15話 悲しい現実
魔物討伐の為、町の外へとやって来たユーリ達はとんでもない数の魔物に驚愕していた。
「何だ……これ……。魔物が一、二、三、四……」
――こんな大量の魔物の数をいちいち数えなくていいわ……!!
「ヒ、ヒィィ……! ま、魔物の数が多すぎるよ〜!!」
――ボンズは結局ビビっているのか……。
「これは流石に私も回復をしていかないと厳しそうね……」
――流石にではなく、毎回そうしてくれ……。
「こんなにあっちこっちから魔物が来たら狙いを定められないよ……」
――リリィは元々、定まっていないでしょうが……。
心の中でユーリ達にツッコミを入れたところで、俺は状況を整理する。
まずメテックの町には王都とは違い、門の様に明確な入口が無い。
したがって、魔物達はどこからでも町に侵入する事が出来る。
加えて王都防衛戦では門に向かって一点集中で来ていた魔物達とは違い、メテックでは至る方向から魔物が向かって来ている。これを全て止めるのは容易ではない。
そして王都防衛戦の時と最も違う点は、魔物達の統率が全くとれていない事だろう。
多種多様な魔物が歩いたり、走ったり、飛んだり、ラジバンダリと好き勝手に行動している。
さて、どう対処していくか。
とりあえず、魔物を引き入れているワープゲートを探すか……?
【探索】
俺は言霊の能力で辺りを探索した。
しかし近くにワープゲートは無く、魔物はかなり遠くから向かって来ているのがわかった。
――うーん……。ここからじゃワープゲートは見つけられないな。
一旦ここを離れるか。
「ごめん、みんな! 僕ちょっとトイレに行ってくる!!」
「え!? 一人で大丈夫か? エル?」
「大丈夫だよ! 幸い、まだ町には魔物が入っていないみたいだし!」
「気をつけてね、エルきゅん」
「うん、わかった! みんなも怪我しないようにね!」
そして俺はユーリ達の元を離れ、俺の姿が見えなくなる位置に来てから【浮遊】と【透明化】を使い、空から魔物の進行方向を逆向きに辿って行った。
◇
暫く飛んでいるとワープゲートを発見した。
そのワープゲートからは次々と魔物が湧き出て来ている。
「あのワープゲートを潰さないと、いくら魔物を倒してもキリがないな。ていうかワープゲートって潰せるのか? そもそもワープゲートってどういう性質?」
俺は頭の中にある、ありとあらゆる現代知識を漁り糸口を探した。
しかしワープゲートは魔法で生成されている為、俺の言霊の能力ではどうする事も出来ないとすぐに悟った。
「うーん……。どうしようか。もうこの際、ワープゲートを潰すのは諦めてワープゲートの出口自体を塞いでしまうか? でもそうするとワープゲートの中がえらいことに……。――――あ、そうだ……! いい事思い付いたぞ!」
そして俺はこの世界で一番硬い物を考え始めた。
「異世界で硬いものと言えばやっぱオリハルコンだよな! よし、それじゃあ始めよう。――――魔王エルの〜三分メイキング〜!」
――まずはどのご家庭にもあるオリハルコンの大きな板を四枚用意します。(言霊の能力で発現する)
【オリハルコンの板 発現】
そして次に、先程のオリハルコンの大きな板をワープゲートを囲む様に四枚置き、壁を作りましょう。(魔物を壁の内側に閉じ込める為)
そしてワープゲートから次々と出てくる魔物達がある程度壁の中に閉じ込められて来たら、そこへ盗賊を倒した【雷槍】を無限に連続で落とし続けます。
ドゴォーーーーン!
「ピギャアアアアア!!」
すると、あーら不思議!
全自動魔物殲滅機の完成でーす!
――いやー。言霊、マジで便利過ぎるなー。
女神様に本当に感謝だわ。
胸の谷間から適当に抜いたカードで選ばれた時はどうなる事かと思ったけど、マジでチートで助かるわ……。
「それにしても、我ながらこれはむごいな……。でもまぁ、これでとりあえず魔物がメテックに向かって来る事は無くなるだろう。それじゃあ次は……」
そして暫く無限に降り注ぐ雷槍にやられていく魔物達を眺め、壁の外へ出ない事を確認すると俺は再度、辺りを【探索】した。
しかし一向にワープゲートを開いた魔族の気配がない。
「それにしてもこの場所……。さっき盗賊退治をした所だよな。こんな所まで戻って来ていたのか。……いや、待てよ?」
俺はここがさっきの盗賊退治をした現場だとわかると、一つの違和感を覚えた。
「さっきここにワープゲートなんてあったか……?」
――そんなものは無かった。
あれば誰かしらが気付いているはずだし、これ程までに魔物が湧き出て来ていたら絶対に気付く。
一体誰が……?
もしかしてあの中にこのワープゲートを開いた奴がいるんじゃ……!?
「やべぇ! こうしちゃいられない! 急いでメテックに戻らないと!!」
そして俺は最悪の状況を予測し、全速力でメテックへと戻った。
◇◇◇
一方その頃メテックでは、一人の男がとある部屋の中で地団駄を踏み、荒れ狂っていた。
「クソが!! どうして魔物達がメテックへと集まって来るんだ!? 俺は王都へ向けて魔物を解き放ったはずだぞ!? わざわざ王都に近い所まで行ってワープゲートを開いたというのに!」
ガタンッ……!
するとその男のいる部屋で、突然物音が響いた。
「誰だ……!?」
男はすぐさま音のする方へと目をやった。
するとそこには悲しげな表情を浮かべたミアがいた。
ここは領主の屋敷の中の一室だった。
「今の話は本当ですか……? 貴方がワープゲートを開いて魔物を解き放ったというのは……」
「何だ……。お嬢様じゃないですか。どうされましたか? ここは危険です。もうすぐ魔物が侵入して来るやもしれません。早くお逃げ下さい」
「もう芝居はいいです……。あなたは一体何者なんですか……? セバスチャン……?」
そう。ワープゲートを開き、魔物を手引きし、今ミアの目の前にいる男は、領主家の執事。セバスチャンだった。
「へっ……そうだなぁ……。バレちまったんならしょーがねぇ。お察しの通り、俺は魔人だ。よくも今まで五年間もこき使ってくれたなあ、お嬢様?」
「ひ……ひどい……! 私達の事を五年もの間、騙し続けてたなんて……! セバスチャンの事、信じてたのに……!」
「信じてたあ? そらぁ俺は演技派だからなあ! それにお前らは闇属性魔法で人間に化けりゃあ、人間族と魔族の区別もつかねぇ、下等な種族だもんなあ!! ギャーハハハハ!」
「うぅっ……! ひっく……」
あまりのショックな現実に言葉を失い、泣き崩れてしまうミア。
「おぉ? もしかして泣いてんのか? ギャハハ! じゃあもう一ついい事教えといてやる。俺はセバスチャンなんてクソみてぇな名前じゃねぇ。俺はヤラカスだ! よーく覚えとけ! あ? 今からどうせ死ぬんだから覚えておいても意味ねぇか! ギャハハ!」
そう言い高笑いをするヤラカスと、対照的に涙を流しながら項垂れるミア。
そこへ突如、一人の女が現れた。
「ちょっとそこの人達。私は子供を探しているのだが……。ん? これは一体どういう状況だ?」
突如二人の前に現れた女とは一体、何者なのか。
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