14話 町を襲う魔物の群れ
盗賊達から貴族令嬢を助けた俺達は、更なる面倒事に巻き込まれそうになっていた。
「それで、姫様。お願いとは何でしょうか?」
ユーリはただでさえイケメンなのに、更にキリッとした表情でそう言った。
――おうおう、アホ勇者よ。
いい感じに調子に乗っているな?
そんなイケメン勇者ムーブをかましたら後に引けなくなるじゃないか。
いや、俺も転生前、女神様に対して同じ様にキリッとしてイキっていたっけ……。
今考えると恥ずかしいな……。
「私は姫ではありません。私はメテックという町を治める領主の娘、ミアと申します」
「………………いえ。俺にとって女性は全て姫でございますよ。ミア殿」
――ユーリの奴、姫と言ってしまった手前、恥ずかしくて後に引けなくなっているな……。
俺が思っていた後には引けなくなるとは少し違うが、ユーリがこの調子ならもう確実に面倒事には巻き込まれるんだろうな……。
「そ、そうですか……。それでわたくしのお願い事なのですが、単刀直入に申し上げますと……。メテックの町を魔族の手から救って欲しいのです!」
――はい、フラグ回収ありがとうございます……!
まぁ? どのみち、メテックには行く予定だったからいいんだけどさ?
その前に色々としとかないといけないことがあるでしょうが!
例えばこのアホ共のレベル上げとかさ!?
「わかりました! そのお願い、この勇者ユーリが引き受けましょう!」
「本当ですか! ありがとうございます! 勇者様!!」
――あーあ。引き受けちゃったよ……。
他の三人は了承するかな……?
俺はふとそう思い、三人に目をやった。
「ユーリが盗賊倒しちゃったから、魔力が有り余ってる……。発散しないと……。えいっ……!」
ボカーーーーーン!!
「ふぅ……。スッキリした……」
すると。リリィは何も無い場所に火属性の上級魔法をぶっぱなしていた。
「オイラなんて……。勇者パーティーと旅をする資格なんてないんだ……。オイラより強いタンクなんていくらでもいるんだ……」
ボンズは地面にしゃがみこみ、とてもわかりやすくいじけていた。
「ほら、盗賊。回復して欲しいですか? して欲しいなら三分間待ってあげます。命乞いをなさい?」
セリーヌは人がゴミのように見える人みたいにそう言い、倒れて気絶している盗賊の顔をツンツンしていた。
「み、みんな……? ユーリが勝手に依頼を引き受けちゃったよ? いいの!?」
俺は何も話を聞いていない三人にそう問いかけた。
「リリィは別にいい……」
「オイラは今度こそユーリさんの役に立ってみせます……!」
「ハッ……! 魔族との戦いとなれば傷を負うことは必至! 私も勿論協力するわ……!」
「あ、そう……。まぁみんながいいなら僕もそれでいいよ……」
こうして助けたミアに連れられて竜宮城……ではなく、メテック領主の屋敷まで馬車に乗って向かう事になった。
因みに俺が可愛くお願いをすると、セリーヌは喜んで護衛の騎士を回復させてくれた。
執事は「自分よりもミア様を回復して下さい」と言い、セリーヌはミアの怪我を治した。
――何とも執事とは忠誠心の高い事か。
うっかり尊敬してしまいそうだ。
それと、盗賊だが、縄で縛ってその場に捨ておく事にした。
その内通りがかった誰かが王都の衛兵に突き出してくれるのを祈って……。
◇
道中ミアによく話を聞くと、つい五日ほど前から突如として魔物の動きが活発になり、平和だったメテックの町にも侵入して来るようになったという。
加えて、その頃から長い赤髪の女が小さい男の子を探し回っているらしい。
――長い赤髪の女が小さい男の子を……。
いや、まさかな……。
◇
そうこうしている内に、俺達を乗せた馬車はメテックの町へと入り、領主の屋敷に到着した。
屋敷では数人のメイドが俺達を手厚く迎え入れてくれた。
「ねぇねぇミア。領主様はどこにいるの? ユーリが色々話を聞きたいって!」
「……!? あ、あぁそうそう! 領主様に直接話を聞きたいと思っていたんだった! ミア殿、領主様に会わせてはもらえるかな?」
「それが……。領主である父は先日の魔物との戦いで負傷し床に伏せてしまって……」
「そう……なのか……」
俯きながらそう言うミアに同情し、俺がそう返事をするとセリーヌが口を開いた。
「ミアさん……。つかぬ事をお聞きしますが……」
「はい。何でしょうか?」
「領主様の傷の具合は如何程――――」
「セリーヌ、少しは自重しようね?」
俺はそれは良くないと思い、セリーヌの言葉をかき消すように、言葉を発した。
するとセリーヌは俺が怒っているのが伝わったのかしゅんとして後ろへ下がった。
「でも、少しだけならお話出来ると思います……!」
そう言いミアは俺達を領主の元へと案内してくれた。
◇
部屋へ入ると領主は傷の手当を済ませており、ベッドで横になっていた。
「お父様。勇者様御一行が到着されました。街を襲う魔物についてお話を聞きたいそうです」
「あぁ。勇者様。よく来てくださった。こんな姿ですまないね」
「いえいえ。大丈夫です。それで、領主様が戦った魔物はどのようなものだったのですか?」
ミアの言葉にそう返事をした領主の声はか細く、弱っている様子が伝わってきた。
相当強い魔物と戦ってきたのだろう。
隣でセリーヌは吐息を漏らしていたのは言うまでもない。
「今回戦った魔物はどれも弱いものばかりだった。だが、司令塔がいないのか全く統率がとれておらず、各々好き勝手に暴れ回り始めてな。こちらも対応しきれずこの有様というわけなんだ」
「なるほど。そういう事ですか……」
ユーリはあたかも理解したかの様な返事をした。
――ん……? 統率がとれていない魔物達って何か変だな……。
あのカマセーヌですら、しっかりと統率を取れていたというのに……。
カマセーヌより下っ端の魔族が適当に魔物をワープゲートで連れて来ているだけとか……?
それなら幾分か楽なんだがな……。
あと、魔物が町に侵入し始めた頃から突然町に現れたという赤髪の女も何か関係している気がしてならない……。
俺が思案していると、突然大きな足音を立て、慌てた様子で一人の男が部屋の中へ入ってきた。
よく見ると先程ミアと一緒に盗賊に襲われていた執事だった。
「どうしたセバスチャン、騒々しいな」
――セバスチャン……!!
なんともまぁ執事っぽい名前なんだ!
やっぱ執事と言えばセバスチャンだよな……!
おまけに『あくまで執事ですから……』とか言ってたらかっこいいよなぁ……!
俺は一人、そう思い感動していた。
「はぁはぁ。大変です! 旦那様! 町にまたしても魔物の大群が……!」
「何だと……!? 今日は午前中に粗方片付けたのではなかったのか!?」
「えぇ、そのはずだったのですが……。どこからともなく湧いて出まして……」
――どこからともなく……か。
これで魔族がワープゲートを使って魔物を手引きしているのは確定したな。
「ならば、直ちに騎士達を向かわせるのだ! 但し、民の避難を最優先にだ!」
「おぉ……。ちゃんと民の事を考える……。いい領主様だ……」
リリィの言う通り、こういう場合に民の避難を優先させるのは良い領主である証拠だろう。
だが、王都に比べて規模の小さいこの町に、民の避難をさせながら魔物達と戦えるだけの兵力があるのか些か疑問だ。
「領主様。ここは俺達に任せてもらえませんか? 騎士の方々には避難誘導に回ってもらって大丈夫なので」
「おぉ、さすがは勇者様だ。有難い……! 本当にお願いしてもよいか?」
「勿論ですとも! この勇者ユーリに、ドーンとお任せを!」
――おいおい。勝手に決めるなよアホ勇者……。
まだ敵の強さもわからないというのに……。
しかし俺の心配とは裏腹にリリィとボンズとセリーヌはやる気のようだった。
「次こそ……。魔法、いっぱいぶっはなす……!」
「お、オイラも! 今度こそ活躍してみせます!!」
「私も行くわ……! 戦場には傷だらけの戦士達が……。ぬふぬふふ……」
「ヨダレを拭きなよ、セリーヌ。リリィも程々にね……。ボンズは……。まぁ頑張れ」
俺がそう言うと三人は俄然やる気を見せる。
ユーリも早速、聖剣を発現させ大声で叫んだ。
「よし! みんな! 今回も必ず! 魔物を倒すぞ! 帰ったら今日は宴会だ!!」
「「「おぉーーー!!!」」」
――おいおい、だからそれはフラグだと何度も……。
こうして俺達は、メテックを襲う魔物を倒すべく、町の外へと向かった。
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