく、ゴラムが門を破壊した時のものだろうな。
じゃが、ワシら巨人族はのんびりしとるからの。
そんくらいじゃあ、わざわざ外へ見に行ったりはしないのじゃ。
――いや、しろよ!?
敵襲じゃなかったとしても、そんな大きな音がしたら少しは心配しろ? 危機感を持て?
それからどれくらいかのう。
三〇分くらいの間、ドカンドカンと音がしよったかのう。
――長いなぁ。
呑気に構えるのにも限度があるぞ……。
あまりにも騒がしいもんじゃから、ワシらは朝から続けていた"魔女っ子人形の鑑賞会"を一旦やめて、外へ出たんじゃ。
――朝っぱらから何をしてんだジジィ、コラ。
あ、因みに魔女っ子人形というのは小さくて可愛い魔女っ子をよく観察して、職人が一つ一つ丁寧に手作りしたそれはそれは良く出来た人形なのじゃ。
――その説明はいらん!
だけど、少しその人形には興味があるな。
後で見せてもらおう。
コホン。与太話はさておきじゃ。
外へ出てみると、これまたたまげた。
ワシら巨人族が住む里のシンボル『ギガントデッケー門』が木っ端微塵に崩れておったのじゃ!
――何だそのふざけた名前の門は!?
里のシンボルなんだったらもう少し考えて名付けろよ!
それからワシらは慌ててその破片を集め始めたのじゃが、何やら見知らぬ顔の男がおったもんでな。
若い衆の一人が「おめーも手伝え」って声を掛けたのじゃ。
――見知らぬ人がいたら普通は警戒するものだろ……。
何故手伝わせようとした……?
全くもって理解できない……。
そしたらその見知らぬ顔の男。
どうやら魔人じゃったようでな、何を気に入らんかったのかはわからんが、突然若い衆の一人の頭を殴りつけよったのじゃ。
――何を気に入らなかったのかはわかるだろ。
破片集めを手伝わせようとした事だよ!!
若い者の頭は地面にめり込んでしまっての。
ワシらは慌てて「……っ! おめぇ……!! 大丈夫かぁ!?」って声を掛けたんじゃ。
――あーあー。自業自得だな。
いきなり殴ったゴラムも悪いけど、ジジィ達があまりに呑気過ぎたのもいけないな。
そしたら若い者は地面から顔を抜いて「でぇーじょうぶだぁー」と抜かしよる。
ワシらは笑ったわい。
――笑っている場合か。
心配しろよ、仲間だろ……?
じゃが、その魔人だけは違ったみたいでの。
何やら怒った顔で叫び声を上げたんじゃ。
――そらそうだ。
渾身の一撃がまるで効いてなかったんだからな。
おまけに皆に笑われて。
ゴラムのメンタルはズタボロだろう。
それから魔人は先に頭を殴りつけた若い者に馬乗りになって、顔面を殴り始めたのじゃ。
――おぉ、ゴラムはいきなりヒートアップしたんだな。
これはさすがにジジィ達も止めに入ったよな? な……?
ワシらは黙ってその様を見てたのじゃが。
――見てないで助けろっての!!
あまりに殴られすぎたせいか、若い者もさすがに我慢の限界が来たようでな。
殴り続ける魔人の腕を掴んでそのまま放り投げてしまいよったのじゃ。
――ゴラムってまぁまぁの大男だろ……?
それに全身岩みたいな筋肉の塊って……。
それを腕を掴んで放り投げただと?
巨人族のパワーはとんでもないな……。
それを見たワシら、これまた大爆笑じゃ。
――何で!?
笑う所、無かったよね!?
その後も何度か、魔人が若い者に向かって突貫して来よったが、また投げ飛ばしたり、殴り飛ばしたりしてのう……。
カッカッカッ! これがまた傑作でのう!
――巨人族の男たった一人で、五芒星の一角であるゴラムをまるで赤子の様に扱うとは……。
これ、巨人族の奴らに束になって来られたら、さすがの俺も負けんじゃね……?
とまぁ、そんな感じで何度か痛め付けてやったら魔人は「このままで終わると思うなよ!? オデ様は必ずテメェらに再戦に来るからなあ゛!!! 覚えてやがれぇぇぇ゛!!」と言って泣きべそをかきながらあっちの山の方へ走り去って行きよった。
――屈強な魔人を泣かせてしまう程の圧倒的な強さ。
奴に同情する気は更々無いが、気を抜けば、つい同情してしまいそうになる。
それから魔人は時々、物凄い音を立てながらあの山で修行しとるようじゃの。
――まぁ自分の力に絶対的な自信があったゴラムにしてみれば、相当悔しかっただろうな。
今、奴がしている修行は想像を絶するな……。
そしてワシらは"魔女っ子人形の鑑賞会"の続きをしながら、のんびり魔人の再戦を待っとるのじゃ。
――もうツッコむ気にもならんわ……。
それだけの強さがあったら、危機感とかそんなの持つ必要がないもんな。
だが――――絶対、門の修理するの忘れてるよね!?
あれだけ破片集めがどうのとか言ってたけど、今は放ったらかしだよね!?
門の所に破片、まだまだ一杯落ちてたし、あんた家からゆっくり出て来たもんね!?
これでワシの話は終わりじゃ。
◇
俺達は老人の話を黙って聞いていた。
俺は心の中でツッコミまくっていたが、殊更声に出して言う必要も無いだろう。
そしてユーリ、セリーヌ、リリィの三人は老人の話を聞き、驚きのあまり口を大きく開けて唖然としていた。
一方スカーレットはゴラムの情けない話を聞き、小さくガッツポーズをしていた。
そんな彼女も大人気なくて素敵だ。
「うっうぅっ……! やっぱり……ギガンテスの戦士達は凄いや……! 魔人にも簡単に勝っちゃうなんて……うぅ……!」
「ひんっ……ギガンテスの戦士……最強だぁ……ひんっひんっ……」
そしてボンズとコロクックは涙を流し、同族の勇姿を賞賛していた。
老人はそんな二人を見て大笑いしながら、二人の頭を撫でた。
「カッカッカッ! おめぇらは小さいからのう。力が弱くても仕方がないのじゃ。ワシらギガンテスの戦士が里におる限り、ここは安全じゃあ」
「うん……うんっ……!」
そうこうしていると門の所へ他の巨人族達も集まって来た。
「おー? おめぇボンズだべか? ひっさしぶりだべぇー!」
「ほんとだ! しかも何か泣いてるべ? どうしたんだぁ?」
「おい、その横にいるのはもしかして、コロクックかぁ?」
どうやら巨人族達はボンズとコロクックに気が付いたようで手を振りながら近付いて来る。
「うん……みんな。ただいま……」
「ただいま……」
二人はうつむき加減で、やはり昔いじめられていた事もあって、少し気まづいのだろうか、どこか申し訳なさそうにしていた。
――ボンズの奴、少し元気がないな……。
相手は何も気にしていないようだけど、こういうのは被害者側の方がよく覚えてたりするし、そう簡単に割り切れたりしない問題だからな……。
しかし巨人族達はそんな二人に気を使う事もなく、人間との暮らしはどうだとか、騎士になった感想はとか、勇者パーティーって何をするんだとか、思った事をすぐ口にする。
「もうそのくらいにせんか、若い衆よ。ボンズ達は疲れておるのじゃ。わざわざあんな小物の為に心配して帰って来てくれたのじゃぞ?」
「ほぉー。そりゃあ、ありがてぇ」
「まぁおめぇらに心配される程、俺たちゃあヤワじゃねーべな!」
「でもめでてぇーな! せっかく二人が帰って来たんだべ? 今日は宴にするべ!!」
「んだんだ!! 今日は宴だべぇー!!」
そして何故か俺達の気持ちを置いてけぼりにして、巨人族総出の宴が始まった。
俺達はただ、その光景を呆然と眺める事しか出来なかった――――
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