24話 第二の街ウォルトス
予想だにしていなかったスカーレットの料理による全滅の危機から脱した俺達は、旅を続け遂に第二の街〈ウォルトス〉へと到着した。
「うわぁー! 綺麗だなー! ここが水の都ウォルトスかー!」
「凄く美しい所ね。そこら中に川が流れていて、街の中心には大きな噴水があるそうよ?」
「リリィ、水は嫌い……。エル、早く美味しい魚食べに行こ……」
「僕も噴水とか見たいよリリィ。魚は後じゃダメ?」
「お、オイラも噴水見たいな。あと海も!」
俺達は初めて来たウォルトスに浮かれていた。
すると俺の横にいたスカーレットが口を開いた。
「皆様、はしゃいでいる所申し訳ないのですが、まずは今日の宿をとらないといけません。宿は街の中心、噴水の近くにあります。次にこの街での魔族の調査。それと何故かもう既に無くなってしまった食材の調達。やる事は沢山あります。遊んでばかりではいられませんよ」
すると皆は蛇に睨まれた蛙の如く、固まり、黙った。
――その食材を殆ど使い切ったのはスカーレットなんだけどな……。
そう思いつつも、確かにスカーレットの言う事は正しかったので、そこで俺はある提案をした。
「じゃあ僕達を三つの班に分けよう! 宿を取る班と、食材の調達をする班と、魔族の調査をする班に!」
そしてくじ引きによる厳正なる抽選の結果――――
〈宿とり班〉エルとリリィ
「わーい。エルと一緒だー。さっさと宿とって、魚食べ行こ……!」
「う、うん。そうだね。でも、とりあえずちゃんと宿はとるからね?」
〈魔族調査班〉ユーリとボンズ
「よーし! 魔族の調査頑張ろうな! ボンズ!」
「えぇぇーー……。オイラ、魔族の調査だけは嫌だったんですよー……」
〈食材調達班〉スカーレットとセリーヌ
「何で私がスカーレットと一緒なのよ!?」
「厳正な抽選の結果です。受け入れましょう」
このように決まった。
やや不安が残る結果となったが、まぁみんなやる時はやる奴らだ。何も心配はしていない。
「納得いかないわ! 班決めの再抽選を希望するわ!」
「お、オイラも出来れば魔族の調査以外がいいなーって……」
しかし、セリーヌはスカーレットと同じ班なのが余程嫌なのか、再抽選を強く希望した。
そしてそれに同調するようにボンズも手を挙げた。
「ボンズ……。いつまでも魔族から逃げてちゃ駄目だよ! せっかく恵まれた体格をしてるのに勿体ないよ! 宝の持ち腐れだよ!!!」
俺は語気を強くしてボンズにそう言った。
「そうだよ、ボンズ! 俺達は魔族を倒す為に集められたメンバーだ。ボンズも俺のように魔族に臆せず立ち向かえる度胸を身に付けないとな!」
――お前の場合は度胸ではなく、聖剣をしっかり使いこなす技量と知力を身に付けような。
「えーー……。うーん、そう……だよね……。わかったよ。ユーリさんとエル君がそこまで言うなら、オイラ頑張るよ!」
するとボンズはかなり悩んだ末、何とか魔族の調査を引き受けてくれる気になったようだ。
まったく、この臆病者にも困ったものだ。
「おぉ! よく言ったボンズ! それでこそ男だ!」
そして何やら調子に乗っているアホ勇者に俺は少しお灸を据えてやることにした。
「うん! 頑張ってね、ボンズ! それとユーリも、ボンズにあまり迷惑かけないようにね?」
「え? 何で俺?」
俺が据えてやったお灸に、ユーリは全くピンと来ていない様子だった。
それじゃあ意味がないのだよ、ユーリ君……。
「何でって……。ボンズがいくら強くなって守ってくれても、聖剣を持ってるユーリが攻撃を当てられないんじゃ話にならないでしょ?」
「あ、そっか。いやー、エルは賢いなー! よし、俺も頑張らないとな!」
残念ながらユーリには全く響かなかったようだ。
――そして俺が賢いのではなく、お前がアホなのだよユーリ。
それにしてもこの二人に魔族の調査をさせて大丈夫なのだろうか。
色々ツッコんでいく内に不安になってきた……。
そしてセリーヌはというと。
「セリーヌ。そんな子供の様な事言うもんじゃありませんよ。子供の様な事を言っていいのは子供だけです。貴女は大人でしょう?」
スカーレットにド正論をぶちかまされていた。
「…………。ぐうの音も出ないとは正にこの事ね……。ならせめて、足は引っ張らないでちょうだいね!」
スカーレットが正論をかましただけに、セリーヌは何も言い返せなかった。
その後、一矢報いようとしたのか、セリーヌはざまぁされる偉そうな悪役の様な言葉を放った。
「どっちがですか……。貴女、食材の買い物とかした事はあるのですか? 見た所、そこそこの家柄の出のようですが?」
しかし、スカーレットには効果がないようだ……。
続いてスカーレットの非情な追い討ちがセリーヌを襲った。
「………………。う、うるさいわね……。した事ないわよ、買い物なんて……。それに今は私の家の事は関係ないでしょ!?」
こうかはばつぐんだ。
セリーヌのHPは残り僅かだ。
「それとエル様の二人は仲良くしろというお言葉をお忘れですか? 私は普通に話しているというのに、セリーヌがその態度だと私は困ってしまいます」
続けてスカーレットは一撃必殺【エル様のお言葉】を放った。
「そ、そうだった……」
こうかはばつぐんだ。
セリーヌは倒れた。
スカーレットにそう言われ、セリーヌは膝から崩れ落ち、項垂れた後、俺の顔をチラッと見た。
そこで俺はあえて、わざと怒った顔を見せた。
「え、エルきゅん? 大丈夫よー? 私達は仲良しだからねー? ね?」
するとセリーヌはそう言いながら立ち上がり、スカーレットの腕を抱き体をくっつけた。
仲良しアピールのつもりなのだろう。
「うん! 二人が仲良しでよかったー!」
俺は全力の笑顔で返事をした。
セリーヌはほっと胸を撫で下ろしていた。
その横でスカーレットは俺に向かって、物凄いドヤ顔を向けて来る。
――うんうん。わかったよ。
スカーレット、よくやった。
俺はそう言わんばかりに、スカーレットに対し二、三度黙って頷いた。
するとスカーレットはとても満足そうに微笑んでいた。
――それでいいのか……スカーレットよ。
すると俺の横にいたリリィが俺の服の裾をグイッと引っ張った。
「ねぇ、エル……。早く魚食べ行こ……」
「そ、そうだよね! そろそろ行こうか! 魚より先に宿だけどね……」
そして俺達は夜に宿屋へ集合する約束をし、三班に分かれて行動を開始したのだった。
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