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2話 爆誕


 新たな世界で目が覚めると俺は小さなベッドで寝かされていた。


 自分の体を確認するとどうやら本当に赤ちゃんになっているみたいだ。手や足やアソコまで全てが小さい。

 頭を触ってみると小さな角が二本生えていた。どうやら女神様の言う通り、俺は魔王の息子に転生する事に成功したみたいだ。



「魔王様、ようやくお目覚めですか?」


 俺が転生した事を理解すると一人の女性の声がした。

 その声の方に目を向けると赤色の長い髪がスラッと腰まで伸びて、肌の露出が人間の羞恥心では考えられない程多い服……ともいえない何かを着て、頭に二本の立派な角が生えている超絶美女が立っていた。


「あらあら……魔王様ともあろうお方がおもらしなどなさって……」

(おもらしをなさる魔王様……可愛すぎる……!)

 

「おもらしだと!?」


 俺は思わず声を出してしまった。

 おもらしなんて小さい頃以来だったからだ。気が動転してしまったのだ。

 

 ――いや、でも今俺はその赤ん坊だから仕方ないのか? ていうか俺、こんな美人さんにおもらしを見られちゃったのか? は……恥ずかしすぎる!!!!

 

 そして俺の声に驚いたのか、女はまじまじと俺の顔を見ていた。そして俺もとある事に気付き驚いていた。

 

 ――俺、声まで高くなってる……! って赤ん坊だからそらそうか……。

 それよりショタボだぞ、ショタボ……!

 因みに俺が好きなアレのジャンルはおねショ――――


「ま、魔王様……今お話しになられましたか……?」

(え!? 今の魔王様のお声? 可愛すぎる……!)

 

 俺が好きなアレのジャンルを考えていると、美女は俺にそう聞いてきた。


 ――あ、いきなり喋ったらまずかったか?

 そらそうだよな、まだ赤ん坊だしな……。

 人間じゃなくて魔族だからそんな事もあるかもとか思ったりもしたんだけど、この様子じゃ魔族の赤ん坊も普通に喋ったりしないようだ。

 


「おぎゃーーー! おぎゃーー!」


 俺はここで一つ、赤ん坊らしく泣いてみた。

 

「き、気のせいですよね…。さっ、急いでおしめを変えて差し上げなければ……!」

(いけない私ったら。魔王様が可愛すぎて幻聴まで聞こえ始めてしまったわ……)


 そう言うと美女はおしめを変える為、俺の下半身をあらわにした。


「お、おい! ちょっとまてぇ!!」

 

「!? !? !?」


 美女は俺のおしめを持ったまま俺の顔を再度まじまじと見た。

 

 ――とても驚いている。そらそうだ。

 また俺が喋ってしまったからだよな。

 そら急に下半身を露出させられたら普通の童貞男性なら声くらい出すだろうて。

 しかも美女が肌を露出しているというオマケ付きだぞ?

 


「魔王様……先程からやはりお話しをなさっておりますよね……?」

(魔王様とお話!? 魔王様とお話したい! したい!)

 

「…………。あぁもうめんどくさい! 自分でやるから俺の下半身を露わにするのはやめてくれ!」


 喋れないフリをするのも面倒になったので俺はもう普通に喋る事にした。

 あとこんな美女に下半身を見られるのはさすがに恥ずかしい。

 美女は口を大きく開けて驚いた様子で俺の顔を見ていた。


「魔王様……。何故話せるのですか……? つい一ヶ月ほど前に生まれたばかりだといいますのに……」

(魔王様が私とお話して下さっている……! 愛らしいお声で……!)

 

「俺にも色々あるんだよ……。で? 君は誰?」

 

「あ、申し遅れました。わたくし魔王様の身の回りのお世話を担当しております、スカーレットと申します」


 ――この美女はスカーレットというのか。

 髪の色と名前がマッチしていて覚えやすくていいな。

 そしてこのスカーレット。俺が喋れることにもう順応し始めている。さてはコイツ……有能だな。


「して、スカーレット。さっきから俺を魔王と呼ぶが俺にも親がいるだろう? 現魔王の――――」

 

「えぇ。ですがお父上、先代魔王様は貴方様が生まれる時に亡くなられました……。ですからまだ赤子でいらっしゃいますが貴方様が現魔王様なのでございます」


 ――やっぱりあの女神様、ちゃんと先代魔王を殺してたのか……。ったく……どんだけ人間族との争いを止めたいんだよ……。


「そうか……。で? 俺に名前はあるのか?」

 

「勿論でございます。貴方様のお名前は『バン・メヌエセント・グリトグラ・テンスラ・オバロ・コノスバ・ダンマチ・リゼロ・コノヨノダレヨリモオヒトヨシ・メッチャイイヤツ・ダケドドウテイ・エルグレイド三世』でございます」

 

「………………。」


 ――何だよ、その名前!?

 馬鹿みたいに長いし、途中に現代のアニメタイトルめっちゃ入ってたし、ぐりとぐらとかまであるし、最後めっちゃ良い奴だけど童貞とか言ってなかったか!?

 この名前を俺に付けた奴は、必ず粛清しなければいけないな……。


「そ、そうか……。とりあえず名前長すぎるし、これから俺はエルと名乗る事にする」

 

「承知致しました。魔王様」


 そう言うとスカーレットはベットの脇に膝まづき深々と頭を下げた。

 

 ――魔族の奴らは名前を知っていても魔王様って呼ぶんだな。

 まぁそういうものなんだろうな魔族ってやつは。


「そろそろ【立つ】か……。よっこらせっと!」

 

「あ! 危ないです魔王様!」


 俺は徐ろにベットから飛び降りるとスカーレットが慌てて俺の体を支える。しかし俺はその支えがなくても普通に直立した。


「ま、魔王様……! もう既に立つことまで……!」

(あぁ……なんと凛々しい立ち姿……!)

 

「魔王だぞ? このくらいの事容易いわ! わーはっはっはっ!」


 スカーレットの褒め方が上手いのか俺は凄く上機嫌になってしまった。自分の新たな一面を知った瞬間だった。

 

 ――にしても普通に立てたな…。

 俺はまだ赤ん坊のはずだが……。


「ほーら見ろスカーレット! 立てるだけではなく【歩けもするし、走れもする】ぞ?」


 そして俺はそう言うと部屋の中をぐるぐると歩いたり走ったりした。


 ――いや、歩けるのかよ!

 普通赤ん坊にはこんな事出来ないはずだろ!?

 何故だ!? 俺が魔王だからか!? 転生者だからか!?

 

「本当でございますね! 素晴らしいです! さすが魔王様でございます!!」

(歩くだけでこんなにも自慢気になられて……! 可愛すぎる……!!!)


 するとスカーレットは俺の戸惑いとは裏腹に、手を叩いて俺を褒め称えた。おかげで俺は更に上機嫌になってしまった。

 

 こうして俺が転生して来た新たな世界に、生後僅か一ヶ月にして早々にベラベラと喋り、その辺をスタスタと歩き、走り回る天才魔王様が誕生したのだった。

 


「生後一ヶ月でこの様子ならば、人間族を滅ぼすのもそう遠くはありませんね! 我が魔族は安泰でございます!」

 

「……何?」


 しかし俺の上機嫌はスカーレットのその言葉によって一瞬にして終わった。

 



ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

これからも本作品をよろしくお願いします!


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