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転生ショタ魔王、世界平和の為に家出する〜チートを持ったお人好しによる世直し旅〜  作者: 青 王(あおきんぐ)
第五章 ブリジア ギガンテス編

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63話 ショタの特権


 女将からジャペンについての情報を聞き出し、みんなと合流した俺は自慢の温泉に入る為、部屋を出て長い廊下を歩いていた。



「温泉、楽しみねぇ。確かここの温泉は美肌効果があるそうよ?」


「へぇー。セリーヌにはもってこいだね……」


「ちょっとリリィ? それはどういう意味かな?」


 セリーヌは眉をピクつかせながら引きつった笑みを浮かべている。


「リリィはそんなの無くてもピチピチだからいいけど、セリーヌはそんな事もないのかなって」


「ガハァッ……!」


 セリーヌはリリィの無慈悲で無意識の口撃により、血反吐(※妄想)を吐いて壁に手を付きよりかかった。


 ――うわぁ……。これはクリティカルヒットだな……。

 リリィは特に悪気は無かったんだと思うが、だからこそセリーヌには来るものがあるんだろうな……。

 心中お察しします……。


「せ、セリーヌもまだまだ若いし全然大丈夫だよ……!!」


 俺は何とかセリーヌを元気づけようと声を掛けた。

 するとセリーヌは涙目で俺を見つめた。

 

「この中で一番若いエルきゅんに言われてもねぇ…………」


 結果は逆効果。

 セリーヌは更に絶望した表情を浮かべる。


「で、でもセリーヌさんとあまり歳が変わらないスカーレットさんも肌が綺麗ですし、きっと大丈夫ですよっ……!」


「ボンズ。女性に年齢の事を言うのは失礼ですよ?」


 スカーレットに注意されるも、ボンズは慌てた様子でこの状況を変えようと口を開いた。


 ――ボンズ……。お前は女心を何もわかっていない。

 まぁ俺にもわかるわけないのだが……。

 それでも多分、それは違うと思うぞ?


 そして俺の予想は見事的中し、セリーヌは遂に膝を抱えて座り込みいじけてしまった。


「別にいいよーだ。どうせ私は歳上のスカーレットよりも肌が綺麗じゃないですよー……」


 ――こんなセリーヌを見たのは初めてだ。

 なんと言うか少し表現が難しいが、一言で表すならば――――良い!! とても良いな! 普段は救いようのないドSだが、女性が弱っている姿というのはどうしてこうも儚げで可愛げがあるのか……!

 うん。セリーヌには暫くこのままでいてもらった方が良いかもしれないな。


 そんな暴論を頭の中で繰り広げていると、辞めておけばいいものを、ユーリが徐に口を開く。


「肌とか別にどうでもいいじゃん! セリーヌは今でも普通に美人だしなんだしさ! それより早く行かないと温泉が冷めちゃうよ?」


 ――ユーリよ、それで慰めたつもりか……?

 だとしたらそれはまたしても逆効果だぞ……。

 女性からすれば肌はどうでもいいものではないし、あと普通に美人というのも辞めろ?

 普通にって何? ってなるから。

 それと……温泉は、冷めない……。


「もういいわよ……! 私、ここの温泉で絶対綺麗になってやるんだからーー!! ユーリのアホー……!! アホ勇者ー……!!!」


 そう言い残しセリーヌは走って温泉へと先に行ってしまった。


「えぇー……。何で俺だけ……? 慰めたのに……?」


「ユーリはデリカシーが無さすぎます。もう少し女心を勉強した方が良いのでは?」


「スカーレットまでぇ……?」


「ユーリ……リリィは何が何だかわからないけどとりあえず――――サイテーだね……」


「わからないのに!? ひどいよみんなぁ……!」


 女性陣は何故かユーリにだけ当たりが厳しく、そう言い残すとそそくさと温泉へと向かって行った。


「ゆ、ユーリさんは何も悪くありませんよ。ただ、タイミングと言葉選びが悪かっただけで……」


「悪い所、あるんじゃん……。でもありがとう……。ボンズは優しいなぁ……!」


 へたり込むユーリの肩を優しく叩くと、ボンズは頑張って彼を慰めようとした。


「ねぇ、みんな先に行っちゃったし僕達も早く行こうよ?」


「そ、そうだね、エル君! オイラ達も温泉に行こう……!」


 俺が声をかけるとユーリはボンズの手を掴みゆっくりと立ち上がった。


「そうだな……! 早く行かないと温泉冷めちゃうしな!」


 ――いやだから、温泉は冷めないって……。


 ◇

 


 そして女性陣より少し遅れて俺達も赤と青で色分けされた暖簾が掛かる温泉の入り口の前に到着した。

 刹那――俺は重大なミスを犯していた事に気が付く。


「あっ……!!」


「うわっ!? 何、どうしたエル!?」


 俺が突然大声を上げるとユーリは驚きつつも心配そうに俺を見つめた。


 ――俺、ショタなんだからさ、もしかしてスカーレット達に混ざって合法的に女湯に入れたんじゃないのか!?

 クソっ……! 俺は何故、こんな重要な事にもっと早く気が付けなかったんだ……!!


「んー? まぁいいか。よし! 俺達も入ろうぜー!」


「そうですね……!」


 二人は怪訝な表情を浮かべた後、気持ちを切り替えて青の暖簾をくぐろうとした。

 

 ――いや、待て。まだ間に合う……!

 二人には悪いが、ここは行かせてもらう。

 俺はまだショタなんだし、自然にしていれば許されるだろう。

 そう。自然に。あくまで自然にだ。

 下心は一切見せるな……。


「うん! そうだね! ……じゃあ、また後で――」


 俺はそう言い残し、ユーリとボンズに手を振り赤の暖簾をくぐる――――が、すぐにユーリに手を捕まれ引き戻される。


「おい、エル! そっちは女湯だぞ? エルは男なんだからこっち! もう、しょうがないヤツだなー!」


 ――誰がしょうがないヤツだ……!

 お前にだけは言われたくないわ!

 にしても、このままではユーリにガチムチ地獄に連れていかれてしまう。

 何か言い訳はないか――――あ、そうだ……!


 

「でも僕、小さい時からスカーレットに身体を洗ってもらってたから……。一人じゃ上手く洗えないよ……」


「そ、それは……スカーレットと一緒にお風呂に入ってたってことか……?」


 ユーリの問いかけに俺は短く頷いた。

 本当のところは一緒に風呂に入っていたのではなく、服を着たスカーレットに身体を洗ってもらっていただけなのだが……。


「な、なんだと……? ――――ブフォッ……!」


「スカーレットさんと……お風呂……えへぇ」


 何を想像したのか、ユーリは鼻血を吹き出し、ボンズは鼻の下を伸ばしにやけ始めた。


「だから、僕。こっちに入るね……?」


 そう言い俺は再び赤の暖簾の向こう側へと足を踏み出す。

 しかし――――


「い、行かせるか……。行かせないぞぉぉぉぉ!!!」


 何かが吹っ切れたユーリに力強く手を引かれ俺はまた外に出されてしまった。


「うんうん……! 今日はオイラが身体を洗ってあげるから……! ね!?」


 ――だ、誰がお前みたいなガチムチに身体を洗われたいんだよ!?

 ふざけんなっ!!


「ほら! 早く行くぞ!」


「おいでー、エルくーん。いい子だからー」


「いーやーだーーー!! はーなーせーー!!!」


 必死の抵抗も虚しく、ユーリとボンズに引きづられ、俺は青の暖簾をくぐった。



 ◇



 ――最悪だ……。

 ここは何だ? 地獄か……?


 俺の眼前に広がるのはガチムチの世界。

 身体にいくつもの傷を持つ屈強な戦士や冒険者の裸がどこを見ても視界に入る。

 

 そして俺の目の前には細身ながらも引き締まった筋肉を持つ勇者ユーリ。

 俺の後ろにはその巨乳――ではなく分厚い胸板を惜しげも無く押し付けてくる漢、ボンズ。


「はーい、じゃあまずは頭を洗っていくからねー! エル君、目をつぶってくれるかなー?」


 ――ボンズは俺の事を何歳だと思っているんだ?

 その声掛けはまるで、十歳より下、幼児に向けるようなものではないのか?

 そしてボンズの妙に優しい手付きが逆に気持ち悪い……。


「エル、君も男なんだからそろそろ一人で身体くらい洗えるようにならなきゃ駄目だぞ?」


 ――うるさい黙れ。

 身体くらい自分で洗えるわっ!

 でもスカーレットに洗って貰えるなら話が変わってくるだろう!?

 そりゃあいつまでも自分で洗えないフリをするだろ!?

 当然だよね!?

 


 そして俺は頭の中で二人に悪態をつきながら、細マッチョとガチムチにより身体を隅々まで洗われた。


 ◇

 

 その後、俺達は露天風呂へと移動したのだが、そこは一枚の壁で隔てられているだけで隣の女湯から声が丸聞こえだった。


「やっぱりスカーレット、あなた胸が大きいのね……。完敗だわ……」


「そういうセリーヌこそ、中々のモノをお持ちじゃないですか」


「二人が羨ましい……。リリィなんて……」


「そんな事ないわ! リリィの、小ぶりだけど綺麗な胸も凄く魅力的よ?」


「そ、そう……?」


「勿論です。リリィはもっと自分に自信を持っていいのですよ」


「自信をつければ、リリィも二人みたいに……。えいっ……!」


「「きゃあっ!!」」


「えいえい……!!」


「こら、ちょっ、リリィ……!?」


「やめてくだ……さいっ。リリィ……?」



 隣から聞こえる女子達のキャッキャウフフな声にユーリとボンズは股間を押さえ、俺は血の涙を流した。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

これからも本作品をよろしくお願いします!


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