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転生ショタ魔王、世界平和の為に家出する〜チートを持ったお人好しによる世直し旅〜  作者: 青 王(あおきんぐ)
第六章 ジャペン編

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107話 マゼンタの野望


「――――とまぁこんな感じで、お前は昔からずっと自分勝手な奴だった……って、おい! 聞いているのかマゼンタ!?」

 

 スカーレットはひとしきり昔話を終え息をつく。しかし、マゼンタへ目をやると、彼女は髪を触るなどして上の空だった。


「ん〜? やっと話終わったの〜? 長いよ〜」


「お前の話をしていたんだろうが……!」


「え〜? 私、頼んでないし〜?」


 真剣に話していたスカーレットが馬鹿馬鹿しく思える程に、マゼンタは悪びれる様子もなく、そう言ってのけた。


「お前というやつは……。本当に嫌いだ……」


「それより〜。時が来た(・・・・)から〜私の子供を返してくれない〜?」


「は……? 時が来ただと……?」


 更なるマゼンタの言動に怒りを滲ませるスカーレット。そして気になる"時が来た"という文言に怪訝な表情を浮かべる。


「そうよ〜。あの子は私の野望の為にどうしても必要なの〜。だから返して?」


「ふざけるな……! 誰がお前なんかにエル様を渡すか!」


 身勝手な言動を続けるマゼンタに対し、スカーレットは激高した。


「何で〜? あの子はそもそも私の子なんだからぁ〜、所有権は私にあるはずよね〜?」


 だが、マゼンタは自らの行いがどれ程身勝手で傲慢であるか理解しておらず、スカーレットの怒りに油を注いでいく。


「黙れ……! エル様をまるで物のように扱うな……! 先代亡き今、その息子であるエル様が現在の魔王様なのだぞ!」


「知ってるわよ〜。――――あの子は代理(・・)。そうよね〜?」


 更に激怒するスカーレットは、エルが現魔王である事を強調し睨み付ける。

 するとマゼンタはふふっと笑みをこぼすと、意味深な間を空けて、エルを"魔王代理"だと言い放った。


「代理だと……? ふざけるのも大概にしろよ? 現在エル様は民の事を一番に考え、魔族の繁栄の為尽力なさっている……。そんな方に対してよくもまぁそんな事を言えたものだな……マゼンタ……!!」


 そう言うとスカーレットは席を立ち、マゼンタの胸ぐらを掴んだ。しかしマゼンタは不敵な笑みを浮かべたまま、スカーレットの目を生暖かい目で見つめている。


「な、何がおかしい……!?」


「だってあの子がやっている事がぬるすぎるんだもの〜。あの方(・・・)の息子だからと暫く静観していたけれど、やっぱりダメ……。この世界を支配するに相応しいのは、私が愛する魔王様しかいないわ……!」


 先代亡き今も尚、彼にご終身且つ盲目であったマゼンタは、おっとりとした口調から冷たいものへと変わり、虚空を見つめて目を潤ませる。


「確かに先代は強く逞しく、それでいて王の器も持たれていた。だが、もうこの世にはいない。そうだろ……!? だからエル様があんなに小さい身体で必死に……」


「ふふっ……。あなたがそこまで入れ込んでくれるなんて、お腹を痛めてあの子を産んだ甲斐があったわぁ〜? でも安心して……? もうあの子は頑張らなくても良くなるの〜」


「何……? どういう意味だ……?」


 マゼンタの何かを含ませた物言いに、スカーレットは怪訝な表情で詰め寄った。


「そのままの意味よ〜? ――――あの子の精神はもうすぐ死ぬ。私が殺すのよ……」


「は……? お前……何を言って……? エル様を……殺すだと……?」


 マゼンタの言葉を受け、スカーレットは彼女から手を離し脱力。再度椅子に腰掛けると呆然と一点を見つめた。

 しかしマゼンタは構わず話を続ける。


「あの子の中身を殺して身体だけを残す。そこへ私が愛する魔王様の魂を移すのよ。するとどうなると思う……? 身体は違えど中身はあの方――――魔王様の復活よ〜! アハハハハ……!」


 項垂れるスカーレットに対し、有り得ない妄想を膨らませ狂ったように高笑いをするマゼンタ。


「それは無理だ……。先代は十年前に亡くなられた。いくら先代といえど十年もの間、この世に魂を残し続けるなんて不可能だ。どんな魔法を駆使しても、先代の復活は有り得ない」


「ふふっ……。浅はか。実に浅はかな考えよスカーレット。私が何の考えも無く、この十年間をただぼーっと生きていたと思う? そんな訳ないでしょう? 私は魔王様復活の為にあらゆる準備をして来たの」


 スカーレットはマゼンタが言っている妄言が如何に現実味の無い事かを説明した。だがマゼンタには絶対的な確証があるのか、先代魔王の復活を疑わない。


「準備……? お前はこの十年間、私やエル様を放置して何をしていたというのだ?」


「ふふっ。確かにあなたの言う通り、魔王様の魂は亡くなってすぐに天界へと消えてしまったわ。でもね、あの方の魂は今も尚、この世界に生き続けている」


「どういう意味だ。魂が消えても尚、魂が生き続けているとは矛盾しかないだろう」


「そこが浅はかなのよ。なら逆に問うわ? スカーレット。あなたは人間達に混ざり様々な街を訪れた。そうよね?」


「あぁ……そうだな」


「その中で、一度でも"魔王が死んだ"などと人間達から聞いた?」


「…………っ!」


 マゼンタの話を聞き、スカーレットはハッとした。

 そう、今まで数々の街を旅して来たスカーレット達であったが、誰一人として先代魔王が死んだという事は口にして来なかったのだ。


「ふふっ。漸くわかったようね……。つまり人間達は誰一人として魔王様の死について、あの子に代替わりしている事について知らない。更に言うなれば、現在人間達の領土へ攻め入る魔族の軍勢は魔王様が指揮しているとさえ思い込んでいる。私はこれを利用したのよ」


「そんな……まさか……!」


 マゼンタがそう言うとスカーレットは何かに気が付いたように目を丸くして口を押えた。


「そう……。"魔王様を恐れる人間達の心"。そこに私は可能性を見出した。魔王様は恐怖の象徴。つまりは恐怖心の塊みたいなものなの。だからそれを集めれば必ず魔王様の魂は復活させる事が出来るわ」


「そんな事が可能なのか……?」


「可能よ。私は各地にサキュバスの香りを詰めた小瓶を置き、魔物達を向かわせた。何か勝手に暴走してくれる馬鹿もいたみたいだけどね? そんな事を十年間繰り返して、漸く魔王様の魂を形作るだけの恐怖心を集める事が出来たわ」

 

 マゼンタの言うサキュバスの香りを詰めた小瓶とは、ブリジアを訪れる際に案内役を買って出てくれたウィルが以前持っていた物で、彼にそれを手渡した綺麗な女の人とは正にマゼンタ本人だったのだ。


 そして、スカーレットはマゼンタの話を聞き、信じられないといった様子で首を何度も横に振っていた。

 そんなスカーレットを他所に、マゼンタは更に話を続ける。


「魂の材料は今言った通り集まった。あとはそれを実現する為の人材を二人、確保しないとだったんだけど……それもこの街で全て揃いそうで安心したわ?」


「その二人とは一体誰だ……? 一人はエル様だとして、あともう一人……。まさか私か……?」


 余裕綽々といった様子でマゼンタは笑みを浮かべる。それを受けスカーレットは二人の人材について思案した。


「ふっ……。思い上がらないで? 魂を新たな依代に移す――――そんな事、誰でも出来るはずがないでしょう?」


「魂を――――っ!! まさか……ロクサーヌか……!?」


「ふふっ当たり〜。丁度この店に入る前に出くわしたから、軽く動けないようにしておいたの。安心して? ちゃんと後で回収するつもりよ」


「くっ……お前ってやつは……!」


 マゼンタの狙いはエルとロクサーヌ。その二人が奇跡的にジャペンに集まるこのタイミングで、見計らったように、だが偶然マゼンタは辿り着いた。

 "女神はマゼンタに微笑んだ"と思わざるを得ない結果にスカーレットは悔しそうに声を漏らす。


「大丈夫よ〜? あなたが私の邪魔さえしなければ、何も害は与えないわ。さぁ……これで全てがわかったでしょう? だから早くあの子を返して」


「はっ……。そんな事を聞いて、私が黙ってエル様を渡すと思うか? 答えは否だ……! 私はお前が先代を愛する以上にエル様を愛している……! 絶対にお前にエル様を渡さない……!!」


「あらあら、残念ね〜。……あと、私の魔王様への愛を軽んじる事は決して許さない。あなた……死ぬわよ……?」


 ここまで会話だけで進んで来た二人の攻防は、マゼンタの野望が明らかになった事でスカーレットに火をつけた。

 そしてここから怒涛の戦闘が始まる――――かに思われたが、それは一瞬で決着が着いた。

 


「ぐっ……がぁっ……! お前……一体何をした……?」


「何ってただの魔法よ? 闇属性特級魔法【精神洗脳(マインドコントロール)】。あなたは私と不用意に目を合わせ過ぎたのよ。まさか私を同僚だと思って油断したの?」


「そ……そんなわけ……ない……」


 マゼンタはこの時の為に常時発動していた闇魔法によってスカーレットを洗脳。スカーレットは身動きが取れなくなり、遂には完全に意識を奪われる。


「じゃあ話してもらおうかな〜? ――――あの子はどこにいるの?」


「確証は無いが……恐らく……五芒星ゴラムの所……だ……」


「ふーん……ゴラムちゃんね〜。で? その場所は?」


「わからない……」


 まんまと洗脳にかかったスカーレットは、マゼンタの問いに全て答えてしまう。だが肝心の行先はスカーレットにすらわからず、マゼンタは舌打ちをして彼女の頭を机に叩き付けた。


「チッ……使えないわね。まぁいいわ。とりあえずゴラムちゃんが居そうな場所へ向かうから。おおよそ見当もつくしね〜。それじゃあね〜」


 マゼンタはそう言い残し店を出て、倒れているロクサーヌを回収しジャペンを後にした。



 

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