71話 見えない所でのあれこれ
エル達がふにゃ丸との戦いに身を投じている頃。
五芒星の面々は人間族を滅ぼす為、各々作戦を開始していた――――
〈ドロロン大霊園〉
ここはジャペン近郊にある、近隣に住む人達の先祖の墓が多く立ち並ぶ大霊園。
そこにはアンデッドの軍勢が数百以上集まっていた。
「ロクサーヌ様ー! 只今、全員配置につきました!!」
五芒星が一角。リッチーのロクサーヌの元へ一人の骸骨騎士が駆けてくる。
何かの準備が整ったようだ。
「へぇー早いねー? 流石は私の死体ちゃん達。マジ有能だわ。アンタ達が骨とかゾンビじゃなかったらキスの一つくらいしてあげたのにねー!」
そう話すロクサーヌは四つん這いになっている骸骨兵の上に足を組んで座り、骸骨騎士に向かって自らの瑞々しい唇を指でなぞって見せた。
「う……! それは……残念極まりないです……」
「キャハハハ! 冗談だって! 本気にしてヘコむとかマジウケる!」
ロクサーヌの唇に欲情したのか、骸骨騎士は既に失った股間を押さえ立ち尽くす。
それを見たロクサーヌは椅子にしている骸骨兵の尻を叩きながら大笑いした。
「お戯れを……。それよりロクサーヌ様。作戦開始はいつ頃に致しましょうか?」
「うーん。そうだねー……。全員準備は出来てるみたいだし、そろそろ始めちゃおっか?」
骸骨騎士の言葉を受け、真面目な表情に変わったロクサーヌは作戦開始の声を上げる。
「はっ! では直ちに皆へ作戦開始を告げて参ります!」
そして骸骨騎士は威勢よく返事をすると、ガニ股で伝令へと向かった。
「キャハ! まさか人間界にこんなに死霊が集まる場所があるなんてねー。この子達を使えば、そこの変わった都市も一瞬で落とせそうだよねー。ねぇ、君もそう思うでしょ?」
「ピ、ピィ……!」
骸骨騎士が立ち去った後、ロクサーヌは椅子にしている骸骨兵にそう話す。
すると骸骨兵は謎の奇声を上げた。
「ピィって何ー? ウケるんだけど! あ、ウチがそうしなさいって言ったんだっけ? 忘れちゃったー! キャハハー!」
「ピ、ピィ……」
「それより問題は一番隊だよねー。あの子達、上手くやれるかなー?」
「ピィー?」
「キャハハ! てか、何言ってるかわかんないしっ!」
骸骨兵と呑気に話しているロクサーヌだったが、そこに集められたアンデッドの軍勢、中でも隠密行動を得意とする一番隊の面々がゆっくりとジャペンへ向けて進軍を開始した。
「さぁ〜て。"恐怖の夜"の始まりだよー!」
◇
〈ココガ大森林〉
ここはエルフと魔女が共存する大森林。
かつてその森は争いも無く、青々とした草木が茂り、野生動物が多く生息している平和な場所だった。
しかし五芒星の筆頭、シエスタの襲来によりその平和は壊される。
草木は彼女の火属性特級魔法により大炎上。
動物達も息絶え、残されたエルフと魔女達は防御魔法や回復薬で何とか持ち堪えていた。
「どうじゃ貴様ら。これで少しは妾の話を聞く気になったか?」
「ぐ……っ。何を言うか……! 突然森へやって来たかと思えば、魔族の配下に加われと一方的に言いよって……!」
身体中に火傷を負った年老いた魔女はシエスタを睨み付けながらそう言った。
「ふんっ。わざわざ妾が出向いてやったというのにそれを断るからこんな事になるのじゃ。貴様らの魔法技術は妾も高く評価しているのじゃがなぁ?」
そんな魔女の言葉を意に介さず、上から目線で話を進めるシエスタ。
「勝手な事を……!! 大森林を焼き払っておいて、まだそんな事を言うのか! 平和を愛するエルフ族はお前の様な魔族には決して屈しないぞ……!!」
語気を強めて抵抗の意を示すエルフ族の長であるハイエルフの女性。
そんな彼女の頭に、シエスタは目にも止まらぬ速さでかかと落としを決める。
「何を勘違いしておるのじゃ、貴様は? 妾は配下に加われと言っただけじゃ。貴様らにそれを拒否する権利など無い! 妾の言葉には『はい』とだけ答えておれば良いのじゃ、たわけ者が!!」
「うぐぅっ……!!」
「やめんか魔族の女!! お主が何を言おうと我らが魔族に組みする事は有り得ん……!」
ハイエルフを踏み付けにしているシエスタの足を必死にどかそうとしながら、更に抵抗を続ける魔女。
するとそこへシエスタの部下が駆け寄って来る。
「シエスタ様! シエスタ様ーー!!」
「なんじゃ騒々しい!」
「隣接しているダークエルフの里へ話をつけに行ったところ、あっさり我が魔族の軍門に下りました!」
「ふっ。そうか。報告ご苦労。――――だとよ、お二人さん。貴様らはどうするのじゃ?」
「なっ……!?」
「くっ……アイツらめ……」
部下の言葉に驚いた表情を見せる魔女。
そしてハイエルフはどこか、こうなる事がわかっていたような口振りでそう言葉を吐いた。
「そうか。それでも尚、反抗的な態度を示すか。ならばこうしよう。妾は今から一人ずつここにいる者を消していく。それが嫌なら妾の配下に加わるのじゃ。ふっふっふっ。貴様らが屈するのが先か、全滅するのが先か……。見物じゃのう?」
そう言いながら不敵な笑みを浮かべるシエスタ。
そして途端に怯えた表情へと変わるハイエルフと魔女。
果たしてココガ大森林の命運は如何に――――
◇
〈チミニチ村〉
ここは山の麓にあるチミニチとう小さな村。
そこには少数ながら人が住んでおり、貧しくも平和にのんびりとした時間が流れていた。
しかしそんな長閑な村にも魔族の手が及んでしまう。
五芒星の一角、壊し屋の二つ名を持つゴーレム魔人ゴラムが単騎で現れたのだ。
そしてゴラムの圧倒的な暴力によって人々は蹂躙され、村は為す術なく一瞬で壊滅。
生き残りを一人も出さず、ゴラムは破壊の限りを尽くした。
「がァーー! 暴れ足りねーぜ。もっと骨のある奴はいねーのか!? どいつもこいつも雑魚ばっかで壊しがいがねぇぜ!」
そして辺りを見渡すゴラム。
「あぁ〜〜? ありゃあ何だァ?」
ゴラムが山の頂上付近に見付けたのは、山間に聳え立つ大きな門。
彼がいる麓からでもしっかりと視認出来る程に巨大な門の大きさは優に十メートルは超えているだろう。
「ありゃあもしかして巨人族の住処か? 巨人族つったらアホ程デカくて強ぇーって話じゃねーか。ガハハ! こりゃあ面白くなって来やがった!」
巨人族――――この世界では身長が大きい人で十メートル近くまで及ぶ種族。
人間と魔族、どちらにも肩入れする事無く、中立を維持している。
そして先代魔王も人間族の前国王も、巨人達のその圧倒的な武力を欲したが、どちらも相手にされず、両者の目論見は頓挫した。
それでも尚、両者が巨人族と争わなかったのはそれだけ彼らの力が強大で、自らの陣営への被害を鑑みてのことだろう。
そんな先代達の英断などつゆ知らず、ゴラムは高笑いをしながら一直線に巨人族の住処へと猛進する。
その後、数日が経ったある日。
ゴラムの手により、巨大な門は壊される。
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