10話 勇者パーティーの実力と俺の秘策
いよいよ魔物の軍勢との戦闘が始まった。
そんな中、俺は後方から皆の戦いを観察していた。
「聖剣! 【エクスカリバー】!!」
ユーリはそう叫ぶと、どこからともなく聖剣を発現させた。そして何故かその場にそれを突き立てた。
その後ユーリは、手を離した状態で直立している聖剣を暫くぼーっと見つめていた。
――へぇー。アレが勇者の固有スキルか。
それにしてもあのアホは一体何をしているんだ?
俺がそう思っているとそれは風か何かで左へと倒れた。
「よし! 魔物達のボスは左だな! 行くぞおおおお!!」
「あのアホ……。せっかく聖剣みたいなチートスキル貰っといて戦い方までアホなのか……。先が思いやられる……。ったく、アイツはもう知らん」
そして俺は次にボンズへ目をやる。
さっきのオドオドとした様子がどうしても気になったのだ。
「逃げちゃダメだ……逃げちゃダメだ……逃げちゃダメだ……! 魔物は恐くない。魔物は恐くない。魔物は恐くないーーー!!! うらぁぁぁぁ!!!」
ヲタクさながらの早口で何かを呟きながら、ボンズは魔物の群れから大きく右に逸れ、誰もいない方向へと走っていった。
「おいおい、ボンズ逃げたら駄目だろ……。アイツ怖がりなのか? タンクとしてそれは大丈夫か?」
ボガァァァァーーーーン!!!!
すると突然、ボンズが逃げて行った方向に特大の火属性魔法が打ち込まれた。
「何だ!? 新手の魔族か!?」
俺はその魔法の出処である高台へと目をやった。
――恐らくあれは火属性の上級魔法【ファイアダンク】だ。一体誰が……?
するとそこには黒い三角帽子に黒いローブを着た小さな女の子が立っていた。
「…………っておい。リリィじゃねぇか……! アイツ敵味方お構い無しか!?」
俺がそう叫んでいるとリリィは何やら頭をポリポリとかいて首を傾げていた。
「むぅ……。火力は問題ないんだけどな……。方向を合わせるのが難しいな……。まぁ……当たれば魔物いっぱい倒せるし……。いいよね……」
その後俺の方を向き親指を立てグーサインを送って来た。俺はリリィに愛想笑いを返すと次にセリーヌの方を見た。
「セリーヌは聖女だから回復役だな。どれどれ?」
セリーヌは騎士団や衛兵達の後方に回り、回復をして回っている…………と思っていたが――――
「か、回復をお願いします……。聖女様ぁ……!」
「回復っ!? 何を言っているのかしら!? 貴方はまだ戦えるわ! さぁ! 早く敵陣へ突っ込みなさい! そしてもっと傷だらけになってから出直しなさい!」
「そ、そんなぁ……!」
「な、ならば私をどうか……お救い下さい……聖女様……!」
「甘えてはダメよ! 私は貴方達が瀕死寸前になるまで回復はしないわ! それがきっと貴方達を更に強くする! さぁ、男達よ……! 今こそ勇者と共に、魔物を撃退するのよ!! 傷付き、血を流し、戦えェェェ!!」
セリーヌは一切回復をしていなかった。どころか、訳の分からない事を叫び散らしながら、杖を振り回していた。
「何をやっているんだ……アイツは……? セリーヌは回復役だろう? あれじゃあまるでドSの戦闘狂じゃないか……」
聖剣を普通の剣とは全く違う使い方をするアホ勇者。
瀕死寸前になるまで回復を一切しないドSで戦闘狂の聖女。
威力は強いが狙いが定まらないポンコツ魔法使い。
屈強な肉体を持ちながら敵から逃げ出すビビりタンク。
よくもまぁこんなにクセのある奴らを集めたものだ。
俺を守るとか何とか言っておいて早々に俺から離れて行く勇者パーティーはもう放っておこう。
あんな奴らに人間族の未来を託したら確実に滅ぶ。
まるで使えないアホばかりだ。
「はぁ……。さて、どうしたものか……。やっぱり俺がやるしかないか? でもここで目立って人間達に俺が魔王だとバレるのは面倒だしな……」
俺はため息をつきながらこの戦いをどう終わらせるか思案した。
そして暫く考えた後に俺はある秘策を思い付く。
「そうだ……! 軍の親玉だけをこっそり懲らしめて帰らせればいいんだ!」
――ん? 誰だ? アホみたいな秘策って言ったのは?
いつもユーリにアホアホ言っているが俺も前世は所詮、高卒のフリーター。別に賢い訳ではない。
だがあまり目立たずに、自分が魔王である事を最大限に活かすならこのやり方しかない!
それに魔物を率いているという事は十中八九それに指示を出している魔人がいるはずだ。
そいつさえこっそり何とかしてしまえば目立たずに戦いを終わらせる事が出来る!
そう考えた俺は早速、転生特典である『言霊』を使い、魔物の軍勢を指揮している親玉魔人、略して"オヤダマン"を探した。
【透明化】【浮遊】【探索】
俺はこの三つの能力を使い姿を消し、空に浮かび上がり、目をレーダーの様にして魔人を探した。
「さーて、オヤダマンはどこだぁ?」
暫く戦場を見渡していると魔物の軍勢の中に一部、強力な魔人の気配を察知した。
その魔人はワープゲートから次々と魔物を送り込んでいた。
「おーいたいた。あれか! まったく、誰だ? 俺があんなに人間と争うなと言ったのにも関わらず、王都へ進軍してくる大馬鹿者は?」
【空中歩行】
そして俺は空を歩きオヤダマンの元へと向かった。
「ふぅ。このくらいかな?」
【降下】【透明化 解除】
丁度オヤダマンの真上に差し掛かると、俺は下へと降下した。
ゆっくりと降下し、段々とオヤダマンに近付いて行くが、少なくとも俺が知っている魔人ではなさそうだった。
まぁ俺が魔族の中で顔を知っているのはスカーレットとシエスタだけだからそれはそうなのだが。
そして俺はその魔人の目の前に降り立ち、小さなショタボディの目線からオヤダマンの顔面を睨み付けた。
すると目の前にいたオヤダマンは、突然目の前に現れた俺に驚愕し唾を撒き散らしながら叫んだ。
「だ、誰だてめぇ!? どっから湧いた!?」
「湧いたとは何だ。それと、貴様こそ誰だ?」
俺とオヤダマンは互いの顔を睨み合っている。
――さてと、この大馬鹿者をどう懲らしめてやろうか。
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