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4話 五芒星


 俺は早速、配下の者達についてよく知る為に、スカーレットを部屋へ呼び、話を聞く事にした。


 ◇

 


「魔王様の配下ですか? そうですね。皆様、強い方が多いですが、中でも『五芒星』と呼ばれる五名の方々は格が違います」

 

「ほぉ。五芒星か。どんな奴がいるんだ?」

 

「まずは五芒星の中で一番強いと言われている『六属性使い(シックス・センス)』シエスタ様でしょうか」


 ――せ、セッ〇ス・センスだと……!?


「何と卑猥な……」


「……? "シックス"・センスです」


 俺の心の声を聞いたのか、スカーレットは怪訝な表情を浮かべながらも、即座に訂正してくれた。

 

「あ……? あぁ、そうか、シックス・センスか。して、そのシエスタとはどんな奴なんだ?」

 

「はい。シエスタ様は非常に頭がキレる方で、魔法はその二つ名の通り、先代魔王様の七つに次いで魔族内で二番目に多い六属性の使い手です。しかもその全てが上級以上ですので相当にお強いです」


 ――六属性魔法の使い手だと!?

 俺なんて全属性の魔法適正が0なんだぞ!?

 ふざけんな!! どんだけチートだよ!?


 そう心の中で叫んでいた俺だったが、スカーレットに弱みを見せてはいけないと必死に魔王としての威厳を取り繕った。所謂"魔王ムーブ"である。


「…………それで? 他の奴らはどんなだ?」

 

「では、ここからは順に紹介させて頂きますね」


  俺がそれに頷くとスカーレットは説明を続けた。

 

「お一方目は"破壊屋"ゴラム様。ゴラム様はゴーレム魔人で、恵まれた体格と強靭な肉体でどんなものでも破壊します」


 ――ゴーレム魔人ゴラム……。えぐ強そうじゃん……。

 聞いた感じ脳筋そうだし、コイツは争いをやめろと言っても聞かなそうだな……。


「お二方目は"血鬼女帝"アイリス様。アイリス様は吸血鬼の固有スキルで血を使って戦います。また自らの血を他者に与える事でその者を眷属として従える事が出来ます」

 

 ――女吸血鬼アイリス……。

 コイツは高飛車な女王様みたいなイメージだな。

 血を使って戦う吸血鬼は現代のアニメやゲームの中ではかなりの強者だった気が……。


「お三方目は"風来坊"ダグラス様。ダグラス様は最強種、龍族の族長であり先代魔王様との戦闘で一歩及ばす敗北した事から魔族に組みする事となりました。しかしながら最強種の力は伊達ではなく、龍族固有スキルの風属性を操ります」


 ――龍族長ダグラス……。

 最強種の龍族に、何で俺のパッパさんは勝てちゃったの……?

 負けて潔く魔族に組みするあたり、プライド高そうだしコイツも争いをやめてはくれなさそうだな……。


「最後の方は"不死"ロクサーヌ様。ロクサーヌ様はアンデッドを束ねるリッチーであり、強大な魔力量とシエスタ様に次ぐ魔族で三番目に多い五属性魔法を操ります。加えてその五属性全てを特級まで使えるのでそれだけでもお強い事が理解出来るかと思います」


 ――リッチーのロクサーヌ……。

 リッチーと言えばアンデッドを使役しつつ、自分が戦ってもかなり強いみたいなこれまたチート級の化け物だよな……。

 どいつとこいつも一筋縄ではいかなそうだ……。

 ははは……。参ったなこりゃ……。


 

 俺はその場に座り込み、五芒星の圧倒的な力量を聞かされた事で顔が引きつり、腰が抜け立てなくなっていた。


「魔王様……」


  ――ハッ……!! ダメだ……。

 このままではスカーレットに「魔王様って大した事ないのね」って思われてしまう……!

 何とかして立ち上がらないと……!

 

 しかしそんな想いとは裏腹に俺は立ち上がる事が出来なかった。


「さすが魔王様です!! お強い五芒星の方のお話を聞いても臆するどころか、余裕の笑みを浮かべながら堂々とした御様子で座っていらっしゃるとは!!!」

(笑った顔も素敵……!)

 

「……へ?」


 しかし俺の気持ちとは裏腹に、目を輝かせて拍手をしているスカーレット。俺は戸惑いつつもスカーレットの言う事に合わせる事にした。


「ハーハッハッハ!! そうだろう! 俺は魔王だぞ!? 配下の者の強さを知ったところで、俺の足元にも及ばん雑魚共に一々狼狽えていられるか!!」

 

「さすがです! 魔王様!! 私共は一生貴方様について参ります!!」

(きゅん!! まだ赤子だというのにこの圧倒的な王の器! さすがです魔王様! 素敵過ぎて蕩けそうです……)

 

「そうかそうか! ハーハッハッハ!」


 ――いや、マジでどうすんだよ……。

 笑い事じゃないぞ……。

 五芒星めちゃくちゃ強そうじゃん。

 コイツらを止めない事には争いは終わらなそうだし、とにかく俺は強くなって自力でコイツらを止められるようにならないと……。


 そんな俺の内心とは真逆の感情を乗せた高笑いが部屋の中にこだましていた。


 

 ◇


 

 それからというもの。俺は『言霊』の鍛錬に没頭した。何とか特級の魔法に対抗出来る技がないか頭の中の語彙力をフル活用して色々と試した。

 

 試している段階で魔王城への被害が甚大となり、スカーレットと共に魔族領の僻地にある離れへと移住させられたりもしたが、強くなる前に五芒星の奴らと会わなくて済んだので俺としては有り難かった。


 その後も俺は鍛錬を続け、僻地に飛ばされた事で得た利点のもう一つである、広い荒野に特級魔法に匹敵する効果を持った『言霊』を試し続けた。

 それはそれは血のにじむような地獄の様な毎日だった。

 そしてその地獄の様な日々は十年にも及んだ――――



 ◇

 


 十年後


 

 ――俺は十歳になっていた。

 まぁ十年経ったのだから当たり前なのだが。

 そして皆も気になっているだろう『あの事』について話そうと思う。

 

 そう。『スカーレットと過ごした十年』だ!

 出る所は出て、凹む所は凹んで、顔もとても美しい。

 それに俺は子供でスカーレットは人間で言う所の二五歳くらいのお姉さんだ。

 俺が前世で大好物だったおねショタ展開待ったナシだ!! ――――と思っていたのだが……。

 

 前世で培った童貞魂(D.T.スピリット)は伊達ではなかった。

 自分から行動することは愚か、毎日一緒にいても俺を誘ってくる気配がないスカーレットと、日々悶々としている俺が交わる事は一切無かった。


 じゃあその悶々とした気持ちはどうしたかって?

 そんなもの決まっているじゃないか。

 それは自家発で――――


 

「魔王様。魔王城へと向かう準備が整いました」

(はぁ……。あれから十年。魔王様とずっと一緒にいられたのに遂には何も出来ませんでした……)

 

「そうか。ご苦労。暫し待て」


 俺の心の中の言葉を遮るかの様に、スカーレットは俺に声を掛けてきた。

 そう。今日はいよいよ五芒星と有象無象の魔族達が一堂に会する式典『魔王様十歳のお誕生日会&お披露目会』の日だった。

 

 ネーミングのせいで何故か緩く聞こえるかもしれないが、五芒星の他にも屈強な配下達が集まっている様で、俺は心臓が口から出そうな程に緊張していた。


 それもそのはず、俺は転生してから今日まで五芒星は愚か、スカーレット以外の魔族と会ったことが無い。

 それに加えて今日の式典で俺は『人間族との争いを辞める宣言』をするつもりだったからだ。

 


「さすが魔王様。正装も良くお似合いです」

(きゅん……! 正装した魔王様も素敵……! 魔王様じゃなかったら襲っているところでしたわ……)

 

「ふんっ。当然だろう? 何せ魔王だからな」


 俺は緊張を押し殺し、スカーレットの声にキリッとした表情でそう答え、よくわからない魔物が引く馬車へと乗り込んだ。


 内心緊張でガチガチの俺と、何故か俺の姿を見て顔を赤くしているスカーレットを乗せて馬車は魔王城へと向かい走り出した。

 

 


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