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転生ショタ魔王、世界平和の為に家出する〜チートを持ったお人好しによる世直し旅〜  作者: 青 王(あおきんぐ)
第五章 ブリジア ギガンテス編

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62話 温泉街ブリジア


 俺達はヤッカムのパーティーから追放された冒険者ウィルと共に、彼の故郷であるブリジアへと向かった。


 ブリジアはこの世界では有名な温泉街。

 現代日本でいうところの草津や箱根みたいなものだろうか。

 ウィルが言うには、街は海に面したウォルトスから北の山の方へ歩いて行った所にあるらしい。


 ウィルの案内の元、俺達は荒野を警戒しながら歩いて進んでいたのだが、先程彼が持っていたペンダントからサキュバスの香りを抜いたおかげか、道中で魔物に襲われる事は一切なく拍子抜けする程あっさりとブリジアへ到着した。



 ◇



「ついたぁーー!! ここがブリジアだーー!!」


 街へ到着するやいなや、ユーリは飛び跳ねて喜んだ。


「やけに元気だね? そんなにブリジアに来たかったの?」


「うん! だって温泉街だよ!? 色んなこーのーがあるって聞くし楽しみだよ!」


 俺がそう問いかけるとユーリはやけに嬉しそうに返答した。


「効能ね……。ユーリ、ちゃんと意味わかってる?」


「いや! わかんない! とにかく凄いんでしょ!?」


 ――わからないのかよ!

 じゃあ何を楽しみにして来たんだよ?

 本当にアホだなコイツは……。


「ユーリ。効能というのはですね――――」


「――――あー、うん……へぇー?」

 

 俺が頭を抱えていると、それを見兼ねたスカーレットがユーリに効能について説明を始めた。

 するとユーリの表情から次第に明るさが消え、遂には真っ青になり口から魂が抜けるのではないかと思える程にポカンとしていた。


「スカーレット、やめなさい? ユーリはもう虫の息よ……」


「セリーヌ……気遣いありがとう。次からはもう少し早く助け……てほしい……な……ガクッ」


 セリーヌは首を横に振りながらスカーレットの肩を軽く叩く。

 そしてユーリは小さな頭に突然、大量の知識を注がれたからか真っ白な灰になった。


「勇者ユーリは死んだ……。短い人生だったけど、世界の為によく戦った……。君のおかげで世界は平和になったよ……。ありがとう勇者……ありがとうユーリ……!」


「死んでなーい!! リリィ? 俺、死んでないから……!!」


 リリィがよくある打ち切り漫画の最終話のようなナレーションを話すと、ユーリはツッコミながら復活した。


「それにしても賑わっていますねー! オイラ山育ちだからこの街の空気は故郷のものに近くて凄く落ち着きます!」


 ボンズもとても楽しそうにしていた。

 出店が立ち並ぶ賑やかな街を見て目を輝かせていた。


「そっか! ボンズは山育ちなんだね! ここも山に近いけど、ボンズの故郷はまだ遠いの?」


「そうなんだよー! オイラの故郷はブリジアから歩いてだいたい五日くらいかな?」


「あら、割と近いのね? なら次はボンズの故郷へ立ち寄るのもいいかもしれないわね」


「それは……ちょっと……」


 セリーヌがそう提案をするとボンズは途端に浮かない表情を浮かべた。

 

 ――ボンズは故郷で何かあったのだろうか。

 まぁ人には触れてほしくない事もあるだろう。

 ここはそっとしておいた方がよさそうだな。

 


「それよりさ! ここ温泉が有名なんだし、せっかくだから入って行こうよ!」


「それなら僕の家に来ますか? うち、街で一番の温泉旅館なんですよ!」


「いいわね! 行きましょ?」


「わーい……! リリィも温泉入る……!」


「お、オイラもいいですか!?」


 話を変えようと俺が一つ提案をすると、ウィルの両親が営む旅館へ招待してくれる事になった。

 みんなはとてもわかりやすくはしゃいでいる。


「勿論! 皆さんにはお世話になったので是非!」


「「「わーい!!」」」


「やったぜー! こーのー! こーのー!」


 そして俺達はウィルの後に続いて旅館まで歩き始めた。

 その後ろでユーリは謎の変な音頭を踊りながら意味も知らない言葉を口ずさんでいた。


 ――だからお前は効能の意味を知らんだろうが。

 しかも訳のわからない音頭まで踊りやがって……。


 それにしてもウィルは温泉旅館の息子だったのか。

 そりゃあ家も継がずに冒険者になるなんて言ったら両親は反対するよなぁ。

 よくそれを押し切って出て来たもんだ。

 でも何でそこまでして冒険者になりたかったのだろうか。

 後で聞いてみるか。


 そんな事を考えているうちにウィルの実家である温泉旅館へと到着した。



 ◇



「いらっしゃいませぇ。よくぞお越しくださいました」


 俺達が旅館へ入ると着物に袖を通した女性が頭を下げ出迎えてくれた。


 ――Oh! This is ジャパニーズ・オモテナシ、アンド ジャパニーズ・オカミ……!!

 

 いや、割とマジで久しぶりに見たな……。

 日本では当たり前の光景がこっちでは全然見ないもんな。

 何だか凄く懐かしい……。


「当館のご利用は初めてで――――っ!? はぁあ……」


 俺が感傷に浸っていると、女性は顔を上げた。

 そして息子が帰ってきた事に気が付くとその場に倒れ込んでしまった。

 余程驚いたのだろう。ウィルはすぐさま女性に駆け寄り声をかけた。


「母さん! 大丈夫!?」


「あぁウィル……。帰って来たんだね……。どれだけ心配したと思ってんのさ……」


「ごめん、母さん……」


 親子の感動の再会に俺と勇者パーティーの面々は感動していた。

 ユーリやボンズなんて涙を流していた。

 こういう時って男の方が涙脆いのは何故だろう。


 そんな事を考えているとスカーレットが徐に口を開いた。


「あの、すみません。そんな事より早く部屋に案内していただけませんか? あと温泉にも入りたいのですが」


 ――スカーレット……!?

 この状況、このタイミングでよくもまぁそんな事が言えるな!?

 映画の感動的なシーンで隣の席の人にデカい音で鼻をかまれるより冷めるわ!!

 これが魔族なのか!?

 これが人間との違いなのか!?

 貴様の血は何色だァー!?

 


「あ……! はいっ! 失礼いたしました……! ささっこちらへ!」


 スカーレットが水をさしたせいでウィルの母親は涙をふいてスっと立ち上がり俺達を部屋へ案内した。


 ――本当に申し訳ない……。

 うちの馬鹿世話係がとんだヘマを……。

 


「まったく、スカーレットったら。少しは空気読めないの!?」


「空気は読むものではなく吸うものです。それにエル様を待たせてあんな物を見せられても困ります」


 空気の読めないスカーレットにセリーヌはチクリと嫌味を放つ。

 しかしスカーレットには全く効果がなかった。


「困りますって……。スカーレットさんは良くも悪くもエル君が中心なんですね」


「当たり前ですボンズ。私はエル様のお世話係。エル様を全ての中心に考えるのは当然の事です」


「すーごい忠誠心だねぇ。エルが羨ましいよー」


 ボンズはスカーレットの俺に対する忠誠心を指摘し、ユーリは羨ましがった。


 ――まぁ確かにスカーレットは美人だし、有能だし?

 そんな人に世話してもらえる俺は恵まれているんだろうけど、スカーレットは重度のショタコンだからな。

 腹の中で何を考えているのかわかったもんじゃない。


 いつ襲われるかヒヤヒヤしながら生活する俺の身にもなって欲しい。

 まぁ俺は? いつでもウェルカムなんだけどな?


 

 そうこうしていると部屋へ到着した。

 部屋は畳張りの和室でまるっきり温泉旅館のソレだった。


「こちらのお部屋をご自由にお使いください。お食事は時間になりましたらお部屋にお持ちいたしますので、それまではごゆっくりおくつろぎ下さい。温泉は部屋を出て廊下を真っ直ぐ行けば突き当たりにございます」


「こんな立派なお部屋をありがとうございます!」


「いえいえ。息子がお世話になったのですからこれくらいは当然のことです。それでは――」


 そういうとウィルの母親は部屋を後にした。

 しかし俺はどうしても気になる事があったので女性の後を追った。



「女将さん! ちょっと待って!」


「あら僕! どうしたの?」


「ちょっと聞きたいことがあって!」


「何かしら?」


 女将さんはそういうと膝をおり、俺と目線を合わせた。


「女将さんの服とかお部屋の畳とか。他の街ではあまり見かけない物だけど、あれはこの街の特産品なの?」


「いいえ、違うわ。これは海を渡って東にある『ジャペン』という独立都市の物よ。独立都市というだけあって他の街とあまり交流を行わないのだけれど、ブリジアだけとは交易をしてるの。だからこの街には見慣れない物が多いのだと思うわ」


 ――ジャペンだと……!?

 郷ひ○みかよ!! 『郷です! ジャペェーン!』じゃないんだから……!!


 ていうかそのジャペンって独立都市。

 もしかして日本そっくりなんじゃないか?

 てことはそこにアレもあるんじゃない!?


「そうなんだ! じゃあそのジャペンには……お米とかもあったりするの?」


「よく知ってるわねぇ。勿論あるわよ。今日の夕食にもお米は出すつもりだし、堪能していくといいわ」


「やったぁー! 楽しみにしてるね!! 女将さん、どうもありがとう!」


 俺は女将に礼を言うとみんなが待つ部屋へと戻った。


 ――やはり米はあるのか……!

 こっちに来てから十年は食べていない米……。

 異世界転生モノのラノベ主人公がやたら米米言うの鬱陶しいなと思っていたけど、漸く気持ちがわかった。


 日本人の主食は米だ!!!

 俺は必ずジャペンに行くぞ!

 今決めた! 絶対に行く!!


 俺は新たな決意を胸にみんなと共に大浴場へと向かった。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

これからも本作品をよろしくお願いします!


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