表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ショタ魔王、世界平和の為に家出する〜チートを持ったお人好しによる世直し旅〜  作者: 青 王(あおきんぐ)
第六章 ジャペン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/127

98話 新たな可能性


 俺はロクサーヌの目的を問うた。すると彼女は怒らないでと前置きをした上で、自らの夢について語り始めた。

 最中、彼女の口から"世界征服"という言葉を聞き、俺は戸惑ったが、それはどうやら言葉通りの意味ではないようだ。



「楽しいことで埋め尽くす……? ちょっと意味がわからないのだが?」

 

「え、わかんないー? あーしはさ、楽しいとか可愛いとか、そういう気持ちって種族とか関係なく、世界共通だと思うんだよねっ」


 ――あぁ、なるほど。

 確か現代にもそんな言葉があったような気がするな……。

 それに"可愛い"って言葉は、世界に最も広まった日本語だとも言われていたな。


「なら、つまり貴様は人間達を襲い、殺したりせず、楽しいことで世界征服をする。そういう事だな?」


 俺が確認の意味も込めて、そう聞くとロクサーヌはこくりと頷いた。


「うん……。やっぱエルピの真意とは真逆だから、おこだよね……? でもあーし、人間を殺したりなんかしたくないんだよね……」


「それは俺も同じだ。俺も人間を殺したくはない」


「そ、そーだよねっ……! 魔族が人間を殺すなんて当たり前の事だもんねっ……! あーしが間違って…………。え……? 今なんて……?」


 ロクサーヌは俺の話を聞いていなかったのか、それとも予想していなかった答えが返ってきた為に動揺したのか、明るく取り繕って言葉を並べた。

 しかし、すぐにその間違いに気が付き、俺に再度その言葉を求めた。


「だから……。俺も人間を殺したくないと言ったんだ。当然だろ? 俺は元々人間だぞ?」


「そっか……。そうだよね……。あーしも一緒……。あーしのママもパパも人間。あーしも元々は人間だった……。そりゃあ……殺したくないに決まってるじゃんねぇー……! うぇぇーん……!」


 漸く俺の言葉を理解したのか、ロクサーヌはポロポロと涙を零しながら呟くと、最後には俺に抱き着いて、声を上げながら号泣し始めた。

 俺は優しく彼女の頭を撫でて、口を開いた。


「俺は貴様の想いがよくわかった。貴様も俺の真意に気が付いたか?」


「ううっ……。ぅん……。ちゃんとわかったよー……。エルピは、あーしと同じ気持ちだったよー。ふぇーん……」


 俺の小さな胸の中で泣きじゃくるロクサーヌは、まるで子供のようだった。


 ――よかった。これでロクサーヌとは戦わずに済みそうだな。

 それにしても五芒星の一角であるロクサーヌが、こんな想いを秘めていたなんてな。


 

 その後、暫く泣き続けるロクサーヌが落ち着くのを待つこと数分。漸く泣き止んだ彼女は、顔を上げ口を開いた。


「エルピ、ありがとね。あーしの夢、笑わないで聞いてくれて」


「誰が笑うか。貴様の夢は俺と同じだ。どんな手を使ってでも、必ず叶えるべきものだ」


「そーだよね……! エルピがそう言ってくれただけで、あーし元気出てきたよ! さっきまでマジぴえんって感じだったけど、話してよかった!」


「そうか。――――して、ロクサーヌよ。貴様はこのジャペンで一体何をしようとしていたんだ? それについてはまだ何も聞いていないぞ?」


 俺がそう言うと、ロクサーヌは自らの頭を軽く叩き舌を出すと「あ、そだったね。てへっ……!」と言った。そして彼女は、その計画について説明を始めた。

 


「ここジャペンはねー、人間の領土の中で一番死霊が集まる所なんだー!」


「そう……なのか?」


「そー! だってすぐ近くにドロロン大霊園があるっしょー? そこには沢山の魂がふわふわ集まってて、マジやばみーって感じなんだよねー!」


 ――ドロロン大霊園……。

 何という壊滅的なネーミングセンス……。

 それに加えて、さっきまで凹んでたから大人しかったけど、落ち着いてきたらまたギャル語がちらほらと……。

 聞き逃さないようにしないとな……。


「でね、でね! あーし、いい事思いついちゃってさー! 聞きたい? 聞きたい?」


「あぁ、聞きたいね。何なら俺は、ずっとそれを聞いているのだが?」


「あれー、そうだっけー? まぁいいじゃん! でね、あーしが思い付いたのは、その死霊ちゃん達を使ってー、街ごとぜーんぶ使った"お化け屋敷"をする事なんだよねっ! 名付けて『恐怖の夜(ホラーナイト)』! いいっしょ!?」


「あぁー……」

 

 ――ロクサーヌは人間達を楽しませようとしているんだよな……?

 だとしたらその方法は間違っている気がするなぁ……。

 それにホラーナイトはもう既に、関西の某テーマパークで毎年開催されてるんだよなぁ……。


「反応うっす! 何、どしたの? もしかしてあーしの計画がスゴすぎて言葉が出ない感じ!? ね、そーっしょ!?」


「違う……。まず、ロクサーヌはお化け屋敷を知っているのだな」


「まぁね! ママがどちゃくそアガる屋敷が異世界にはあるんだよーって教えてくれたんだよねっ! そこはお化けっていう死人(アンデッド)達が人間を脅かして楽しんでもらう所らしいじゃん? そんな楽しいんだったら街全体でやろーよって話! わかる!?」


 そう話すロクサーヌの目はキラキラと輝いていて、まるで夏休み初日の子供のようにはしゃいでいた。


「はぁ……。今から俺はかなり酷な事を言うぞ? まず、貴様が言いたい事はわかる。だが、異世界のお化け屋敷で脅かして来るお化けは全て作り物だ。そこに来る人間達はそれがわかっているから楽しめる。本物の死霊を目の前にして人間達は楽しめると思うか?」


「えー? 楽しめるっしょ? だってあーしの死霊ちゃん達、どちゃくそかわちいもん!」


「そう思っているのは貴様だけだ、ロクサーヌ……。基本的に人間は、霊を怖がる」


「それマ……!? だとしたらあーしの計画オワタじゃん……」


 俺の話を聞き、ロクサーヌは酷く落胆し肩を落とす。彼女はいい事をしようとしていただけに、何とも度し難い結果となってしまった。


「まぁでもやろうとしている事はいいと思うぞ。全て作り物という前提がある上で、街全体を使ったホラーナイトは大成功を収めている例も異世界にはあるしな」


「マ……!? それヤバくない!? あーし、超行きたいんですけど……!!」


「残念ながら行けない。だから貴様は、ジャペンから部下を引き上げて魔王城へ帰るのだ。貴様の夢は必ず俺が叶えてやるから……」


「えー……。もう……わかったよー。あーあ。せっかく死んだ人達の魂を呼び戻して、蘇らせてあげようと思ったのになー。死んだ人に会えたら、絶対嬉しいのにー」


 ロクサーヌは俺に帰るように命令され、頬を膨らませていじけていた。そしてそんな彼女から聞き捨てならない言葉を聞き、俺は何度目かわからない動揺を見せた。


 

「い……今、貴様何と……?」

 

「えー? だからー死んだ人達の魂を――――」


「貴様……もしかして死んだ人間を蘇らせる事が出来るのか……?」


 俺はロクサーヌの言葉を遮って、再度、ハッキリさせたい所を強調した。


「死んで間もない人とか、身体から抜けた魂が世界に残っているなら確実に呼び戻せるよー? ただ、死人(アンデッド)としてだから、肉が無くなって骸骨だったり、腐敗してゾンビになったりはするけどねー」


「じゃ、じゃあ……!! 人工的に作り出した物を依代(よりしろ)として、そこに魂を移す事は可能か……!?」


 俺はロクサーヌが魂を呼び戻し、死体に定着させる事が出来ると言質をとると、身を乗り出して彼女に迫った。


「ひゃっ……!? で、出来るよ、多分……? さすがにただの石とかじゃ無理ぽだけど、核として魔石を埋め込んだりすれば……?」


「本当だな……!?」


「う、うん……。てか、エルピ、近いよ……? ちゅ、チュー出来ちゃう距離だから……コレ……」


「あぁ……! もしそれが本当に可能なら、キスでも何でもしてやる……!」


「は、はぃー……!? エルピ、それはヤバすぎだってガチで……!!」


 俺はロクサーヌにとんでもない事を口走ってしまったが、そんな事すらも気付けない程に浮き足立っていた。


 ――もし俺が考えている事が可能となれば、俺とロクサーヌの夢に、ぐっと近付くかもしれない……!

 いや、確実に種族間の和解の糸口になるはずだ……!!



「そうと決まれば、こんな所で油を売っている場合ではないな。俺は少しここを離れるから、貴様はさっさと部下達を連れて魔王城へ戻るのだぞ!」


「えぇー!? そんな急に……!? てかあーしの家をこんな所って……! ――――ちょっ……エルピー!?」


 俺はそのままロクサーヌの呼び掛けにも応じず、部屋を飛び出し、()()()の元へと【瞬間移動】した。


 ◇



 そして、ギャル部屋に取り残されたロクサーヌは、指先で唇に触れ、顔を赤くしていた。


「エルピ……あーしとチューしてもいいとか……。これは、責任……取ってもらわないとだよね。ママ……?」


 そう言うとロクサーヌは空を見るように、天井を見上げた。


「ふぅ……。さてとっ! とりまエルピの命令通り、死体(アンデッド)ちゃん達を回収しないとだねっ!」


 そしてロクサーヌも、エルに遅れること数分。家を飛び出し、夜のジャペンへと向かうのだった。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

これからも本作品をよろしくお願いします!


また、【ブックマーク】と【いいね】と【レビュー】も頂けると嬉しいです( *´꒳`* )


気に入った! もっと読みたい! と思いましたら評価をお願いします!

下の ☆☆☆☆☆ ▷▶ ★★★★★ で評価できます。

最小★1から最大★5です。

★★★★★なんて頂けた日には、筆者のモチベーションがぐぐーんと上がります\( ´ω` )/

是非ともよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ