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転生ショタ魔王、世界平和の為に家出する〜チートを持ったお人好しによる世直し旅〜  作者: 青 王(あおきんぐ)
第三章 メテック編

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22話 新たな旅立ち


 俺とスカーレットが勇者パーティーに合流して暫く。俺達は魔物の討伐を報告する為、領主の屋敷へと来ていた。


 ◇

 


「おぉ、勇者様方。魔物を討伐してくれたのか?」


 領主は相変わらず怪我のせいで床に伏していた。

 

「勿論です! ここら辺にいた魔物は全て全滅させました!」


 ――おいおい、何だ、その『全て全滅させました』って言い方は……?

 まるで『車でドライブしました』みたいな言い方しやがって。

 アホ丸出しだからやめておけ……?


 俺がそう頭の中でツッコミを入れていると、領主は何も不思議に思わなかったのか、普通に礼を言っていた。



「そうかそうか。ありがとう。さて、それじゃあ報酬を――――」


「そ、そんな! いけませんよ! 俺達は勇者パーティーです! 魔族の驚異から人々を守るのが役目です! なので報酬なんて受け取れません!!」

 

 ――アホか……!!

 報酬くれるって言ってるんだから、そこは貰っときなさいよ!!

 無償で命をかけているのか貴様は!?

 

 俺がそう思っていると、スカーレットが後ろからユーリに声をかけた。


「報酬は貰っておきましょう。これからの旅にお金は必要になります」


 すると残りの三人もスカーレットに便乗して口を開き始める。


「そうよ。旅をするのにお金はかかるわ。ここは素直に頂いておきましょうよ」


「リリィも美味しいご飯、食べたい……。魚がいい……!」


「お、オイラもお金は大事だと思う……!」


 俺以外の四人からそう言われ、ユーリはあっさりと心変わりし、領主から報酬を受け取った。

 因みに報酬は一〇万ゴルド。

 流石に王都の時のように一〇〇万とはいかなかったが、それでも十分な旅の資金になる。

 これを貰わないなど、ユーリは勇者としては良い奴なのだろうが、パーティーのリーダーとしては失格だな。


 

 すると、領主の横にいたミアが俺とスカーレットの前に立ち、深く頭を下げた。


「私の事を助けて頂き感謝しています。この度は本当にありがとうございました」


「いえいえ。私は当然の事をしたまでですよ」

(私は何もしていないのですが……)


「いーえ! ミアも無事で良かったね!」


 俺がそう言うとミアは首を傾げながら、不思議そうな表情で口を開く。

 

「えぇ。ですが私、途中からの記憶が曖昧でして……。エル様が部屋に入ってきたところまでは覚えているのですが……」


「あ、あぁ……! 確かミアは魔人の攻撃のショックで気絶しちゃったんだったね! ね! スカーレット!?」


「……!? え、えぇ! そうですそうです! 大事に至らなくて良かったですぅ」


「あ、そうだったのですね! この度は重ね重ね、本当にありがとうございました」


 俺が慌ててそう誤魔化すと、スカーレットも上手く合わせてくれた。お陰でミアは完全にそう思い込んでくれたようだった。



「何とミアまで助けて貰っていたとは。よし。今日はもうすぐ日も暮れる。出発は明日にして今日は屋敷に泊まって行きなさい」


「いや、それはだいじょ――――」


「「「「「ありがとうございます!!」」」」」


 ユーリがまたしても領主の善意を断ろうとしたので、俺達は慌てて礼を言い屋敷に泊まる事にした。

 これは余談だが、その後一時間程、ユーリは正座させられ皆から説教を受けた。


 その間に俺はスカーレットに頼んでヤラカスが設置したワープゲートを閉じてくるよう指示を出した。

 スカーレットは何故か少し残念そうな顔をしたが、直ぐにその場所へと向かってくれた。



 ◇


 


 翌日


 

 俺達は旅の準備を整えると足早に屋敷を後にした。

 その後、町で野菜や肉などの食材と、旅の備品を買い足しておいた。


 この世界には魔物を食べる習慣は無く、そこらに生息しているうさぎや鳥の肉を食べるようで、現代から転生して来た俺にとっては、とても有難い仕様だった。

 

 ――世界を回れば牛や豚なんかもいるんだろうか?

 それは凄く楽しみだな……!


 俺は一人、そんな事を考えていた。

 するとユーリは次の目的地について話し始めた。

 


「えっと……次はどこに向かうんだっけ?」


「国王様からは『まずはメテックに行け』としか言われてないわね」


「リリィは魔法をぶっぱなせればどこでもいい……」


「お、オイラは魔物がいない所がいいな」


「ボンズ、それじゃあ僕達が旅をしている意味がないよ!」


「エル様の言う通りです。――――それではここから東へ行った所にある〈水の都 ウォルトス〉へ行くというのはどうでしょう?」


 スカーレットは少し思案した後、水の都ウォルトスへ行く事を提案した。

 

 〈水の都ウォルトス〉――――それはその名の通り、海に隣接しており、街中に川が流れていてとても美しい都。

 


「そうね。ウォルトスは大きい都市で人口も多い。魔族が潜んでいる可能性は高いかもしれないわね」


「水……。リリィの魔法の天敵……。リリィ、ウォルトス行くの反対……」


 スカーレットの意見にセリーヌも同調した。

 しかしリリィは火属性の魔法を多用する事から、水が嫌いな様で反対意志を示した。


「でも水が綺麗な所だから食べ物は美味しいって聞くよね。オイラは魚が食べたいな」


「魚……!? じゃあ行く……」


 しかしボンズがウォルトスの食べ物の話をすると、いとも容易くリリィの意思は折れた。


 

「よし! じゃあ次の目的地はウォルトスに決まりだなっ!」


「「「「「おぉーー!」」」」」


 そしてユーリが目的地をウォルトスに決め、俺達に背を向け拳を上に掲げた。

 皆はそれに同意し、返事をし、ユーリが歩き出すのを待った。

 

 するとユーリが突然恥ずかしそうな顔をして再度こちらに顔を向けた。

 


「――――で、スカーレット……。一つ質問なんだけど、東って右? 左? どっちだっけ?」


「…………。ここからですと、左が北、右が南ですのでユーリさんが向いている方角が東です……」


 何かと思えば、またしてもユーリのアホが炸裂したのだった。スカーレットは少しの間をあけて、呆れながら東の方向を示した。


「あ、あはは! そうだったそうだった! よし! それじゃあウォルトスに向けてしゅっぱーつ!」


「「「「お、おーー……」」」」


 すると、ユーリは余程恥ずかしかったのか、不自然に大きな声で威勢のいい掛け声を発した。

 しかしそんなユーリに対し、他のメンバーは覇気のない声で返す。


 ――見てみろよ……。アホな事、言ってるだろ?

 勇者なんだぜ、それで。

 

 でもしょうがないんだよ。

 このアホが勇者に選ばれてしまったのだから。

 このアホが人間族の命運を握ってしまっているのは、紛れもない事実なのだから。


 

 俺が早々に諦めていた事を他のメンバーが気付いたところで、俺達はいよいよ次の目的地『水の都市ウォルトス』へ向け出発したのだった。



 第三章 ~完~




ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

これからも本作品をよろしくお願いします!


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