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ヲタッキーズ193 元カノは次長検事

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第193話「元カノは次長検事」。さて、今回は秋葉原セレブを代表する富豪令嬢が殺され、その公判中に裁判員が毒殺されます。


審理無効を喜ぶ被告の悪人に疑惑の視線が集まる中、事件を担当する主人公の元祖元カノの、思わぬ政治的野望が明らかになって…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 死ぬほど美味い珈琲を飲んだ


アキバのストリートで、僕はテリィと呼ばれてる。その僕を"ラッツ"と呼ぶ、困った元カノがいる。


そんな彼女は最高検察庁の次長検事w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆く


「裁判員のみなさん。ヲテス・ウリズが有罪であるコトには、合理的な疑いを差し挟む余地がありません。ライア・ディソは彼に撃たれて殺されました。動機は?車のためです。しかも、ソレだけではありません。被告ヲテス・ウリズは、遺体をトランクに入れたママ、ドライブを楽しんだのです。良いですか?被告側は、今から様々な話をでっち上げるコトでしょう。しかし、事実が変わるコトは無いのです。被告人は、ライアの車に乗っているトコロを捕まった。車は彼の指紋だらけで、服にはライアの血がついていた。この言葉をご存知でしょう。司法こそ、政治を支える大黒柱である。その言葉の通りです!」


デスクをドンと叩く…ミクス。その瞬間、裁判員席の片隅で、顔を上げカラダを小刻みに震わせる男。


「裁判員のみなさん。アナタ方は、重要な責務を課せられています。被害者に正義をもたらすのは、みなさん、裁判員なのです…」


突然、裁判員席で胸を抑え、男が立ち上がる。誰もが呆気にとられる中、男はミクスにつかみかかる。


「た、頼む。助けてくれ!」


喉を掻きむしり倒れる。警吏に取り押さえられ口から泡を噴く男。法廷は大混乱、木槌(ガベル)が乱打される。


「キャー!」

「静粛に!静粛に!」

「おい、救急車を呼べ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「た、頼む。助けてくれ!」


御屋敷(メイドバー)でムセ返る僕。


御屋敷(メイドバー)のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くて常連が沈殿、収益率は急降下だw


「ミユリさん!僕を殺す気か?コレ何?」

「テリィ様が健康で、長生き出来るモノが全て入っているのです」

「コレを飲むんだったら、もう長生きはしなくても良いカモ」


聞く耳を持たズ、カウンターの中で一気に飲み干すミユリさん。すげぇ。彼女は僕の推しでメイド長w


「あぁ生き返るわ!」←

「おはよう!ミユリ姉様にテリィたん」

「呼ぶ順が逆だな」


常連のスピアだ。彼女は僕の元カノ会の会長w


「グッドタイミングだ。今、シネコンで"シン禁断の惑星"を上映してる。スピアも好きだったょね?レスリ・ニルセが出てる映画だ。逝くか?」

「ごめーん。今日は、池袋の乙女ロードに行くの…(ジュースを1口飲むw)あぁ美味しい。じゃ行ってくるね!」

「…スピア、ウソをついたな」


スピアを見送りながら、僕はボヤく。


「あら、テリィ様。ホントに美味しいのです」

「違うょ逝き先のコトさ。スピアは、ウソをつくと鼻にシワがよるンだ」

「テリィ様、ヤメて。ポーカーじゃないんだから」


しかし、気になる。絶対に何か企んでるなと思いつつ、危うくジュースを飲みそうになる僕。危ねぇ。


「ミユリさん。タマには映画館デートしょ?」

「ダメです。カンパニー立上げで人に会わないと」

「そっか。じゃ1人で逝くか」


その時、スマホが鳴る。


「映画鑑賞を御希望の方?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


昼下がりの法廷。黒ジャケに青シャツの僕は、グランデサイズのコーヒーカップを2つ持って現れる。


"新橋鮫"こと赤コートのラギィ警部に1つ献上。


「ラギィ。何で裁判所にマスコミが?」

「被害者がジョマ・キジクだからょテリィたん」

「誰?」


ラギィは万世橋警察署(アキバポリス)の敏腕警部だ。


「ライア・デソン裁判の裁判員」

「話題の裁判か。なるほど。何があった?」

「最終弁論の最中に死んだ。ルイナは、毒殺だと言ってるわ」


ルイナは"リモート鑑識"で僕達を手伝ってくれる超天才だ。


「大富豪デソン家の"覚醒した(スーパーヒロインの)"お嬢様が殺され、その公判で裁判員が殺される…こりゃ法廷モノの短編が1本かけるな」

「何?メールしてるの?」

「この話、横取りスルなとモンハン仲間の作家達にメールで釘をさしたトコロ」


ピコピコとスマホでメールしながら、死体が寝かされている部屋に入る。僕のタブレットが語り出す。


「絶対に毒殺だと思った。ピンク色の死斑にアーモンドの臭い。案の定、青酸カリが検出されたわ」

「青酸カリ?神田明神も照覧あれ!」

「テリィたん。死者に敬意を払って」


人のタブレットをハッキングして、勝手にたしなめるのは超天才のルイナ。ラボから"リモート"中。


「ゴメンゴメン。本人にとっちゃ最悪の話だょなモチロン」

「…遺体に注射の痕はなかった。だから、多分飲まされたのね」

「毒で殺すナンで、まるで月面ナチスだな」


ラギィが尋ねる。


「青酸カリって、飲んでから大体何分ぐらいで死ぬモノなの?」

「15分以内ね。直前に飲んだコーヒーに入ってたのかもしれない。因みに、被害者ジョマ・キジクが裁判所に現れたのは、今朝8時37分。死んだのは9時13分だから、多分裁判所で毒を飲んでる」

「つまり、裁判所で毒を飲まされたワケね」


僕とラギィの妄想がシンクロ。


「裁判員が死んで得するのは誰かな?」

「被告人だわ」

「その通り。今回は気が合うな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)に捜査本部が立ち上がる。


「被告人は、ヲテス・ウリズ。悪人中の悪人ね。車の窃盗に暴行、殺人未遂。も1度、有罪になったら、かなり長い間、服役するコトになりそう」

「死刑もあり得るわ。まぁ死刑制度が秋葉原特別区(D.A.)に残ってたらの話だけど」

「トランクに遺体が入った車を乗り回し、完全に指紋が残ってるの。有罪以外にナイわ」


ラギィは鼻息荒い。警官って、常に先入観を持たないと不安なのだ。


「でも、裁判員を殺すかな」

「殺すわょ。だって、コレで審理は無効、再審をしても裁判員達はビビって有罪にしたがらナイわ」

「ヲテス・ウリズは、事件当日は蔵前橋(けいむしょ)にいたからね。念のため」


悪人の中の悪人を弁護スル僕。が、旗色は悪いw


「モチロン、共犯がいたのょ。ソイツが、この裁判所の中で、開廷15分前にジョマに毒を飲ませた」

「警備担当から監視カメラの映像を取り寄せて調べてみるわ」

「私は他の裁判員に話を聞いてくる」


エアリとマリレが、裁判所の廊下で左右に別れる。因みに2人はメイド服だ。ココはアキバだからね。


「さてさて。ヲテスは何と言うかしら?…弁護士さん、万世橋警察署のラギィ警部です。ヲテス・ウリズ"さん"とお話し出来ますか?」

「ライアさんの件なら法廷で全てお話ししました」

「ライアさんの事件ではありません。裁判員7番についてです」


昼休みに入り、ドッと混み合う廊下で、ラギィは、退廷して来た悪人中の悪人と弁護士に声をかける。


「ヲテス氏は、全く無関係です。失礼」

「殺人の捜査です」

「殺人?発作か何かによる自然死だと思っていましたが…」


足を止める弁護士。


「毒を飲まされてました。自然死はあり得ない」

「しかし、依頼人は無関係だ。お話しスル事は何もナイ。裁判があるので、コレで失礼スル」

「…」


ヲテス・ウルズは、無言で僕達をにらみつける。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


午後になり、再び開廷。裁判長が宣スル。


「裁判員7番の突然の死を受け、よって、この件を公平に裁くコトは困難となりました。よって、審理無効とせざるを得ません」


間髪入れズに検察が…わ、元カノのミクスだw


「裁判長、裁判のやり直しを求めます」

「わかりました。その間ウルズ氏は勾留されます。

コレにて閉廷」

「おい!コレが正義だと言うのか?!」


傍聴席から怒声が飛ぶ。激昂し立ち上がる大富豪。


「アイツは私の娘を殺したんだぞ!くそ、怪物め」


裁判長は逃げるように退廷、被告ヲテス・ウルズは不敵な笑みを浮かべて、ゆっくりと立ち上がる。


「父さん、ダメだ!」


必死に押し留める息子。警吏が飛んで来る。


「もう帰ろう、父さん!」

「…先ずはヲテスのプラン通りになったか」

「今のトコロはね」


唇を噛むラギィ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部のデスクに何台もPCを並べ、裁判所内の全監視カメラを見ているマリレ。


「何か発見は?」

「未だょテリィたん。監視カメラが大量にあって、超能力(パワー)で見ても、あと何時間もかかるわ」

「怪しいのは被告人じゃなくて、裁判員の方カモしれナイわ」


エアリが割り込む。


「何のコト?」

「ミュラ・ミーラ。裁判員の4番だけど、ジョマが殺されてから連絡がつかない。スーツケースで家を出るトコロを目撃されてるけど」

「この人?…わかった。探してちょうだい」


エアリから渡されたファイルに目を通すラギィ。


「もう手配したわ」

「あら。優秀ね」

「ラギィ。ジョマの弟さんが来たぞ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部の会議室。


「裁判所って安全ではないのか?」

「残念です。犯人は全力で探します」

「なぜ兄貴が狙われたンだ?」


被害者ジョマの弟シュマは痩せギスだ。


「狙いは、お兄さんよりも裁判なのカモしれません。ライア・デソン嬢の裁判が狙われた可能性もアル。お兄さんが、ライアの裁判の裁判員を務めるコトを聞いてましたか?」

「いいや。裁判員をやるとだけ聞いてた」

「お兄さんについて、何か思い当たるコトはありませんか?」


しみじみと歌い出す弟。


「ガキの頃、兄貴はいつも警察の世話になるワルだったんだ。でも、立派に更生した。第2のチャンスを信じ、更生施設を運営してた。だが、中には更生しない奴だっているさ」

「具体的に、その更生施設で何かモメるようなコトはありませんでしたか?」

「ナイさ。兄貴は、ワルの頃から人の扱いが上手くて面倒見が良かったんだ」


変な理屈w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ギャレーでコーヒーカップ片手に意見交換。


「詰まるトコロ、ジョマは更生施設を運営してるから狙われたってコト?」

「法廷モノの小説とは違うの。未だわからないわ。ねぇジョマの更生施設で何かトラブルがなかったか調べてちょうだい」

「ラギィ。もうスタッフと話したけど、特になかったみたいょ。今、入所者リストをリクエストしてる」


今度はマリレが優秀だ。ソコヘエアリ。


「逃亡中の裁判員4番だけど、神田リバー水上空港で見つけた。今、連行中」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


今度は取調室だw


「ミュラさん。なぜ急いで秋葉原を出たの?」

「わかるだろ?俺は命を狙われてルンだ!」

「命を狙われてる?」


激しくうなずくミュラ。裁判員4番。


「専任されたから、特別区民の義務として裁判員を受けたまでだ。ソレなのに、被告人の仲間に命を狙われるナンて…」

「被告人の仲間って?」

「あの、おっかない背高ノッポだ!」


おっかない背高ノッポ?


「その人が何をしたの?」

「昨日、そいつが裁判所のトイレで俺に話しかけてきたんだ」

「名前は聞いた?」


とんでもない、と首を横に振るミュラ。


「そんなコト、聞けるか!とにかく、ヲテスは無実でハメられただけだ、とズッと耳元で囁かれて…スッカリ縮み上がっちまった!そしたら、今朝、法廷に行ったらソイツが傍聴席にいて、俺をにらみつけていたんだ!」

「その背高ノッポは、ジョマと話してた?」

「モチロンだ。そして、ジョマは殺された。だから、ジョマの次は俺ナンだ!でもさ、ソンなのヲカシイだろ?義務を果たすだけなのに、どーして殺されなきゃイケナイんだ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


僕とラギィとで、取調室の出口までミュラをお見送りスル。さっきまでは容疑者扱いをしてたのだが…


「ミュラさん。お忙しいトコロを、どうもありがとうございました。あと、もし私どもの望みがかなうなら、似顔絵の作成にも、お力添えいただけると幸いですが…」

「だ・か・ら!おっかない背高ノッポだと言ったじゃナイか。信じろ」

「モチロン信じますとも。でも、も少し具体的だと助かるのです」


思い切り下手に出るラギィ。すると…


「名前はウデル・ウムズ。被告人の従兄弟だ!」

「はて。今し方、名前は知らないとおっしゃっておられたけど…」

「あぁ言った。だが、アイツだ!」


ミュラは、ちょうど放映中のニュース画面を指す。

"Udel Ums defendant's cousin"のテロップ。


「おぉ!確かにオッカナイな」

「あれ。マジ?」

「どーしたの、マリレ?」


何台ものPCを同時に見てるマリレが手を挙げる。


「裁判所の監視カメラの映像に、こんなモノが映ってた。ジョマが死ぬ14分前。ジョマは自販機でコーヒーを買ってるの」


階段の上から階段の下の自販機の模様が写っている画像だ。紙コップに焙煎コーヒーが注がれる。


「タイムコードは、死亡時刻の14分前」

「見て。従兄弟のウデル・ウムズが近づくわ」

「見て!」


ウデル・ウムズは、ジョマにコーヒーの入った紙コップを手渡し、何か冗談を逝って肩をポンと叩くw


「死ぬほど美味いコーヒーをどうぞ、かな」


居合わせた全員ににらまれる。


「ごめん。不謹慎でした」


第2章 黒メイドと黒書記官が知っている


取調室にPCを持ち込み、裁判所内の自販機前の寸劇を、悪人ヲテスの従兄弟に"任意"で見せる。


鼻で笑うウデル・ウムズ。


「こんな映像で俺を殺人犯に仕立て上げようって魂胆か。お前ら警察はマジで冤罪の自販機だな」

「貴方とヲテスは同じ施設で育ち、兄弟同然だったのょね?」

「だから、何だってんだ」


警官のラギィでは聞けないコトをズバリ聞くw


「彼のためなら裁判員を殺せるだろう?」

「あり得ねぇ」

「あーら、どうかしら?そもそも、裁判員と会話するコト自体が禁止されてるのよ?」


よほど冤罪慣れしてるのか、反論も滑らかだ。


「また次元難民の俺に冤罪を着せるつもりだな?秋葉原は全次元自由の街だろ?難民に冤罪を着せるのはヲテス1人にしろ。裁判所では、色んな人と話したさ。裁判員とは知らずに話しただけだ」

「おいおい。保安官みたいなドでかい裁判員バッチを見れば一目瞭然だろ?」

「あのね。監視カメラの映像を元に鑑識が、問題のコーヒーの紙コップをゴミ箱から拾うコトが出来た。今、調べてるわ。その結果が出てからじゃ遅いの。自白スルなら今しかナイ。司法取引で罪を軽くするチャーンス!」


決然と立ち上がるウデル。怒ってるw


「俺じゃねぇ!」

「ウデル。座らないとどうなるかわかってる?」

「なるほど。女が悪い警官役か。で、コッチのインテリ崩れが良い警官だな」


首を振る僕。


「惜しいな。僕は警官じゃない」

「違うのか?」

「彼はSF作家のテリィたん。捜査に協力してもらってるのょ」


急に僕を見る目が変わる。こーゆーの良くいるw


「あの"地下鉄戦隊メトロキャプテン"のか?!おおお、姉貴の息子がファンでな!来週、俺をインスパイアした怪人を登場させてくれナイか?」


ごめん。全くイメージ湧かないゼw


「とにかく!従兄弟もこーやって冤罪を着せられたンだな…なぜ今回の事件は、最高検察庁の次長検事が担当してルンだ?もうすぐ、秋葉原特別区(D.A.)の大統領選だ。セレブの連中を味方につけておきたいんだな?次元難民を牢屋にぶちこめば、コンサバな奴等は拍手喝采だ」


実はミクスには大統領選のダークホースとの噂w


「あのね。アンタ、状況わかってるの?」

「完璧なストーリーを作ったな。次元難民が殺人を犯し、そいつの従兄弟が裁判員を毒殺した?」

「違うのか?」


僕は、両手を広げ、大袈裟に驚いてみせる。


「誰かが俺達をハメたがってる。俺は、毒を入れてナイ。奴にコーヒーを手渡しただけだ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


取調室を出たら、ドッと疲れてる僕達w


「ヲタッキーズ。ジョマの部屋に青酸カリがナイか調べて来て」

「ROG」

「残念だったな。もっと面白くナルと思ってたのに。早くもウデルで犯人が決まってしまうなんて」


ラギィはデスクに座る。僕はスマホをチェック。


「おや。スピアがなぜ渋谷(百軒店)にいるんだろ?」

「なぜ居場所がわかるの?」

「スマホのGPSさ」


うっかり口を滑らす僕w


「元カノを追跡してるの?」

「え。元カノと逝ってもスピアだけだょ。南秋葉原条約機構(SATO)のアプリは優秀ナンだぜ。元カノの居場所がすぐワカル」

「スピアには伝えてあるの?」


まさか。


「伝えたら殺されるぞ」

「当然でしょ?」

「僕は、元カレだ。元カノのスマホや秘密の宝石箱を調べるより、このアプリの方がスマートだろ?」


スマホが鳴る。僕をにらみながらラギィ。


「あ、ルイナ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の検視室は地下にアル。そのスクリーン一杯に青スクラブを着た超天才が映ってるw


「紙コップにウデルの指紋はついてたけど、他に大事なモノが出なかった。つまり、青酸カリね」


証拠品の紙コップが入ったビニール袋が回って来る。ルイナはラボからの"リモート鑑識"だ。


「え。マジ?」

「マジ」

「じゃ被害者は、どうやって毒を飲んだの?」


画面の中の超天才は語る。


「青酸カリは、処方薬に使われるタイムリリース加工のされたカプセルに入ってた」

「ジョマは、青酸カリを処方されてたの?」

「まさか。処方されてたのはステロイド。かかりつけ医に確認したら皮膚病の治療に毎朝飲んでたらしい。誰かがカプセルの中身を青酸カリと入れ替えてたのね」


コレは計画的な毒殺だ。


「ジョマは、処方薬を飲むつもりで、毒を飲んでたのね?悲劇」

「問題がアルわ。そのカプセルは、タイムリリース加工がしてあったから、溶けるのは胃ではなくて、腸になる。つまり、服薬した時刻が変わってくるわ。ジョマが薬を飲んだのは、死ぬ1時間前。つまり、今朝の8時13分ね」

「裁判所に着く前だわ」


自販機コーヒーの線は消える。苦々しげなラギィ。


「犯人は、裁判所にはいないってコト?」

「裁判自体と無関係なのカモ」

「何もかもフリダシだわ」


意気消沈のラギィ&ヲタッキーズw


「犯人について3つわかったコトがアル。先ず、1つ目は毒の飲ませ方からして、犯人は極悪で凶悪な人間だと逝うコトだ。2つ目。犯人はジョマについて色々と知っている。そして、3つ目は…犯人は女だ。統計的に見て、毒殺は女の方が多い」

「あ、でも。テリィたん、重要なコトを忘れてるわ。犯人は、薬を入れ替えてる。でも、ジョマは薬を持ち歩かなかったから、薬は部屋に置いてあったハズ。つまり犯人は…」

「部屋に入れた人だ」


ラギィは、ウレしそうに僕を指差す。 


「ビンゴ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


夜の"秋葉原マンハッタン"。古い摩天楼の1室。


「ジョマ・キジクさん、入りますょ…しかし、ジョマの死は悲劇ょね」

「殺人は、全部悲劇ょ」

「ジョマの場合は特別。彼は、飛行少年だったけど真面目に生まれ変わって、元犯罪者達を助ける仕事をしてた。それなのに、毒殺ナンて」


溜め息をつくエアリ。うなずくマリレ。被害者宅で青酸カリ探しだ。因みに2人はメイド服w


「臆病者は、死の恐怖を何度も経験スルが、勇者は1度だけょ」

「テリィたんのマネ?」

「まさか。ヤメてょ」←


何でだw


「じゃヤメて。ソックリょ」

「シェイクスピアょ?引用しても良いでしょ?教養が勝手に溢れちゃう」

「そのセリフしか知らないのに?」


奥で何かが閉まる気配。ヲタッキーズは目配せ。


「あら。もう1つ知ってたらどうする?」

「お父さん、お母さんを大切にしよう、とか?」

「違うわ。だって、今から覚えルンだから」


音波銃を抜き、ウォークインクローゼットのノブに手をかけるエアリ。正面に音波銃を構えたマリレ。


勢いよくOpen!何かが飛び出す!


「とおりゃ!」

「Å℃〓∂@◆♬☆」

「貴女、誰?」


マリレが背負い投げ!床に叩きつけられたのは…黒服のメイド?ヲタッキーズが音波銃を突きつける。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の取調室。


「ポンゼ・ハンル。"blood type BLUE"。更生施設に入所していたのね?ところが、ジョマに追い出された」

「そりゃ相当腹が立ったわね。殺したくなった?」

「アンタ達は何もわかっちゃナイわ」


メイド vs メイドだw


「いいえ。わかってる。お見通しょ。ジョマに恨みを持って、貴女が毒殺した。カプセルに青酸カリを入れたでしょ?」

「マジで犯人なら、ジョマの部屋にいないで逃げるハズ。私は、青酸カリを回収するために戻ったの」

「証拠隠滅のために現場に戻ったのね?」


取調べる者は、誰もが冤罪体質だw


「あの部屋なら、誰でも簡単に侵入出来るわ。そもそも、私にはジョマは殺せない。友達だった」

「ムショ仲間とか?」

「私を部屋に泊めてくれた。施設を出る時期になっても住む場所がなかったの」


ホントかな?


「じゃあなぜ隠れてたの?」

「私は仮出所中ょ?警察の姿を見たら本能が働いたまでょ」

「わかった。じゃ今の話がマジだとスルわね?ジョマは、何かトラブルに巻き込まれていたかしら?」


頭を抱えるポンゼ。


「ポンゼ。自分の状況わかってる?現在、仮出所中で殺人容疑をかけられてるの。わかる?とっとと歌わないと蔵前橋(けいむしょ)に戻るコトになるわ」

「…ジョマに雑用を頼まれるコトがあった。クリーニングを取りに行くとか、ちょっとした買い物とか。だけど、数週間前には封筒を届けるように言われたわ」

「封筒の中身は?」


アッサリ歌うポンゼ。


「ざっと20万円。何のお金かはワカラナイ。ジョマは更生したコトになってたけど、完全には更生してなかったのカモしれない」


エアリが噛み締めるように聞く。


「その封筒を誰に届けたの?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ジェン・キンスさん!」


裁判所の事務室。僕達が呼びかけると、帰宅準備をしていた書記官が振り返る。ウルトラ地味な女w


「はい?」

万世橋警察署(アキバP.D.)です。貴女、住所は東秋葉原のウェストエンドAvenue?」

「YES」


おもむろに切り出すラギィだが…


「お話しがあります」

「確かにやったわ!犯人は私!」

「え。殺したの?」


仰天するジェン・キンス。


「殺人?まさか!なぜソンなコトを言うの?」

「だって貴女がやったって言うから」

「違う。殺人じゃないわ。けど私やっちゃったのょ。ヒドいコトを」


仕切り直すラギィ。折目正しく一問一答。


「貴女は、裁判所の書記官。なぜジョマ・キジクから大金を受け取ったの?」

「ソレは…ジョマ・キジクを裁判員にスルためょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の取調室に直行のジェン・キンス。


「ある日、ジョマに言われたの。裁判員をやりたいって。別に害はナイと思った」

「小遣い稼ぎになるしね」

「2ヶ月前、ルームメイトが突然引っ越して…家賃を払えなくなって困ってた。こんなコトなら誰にもバレないと思ったの。お願い!刑務所には行きたくナイ。仕事柄、収監される女達をいつも見てる。私にはやっていけないわ。あの女達の奴隷にされちゃう!」


シクシク泣き出す。ウソ泣きか?


「ジョマは、ライア・デソン裁判の裁判員を務めたいと言って来たのね?」

「YES。この裁判だと何度も念を推されたわ」

「理由は聞いた?」


首を横に振るジェン・キンス。


「聞かなかった。話題の事件だから、裁判後に暴露本でも書くのかと思った。誓って言うわ。私は、彼を候補に入れただけ。専任されたのは彼の運ょ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。


「エアリとマリレが確認したけど、ジョマが暴露本を描いてた形跡はなかったンだょミユリさん」

「テリィ様。結局ジョマがお金を払って裁判員をやりたかった理由は不明なのですね?」

「うん。でも、殺人、謎、密室…法廷モノの小説そのものだな」


カウンターを挟んでメイド長自ら絡んでくれる。


「小説ならジョマの行動を解明出来るのにな」

「ジョマは、被害者か被告人とつながっていたのかもしれませんね」

「更生スル前の(ワル)をやってた頃か…やっぱり悪人の中の悪人ヲテスと何か関係があったのカモ」


アクビが出るw


「明日、エアリ達に探させてみます」

「ラギィに頼んでヲテスの事件ファイルを送ってもらおう。遺族ともつながりがあるかもしれナイ…さ、執筆タイムだ。"地下鉄戦隊メトロキャプテン"が〆切ギリギリなんだ」

「はい、テリィ様」


先ず、スマホを取り出しアプリを確認スル僕←


第3章 元カノと仲直りしたら解けた謎


潜り酒場(スピークイージー)"のカウンター席。タブレットに次作を打ち込む僕。スピアが御帰宅。


「ただいま、ミユリ姉様。テリィたんは執筆中?」

「あぁ。乙女ロードは楽しかったか?」

「うん。まぁね」


腹の探り合いみたいな間が開く。


「他にどこへ行った?」

「何で?ずっと池袋にいたけど」

「マジ?東京には、他にもたくさん萌えスポットがあるのに?」


よせば良いのに突っ込む僕w


「今日は乙女ロードだけょ」

「じゃあ…渋谷の百軒店には行ってナイのか?」

「え?」


御屋敷(メイドバー)の冷蔵庫を開ける手が止まるスピア。


「知ってたの?」

「古い友達がお前を見たと言っていた」

「古い友達って?まさか…」


完全無欠の不審な顔で僕に詰め寄るスピア。


「ソレは、その…JJジョンソンだ」

「鼻が動いた。ウソだってバレバレだわ」

「待て。違うだろ」


慌てる僕。ハンターは瞬時に狩られる側にw


「JJジョンソンって誰ょ?」

「僕のバンド仲間で…」←

「あ。JJジョンソンって禁断の惑星に出てくる登場人物の名前ょね?レスリ・ニルセが演じた役だわ!」


ソレはJJアダムスだw


「ミユリ姉様!テリィたんは、百軒店絡みでウソついてる!あの学生時代の同棲相手と"また"会ってルンだわ!でも、なぜわかったの?まさか私を尾行してた?地下鉄のカードを見た?クレジットカードを見た?」


ピタリと立ち止まるスピア。


「スマホ!まさかハッカーの私を追跡とかしてないよね?」

「え…ソレよりスピアは元カレの僕にウソをついたンだぞ?」

「公民権を犯す人に言われたくないわ」


ハッカーに言われたくナイなw


「私の行動を全部監視してるの?」

「全部じゃないょ…って何だょ。そのガッカリした顔は?」

「うるさい!ジョージ・オーウェルの1984年状態ね。元カノの脳味噌にチップでも入れる?」


良いアイデアだ!


「そもそも、スピアが隠しゴトをスルからいけないんじゃナイか!」

「私の秘密が知りたいなら、アプリで調べたら?大好きなアプリで」

「待て」


プイと、お出掛けしてしまうスピア。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


黄昏に染まる捜査本部。摩天楼の谷間だが、西日だけは良く当たる。ラギィに怒られる僕w


「当然よ。あんなに素直な元カノを犯罪者扱いしたのょ?」

「いや、犯罪者だ。ウソをついたんだから」

「ソレを知る必要がアルの?拷問でもして聞き出すつもりだった?」


エレベーターの扉が開き捜査本部に入る僕達。それぞれ手にはコーヒーのベンティカップ。夜は長い。


「僕は、そんなに悪いコトをしたかな?」

「スピアの信頼を完全に失ったコトは確かね」

「どうすれば良い?」


同性の意見を聞く。ホント、女子は面倒くさい。


「失ったモノは取り戻すまで。でも、その前にライアの遺族と会ってね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ライアの遺族はアキバの大セレブ、大富豪のデソンファミリーだ。捜査本部のチンケな応接で会うw


「このソファ、臭いわ」


父親が母親の手を握る。娘が死んだのにソファの愚痴かょ…聞いてなかったけど、検事が同席スル。


元カノのミクスだ。


「ジョマという男は、法廷で初めて見た」

「私は、長年検事をやってるけど、お金を払って裁判員をやるナンて話は初めてよ。ラッツ」

「娘さんがジョマを知っていた可能性は?」


ミクスが僕を"ラッツ"と呼ぶや、遮るように質問を被せるラギィ。警察と検察の意地の張り合いか?


それとも元カノ同士の…女子ってホント面倒臭いw


「その可能性はゼロだ。どうだ、ステン?」


傍らに立つライアの兄を振り向く父親。ジャケットは着てるが、遊んでる感じのイケメン。アラサー。


「妹の友達なら大抵知っているが、彼のコトは知らない。そもそも、もし友達なら裁判の邪魔はしないだろう」

「ラギィ。今回の事件で特別区の法制度が揺るぎかねない。必ず解決してね」

「了解。そっちの状況は?」


イケメン兄貴に続き元カノ同士のヒヤヒヤ会話w


「状況?良くないわ。今朝も予備尋問があったんだけど、裁判員候補の間から不安の声が上がったわ」

「やっぱり?」

「私達は、秋葉原特別区(D.A.)民の安全を守らなければならない。ラギィ、また連絡して頂戴」


上から目線で言葉を残し、遺族とともに本部を去る最高検察庁のミクス次長検事どの。見送る僕達。


「私が新橋からココに赴任して、もう長いけど、次長検事が自ら本部に来たのは、今日が初めてだわ。みんな、状況はわかった?」


うなずくヲタッキーズ…と僕。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


早速、会議室に缶詰で書類の読み込みだ。早くも、目頭を抑えながらボヤく僕。


「小学校の卒アルから最新のSNSまで全部調べたけど、2人に共通点はナイな」

「マジでマルチバースの別の次元で暮らしてたみたいね」

「ヲテスとジョマとの接点も見つからないわ。かすってもいない。入ってた少年院も収監の時期も違う。 家も離れてるし、ジョマは、何で裁判員をしたかったのかしら?」


マリレがボソリ。


「待って。何か変よ?」

「何?」「何?」「何?」

「クレジットカードの履歴によると、ジョマは1か月前に"安売り王ノンキ・ホーテ"でプリペイドスマホを買っているわ」


みんなの注目が高まって逝く。


「だから?」

「だって、スマホは既に持ってるから買う必要はないし、しかもプリペイド。ソレがどこにも見当たらない。少なくとも遺留品の中には」

「ジョマの部屋に行って探して来て。何か大きな手がかりになりそうよ」


早速出かけて逝くヲタッキーズの2人。僕はスマホを抜く。


「テリィたん。遊ばないで」

「遊んでないよ。せっせと事件を解決に導いているトコロさ。コレはライアの事件現場に集まった野次馬の写真。ソレを僕の拡大アプリで見てみたら、こんな人が映ってた」

「あら」


スマホの小さな画面にジョマの顔w


「ジョマだわ。ライアの殺人現場にいたのね!でも、どうして?」

「現場にいる人間は、3種類に分けられる。先ず、被害者本人。次にタマタマ居合わせた野次馬。3つ目が事件の経過を見ズにいられなくなった犯人だ。さてジョマはどれかな?」

「きっと3つ目ね」


僕はうなずく。


「被害者であり、犯人だ」


スーパーヒロイン達にポンポン肩を叩かれ、骨折しそうになるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「被害者でもあり犯人でもアル、か。今まで見て来た中でも最高のヒネリだな。自分の犯罪の裁判員を買って出るとは」

「なぜ捕まる危険を犯してまで、ソンなコトをしたのかしら?」

「理由は1つ。無実の男を救いたい、その一心だ。思ったんだ。だから、ヲテスが無罪になるよう、自ら裁判員となり、評議を進めようとした」


しかし、ラギィは現実的だ。女だからなw


「ソレか、ヲテスを確実に有罪にスルためかもしれないわ。自分が確実に罪を免れるために」

「違うょ。僕の妄想の方がスマートだ」

「どうかしら?私の妄想の方がシンプルで自然だけど」


妄想論争が勃発w


「水を差すようで悪いけど、2人まとめてブブーね。ジョマはライアを殺してナイ。アリバイがアル。ジョマの更生施設を調べたら、事件の夜には盆ダンスがあって、真夜中まで踊ってた」

「おいおい。盆ダンスって盆踊りだろ?殺されたのは21時半から23時半の間だぜ?」

「じゃジョマはナゼ裁判員になったの?殺害現場にいたのもヘン」


ホワイトボードの前で頭をヒネる。


「ジョマは、何か作戦があって裁判員になったハズだ。最高検察庁の次長検事が担当するホドの注目の事件だ。ところが、彼はその作戦を実行に移す前に"闇の権力"によって殺されてしまう…何だょラギィ?」

「私達、絶対に何か見逃してるモノがアルわ。ジョマと被告人、もしくはジョマと被害者は、絶対につながってるハズょ」

「いいえ。つながってたのは、全く別人ょ!」


マリレが駆け込んで来る。因みに彼女はメイド服w


「ジョマの部屋でプリペイドのスマホを見つけた。ジョマは、殺される前に同じ番号に14回もかけてるわ。最高検察庁のミクスのオフィス」

「何だって?!」

「あら。次長検事様は大ピンチだわ」


やたらウレしそうなラギィw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部の応接。気さくなおばさん登場。


「クレグさん」

「ドーンと呼んで」

「ねぇドーン。貴女は、ミクス次長検事のオフィスで働いてるわね」


にこやかに応じるドーン。


「彼女が就任してからずっとょ」

「ジョマ・キジクから電話はあった?」

「毎日たくさん電話がかかってくるけど…ちょっと聞き覚えがナイわ」


真面目に首を傾げる。


「彼は、ヲテスの件で何度も電話してるらしいんだ」

「あぁそうそう。確かにあったわ」

「匿名の男なら"ヲテスは無実だ"と何度もかけてきたわ」


匿名ナンだ。


「そのMr.匿名は、次長検事と話した?」

「変な奴の電話は取り継がナイ。おかしな電話が多いから、マトモな電話だけ仕分けて次長検事につないでいるのょ」

「ジョマは…そのMr.匿名は、他に何か言ってた?」


テキパキ答えるドーン。


「ヲテスの無実を証明する証拠品があるから、次長検事のオフィスに送ると言ってたわ」

「ソレで証拠品は届いた?」

「知らないわ」


ラギィは、切り口チェンジ。


「ねぇドーン?ミクス次長検事とジョマの通話は、ほとんどが2分以内だけど、1度、夜の22時14分に10分以上話してるの。対応したのは貴女ですか?」

「いいえ。私はいつも7時には帰るし」

「へぇ。で、いつもミクスは何時まで仕事?」


次の瞬間、応接ルームの扉がイキナリ開き、世にも恐ろしい顔をしたミクスが入って来る。

弾かれたように立ち上がるドーン。顔が恐怖にひきつっている。そしてミクスの険しい声。


あの日、渋谷で別れ話をした時を想い出すw


「話は以上にしてもらうわ…ラッツ?貴方、何でココにいるの?」

「ミクス。今日は暑いね」←

「…ねぇラギィ。私、こーゆー時は連絡を頂戴って言わなかったっけ?」


直立不動のママ、金縛り状態だったドーン。場の混乱に乗じ荷物をまとめて応接を脱出、遁走に入る。


「ミクス。事件の進展が想定外に早い。警察としても直ちに対応しないとね」

「ラギィ。私は、貴女のコトをとても良く知っているの。ね?"新橋鮫"さん?」

「ミクス。ジョマが貴女のオフィスに電話して、10分以上通話したって記録が残ってる。貴女、彼と話した?」


鼻で笑うミクス。ウソをつく時の癖が変わらないw


「私がジョマと?話すワケないわ」

「ミクス。何か証拠品が送られて来たコトは?」

「失礼だけどラッツ。今の私は、民間人である貴方をココから追い出せるのょ」


百軒店のアパートから追い出したみたいにw


「そして、ラギィ。私は貴女をパトロールに異動させるコトも出来るわ」

「上等。でもね。警察は、事件を解決したいだけなの」

「私に内緒でコソコソ調べるコトは許さない。次に何かあれば、必ず連絡して。ソレと、私の許可なくスタッフを連れ出すコトも許さない。わかった?」


ガンを飛ばし出て逝く元カノ…別れて正解?


「ヲタッキーズ、彼女の許可を取らずにドーンを呼び出したの?」

「ごめーんラギィ。でも"任意"だから…」

「良くやったわ!今の見たでしょ?電話で済むのに、次長検事自らが乗り込んで来た。よっぽどドーンの話を止めたかったのね」


さすがはラギィ、鋭いな。女の敵は女。


「そうだな。彼女は、何か隠しゴトをしている。少なくとも、この僕に」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部。事件のホワイトボードに、背伸びして、大きく"陰謀"と描くラギィ。


「ヲテス・ウリズの逝う通り、コレは陰謀だ」

「珍しく意見が一致したわ」

「確かに珍しい。でも、未だ氷山の1角さ。タイタニックはコレからだ」


僕はタブレットでデータを示す。


「何?」

「ちょっちネットで調べたんだ。秋葉原特別区の大統領選だけど、前回の大口資金援助者は誰だと思う?」

「誰?」


僕のタブレットをのぞき込むラギィ。髪からラベンダーの香り。萌え。


「被害者ライア・デソンの両親だ。デソン家は、歴代政治家との付き合いを重んじる。その彼等がライアの裁判で、仮に公正な裁きを求め、次長検事に担当を依頼したとスル。もしかすると、彼等は"悪人の中の悪人"ヲテスを有罪にしないと、次の大統領選で資金援助はしないとか口走ったカモしれない」

「なるほど。そして、ミクス次長検事サマは、楽勝で資金援助をゲット出来ると踏んだ。だってヲテスは悪人の中の悪人。犯人であるコトは火を見るより明らかだし」

「ただ都合が悪いコトに、ジョマがヲテスの無実を訴え始めた。ジョマを何としても黙らせないと…」


ココで妄想シンクロがプツリとキレる。


「でも…なぜジョマが裁判員を買って出たのか、謎が残るな」

「ソレにナゼ、ヲテスの無実を知ってたのかしら。ソレに証拠品はどこ?消えたママょ。全員を調べたのに」

「うーん全員じゃなかったのカモ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


取調室。公選弁護人なのにヤタラとキレる若い弁護士と"悪人の中の悪人"ヲテス。


「ライア・デソンの事件の話はしません」

「わかってます。私達は、ジョマの事件を調べています。例の裁判員7番」

「私の依頼人は無関係だ」


大きくうなずく僕。


「確かに。ヲテス氏は、いずれの殺人にも関与していないカモしれない。真犯人を探す協力をすれば、結果として貴方自身が助かる可能性がアル」


ヲテスは弁護士を見る。弁護士は…僕を見る。


「彼が、裁判員7番。ジョマ・キジクだ。裁判の前に会ったコトは?」


微かに首を横に振る"悪人の中の悪人"。


「ジョマは、君の無実を証明する証拠品を持ってたそうだ。何のコトかわかるか?」

「…知らない」

「彼は、貴方を無罪にするために裁判員になって殺された」


弁護士と目配せを交わし、初めて口を開くヲテス。


「ソレは残念だ。彼が俺のために、そこまでしてくれたコトには感謝スルが、俺には何も出来ない」

「そうか。貴方がライアを殺していないのなら、誰がライアを殺したのかを解明しないと」

「とりあえず、君が現場にいた事件の夜のコト、何でも良いから歌ってくれない?」


弁護士もうなずき、ヲテスをうながす。


「…かなり遅い時間だった。工場帰りで、歩いて帰る途中だった。そしたら、目に入ったんだ。イカした水素カー。キーは刺さったママ。ヤメときゃ良かったが、新型の水素カーだ。思わず乗っちまった」

「そーだったの。もっと細かいコトを歌って。周りに人はいた?」

「いない」


ラギィが巧みに話を引き出す。上手い。


「何か落ちてなかったかしら。誰かがいた形跡は?吸い殻や髪の毛、ガムとか、足跡」

「うーん何もなかったな」

「OKょ。じゃ続きを歌って」


すっかりラギィのペースだ。


「あぁ。水素カーに乗ってシートを前に動かし、エンジンをかけたのさ」

「待って。シートを前に動かしたの?」

「YES」


素直にうなずく"悪人の中の悪人"。


「マジ?」

「マジだょ。水素カーに乗った時、シートは1番後ろまで下がっていたからボタン押して、前に動かした」

「あのね。殺されたライアは小柄なの。シートをそんなに下げて乗るハズがナイ」


僕の鋭い指摘w


「君が運転スル前に、別の誰かが水素カーを運転してたんだ。そして、ソイツが犯人だ」

「つまり、犯人もシートの調節ボタンに触ってる。弁護士さん、鑑識はシートの調節ボタンに指紋がついてるかを調べた?」

「いや。鑑識はハンドルとダッシュボードから依頼人の指紋を検出して仕事を終えた。ソコから依頼人の指紋が出たので、彼等は幼稚な先入観から思考を停止し、後の捜査努力を怠っている」


ヲテスの顔が輝く。弁護士が身を乗り出す。


「ライアの車は、乙女ロードからフェリーして今、ウチの車庫にアル。万世橋(アキバP.D.)の鑑識に調べ直してもらうけど、何か御異論は?」


弁護士が"悪人の中の悪人"の肩を叩く。すると、"悪人中の悪人"は立ち上がり僕に握手を求める。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部のホワイトボード前。


「シートの調節ボタンか。ミステリー小説なら最高のディテールだな」

「指紋が出ればの話ょ」

「そりゃそうだ。え、何?」


ラギィが僕の後ろを指差す。振り向くと、ビジターパスを首から下げたスピア。山田省吾のTシャツ。


「スピア…」


とりあえず、ギャレーに連れて逝く。


「テリィたん。昨日は怒鳴ってゴメン」

「いや。謝るのは僕だ。元カノをスパイした事は、間違ってた。反省の証拠に例のアプリは完全に消去する…OK。コレで消えた。悪かった。許してくれ。

コレで仲直りかな?」

「未だ私が謝ってナイ。私こそ許して」


パーコレーターのコーヒーを紙コップに注ぎ、廊下のチェアに腰掛ける。


「ソレで百軒店では何をしてたんだ?」

「2日前、友達何人かとコス(プレのコスチューム)を買いに行ったの。その時、商品を盗もうって話になって」

「え。スピア!」


目の前を何人もの警官が行き交うw


「で、万引きをしたのか?」

「私だけ出来なくて、チキン呼ばわりされた」

「まさか、ソレで昨日こそと"リベンジ万引き"をしに行ったとか?」


悪夢だw


「ヤメて。悪いと思って、みんなが万引きした分のお金を払うために貯金をかき集めて、コスプレショップに戻った。メモとお金をカウンターに置いて、全力で走って逃げた」

「そりゃ…スゴい話だな。で、友達って誰?」

「関係ナイ。例え、テリィたんであろうと絶対に言わないわ。みんな"ヲタ友"だモノ」


うなずく僕。


「元カノを誇るべきか、恥じるべきか悩む。経済学徒として聞いて良いか?スピアは、万引きをしてないのに、どうしてお金を払うの?」

「だって"ヲタ友"だモノ。誰かが払わなきゃ。私は間違ってナイわ」

「いや、おかしいだろ。盗んだ奴が払うべきだ。何でそんな連中とつるむんだ?」


答えは最強だ。


「だって、秋葉原だから」

「まぁそうだな…OK。ゲームセットだ」

「あ、ラギィ。大丈夫だから来て。もう帰るから」


顔をのぞかせたラギィに微笑む。立ち上がる。


「テリィたん。2度としないわ。約束スル」


僕の胸に手を置いてから、歩き去る元カノ。


「テリィたん、平気?スピアは、テリィたんの心を一瞬でズタズタにする名人だから」

「うん…世の中、知らぬが仏の場合もアルな」

「そうよね。でも、タマには、知っておいた方が良いコトもアルわ」


戸口から顔だけのぞかせたラギィは、僕に封筒を振ってみせる。 


「鑑識の結果が出た?」

「YES。シート調節の前進ボタンには、ヲテスの指紋がベッタリついてた」

「じゃ逆の後進ボタンには?」


ラギィからの封筒の中の鑑識結果を見る。


「こりゃ…まさかの展開だな」


第4章 悪人の中の悪人は冤罪で無罪


取調室。吠えるラギィ。


「OK?コレがライア・デソンの車のシート調節ボタンに付着してた指紋。コチラは貴方の指紋。2つはピッタリ一致したわ」

「ソレは何かの間違いだ!」

「事件の夜、貴方はライアの車に乗っていた。いいえ、乗っていたドコロか運転していた」


口から泡を噴いて反論スルのは… 被害者ジョマ・キジクの弟、シュマ・キジクだ。


「待て。俺はライアなんて子は知らない」

「いいえ。とても良く知ってるハズょ。貴方のコト

を調べた。貴方はラウンジバーのバーテンダーとして、不法就労してるけど、その店はライアが経営してる。それでも、ライアを知らないと言うの?貴方はライアを殺し、トランクに入れたのね?」

「しかし、良心の呵責にさいなまれ、兄のジョマに話してしまった。ワルから誠実な兄貴に生まれ変わったジョマに」


僕とラギィで、弟のシュマをグイグイ追い込む。


「でも、誠実なジョマは、無実の男を有罪にスルのは忍びなかった。だから、担当になった最高検察庁の次長検事に何度も電話をしたけどラチが明かナイ。だから、裁判員を買って出た」

「ところが!そのコトで、貴方は自分の秘密がバレるカモしれないと不安に思った。そうょね?」

「根がワルの兄貴が秘密を漏らすカモしれない。そこで、ジョマのアパートに侵入して、処方薬のカプセルに青酸カリを入れた…」


目を見開きながらも、ココまで大人しく話を聞いていたシュマだが、思わズ口をついて出た言葉は…


「青酸カリだって?そんなんじゃナイ!」

「じゃ歌って頂戴」

「しまった。もうしゃべらないぞ!」


慌てて口をつぐむシュマ。あっさり切り上げて立ち上がる僕とラギィ。1種のヲフサイドトラップだw


「ま、待て!待ってくれ…車には乗っていたけど、俺はライラも兄貴も殺してない!だけど、俺が何を話したって、警察は先入観に凝り固まって信じないだろう?」

「歌っても歌わなくても、貴方の状況は同じよ。でも、状況を考えたら歌う方がまだマシだけど、どーする?」

「わ、わかった。座ってくれ…ライアを殺したのはステンだ。ライアの兄妹で、デソンファミリー御曹司のステン・デソン。奴は兄貴のジョマの病気のコトも知っているから、カプセルに青酸カリを入れたのもステンだろう」


堰を切ったように歌うシュマ。


「ステンとライアは、リッチでスキ放題の兄妹だった。あの晩も、大好きなドラッグを買いに行く途中で、俺に運転させてた。そして、ステンはワルぶって音波銃をイジり始めたンだ。めちゃくちゃに甘やかされて育ったくせに…すると、車が揺れてバーン!」

「暴発?暴発した弾が当たったの?」

「YES。即死だった。ステンは、目撃者の俺に、警察に通報したら、全部お前の過失にスルと言われた。びびっちまったさ、ハハハ。だって、奴にはファミリーお抱えの優秀な弁護士がついてルンだぜ。だから、ライアの遺体をトランクに入れたのさ」


取調室の様子を、マジックミラー越しに隣室から見ている人影。変身したスーパーヒロイン?


「車はどーしたの?」

「東秋葉原のスラムに置いておけば、良くあるカージャックだと思われるとステンが言ってた。だから、その通りにしたさ」

「で、その後は?」


歌い続けるシュマ。


「ステンは、ライアの血で染まった服をゴミ捨て場に捨てた。その後、俺はジョマがいるパーティに行って、全てを正直に話した。すると、ジョマは遺体を放置しておくワケにはいかないと言って、現場に行った。ところが、その時には既にヲテスが逮捕されてた。だから、ジョマは、ゴミ捨て場からステンが捨てたライアの血のついた服だけを回収して来たンだ」

「なるほど。ソレを最高検察庁に送ったんだな?」

「そうさ。だから、全部俺のせいナンだ。兄貴は、俺のせいで死んだんだ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部。ホワイトボードに、被害者の弟シュマ・キジクの画像を張り出す。


「でも、物証がナイわ。ジョマの弟シュマの証言だけでは弱い。どーしたら良いの?」

「テリィ様、ラギィ。お2人に出来るコトは、もうありません」

「ムーンライトセレナーダー?貴女が降臨ってコトは、今回も、もうクライマックスってコト?ってか、犯人は秋葉原の地下に潜ったママだけど」


僕の推しミユリさんが変身したムーンライトセレナーダーは、何も応えずスタスタと本部を出て逝く。


ミユリさんは、元祖 僕の元カノに会う気だ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


最高検察庁。ミクス次長検事のオフィス。既に秘書は帰った深夜。音もなくドアが開き人影が現れる。


「ムーンライトセレナーダー…いいえ、ミユリさん。どうやって入ったの?」

「このコスプレがマスターキー」

「1杯つきあって。ちょうど1875年物のセントミリアムに手をつけたトコロょ」


何処かウレしそうなミクス。


「ミクス。証拠品はどうしたの?ジョマが貴女に送ったでしょ?貴女の性格は、テリィ様から聞いて良く知ってるわ。まさか証拠を捨てたりはしないハズ」

「ミユリ。貴女にアドバイスをしておく。この件は見過ごして」

「デソン家の御曹司、ライアの兄のステンが犯人だと知っていたの?」


溜め息をつく最高検察庁ミクス次長検事。


「弁護士のルールを知ってる?答えを聞きたくない時は、質問をしない」

「でも、私はスーパーヒロイン。弁護士じゃないわ」

「貴女達スーパーヒロインは、何でも正義と悪に分けたがる。悪い癖ょ。でも、法廷では、実は全てがグレーなの。完全な正義も悪も存在しない」


全く意に介さないスーパーヒロイン。


「無実の男を有罪にするコトがグレーなの?」

「ねぇ貴女はヲテスなんかに同情してるの?あの人は、窃盗に暴行、殺人未遂。調べれば未だいくらでも出て来るわ」

「でも、ライアを殺してナイ」


ミクスは、ファイルをデスクにドンと置き、両手で顔を覆う。


「将来的に利益がアルの!」

「何の話?貴女の…アキバ特別区(D.A.)大統領選立候補の"ウワサ"のコトかしら?」

「私なら、秋葉原のために多くを成し遂げられる。でもね、選挙にはお金がかかるの。デソンファミリーの協力が、私の選挙にはどうしても必要不可欠なの。そーゆーモノなの。スーパーヒロインだって、わかるでしょ?」


ムーンライトセレナーダーは応えズ、セパレートタイプのメイド服のブラに隠したマイクを示す。


「何てコトを!ねぇ良く聞いて。私がD.A.の大統領になったら、ラッツを特別補佐官に任命スル。そうょ私が大統領に当選したら任命するコトを約束スル。ヲタクの力で秋葉原を、人類の未来を変えてみない?…だから、今回は見逃して。お願い」

「ジョマが貴女に送った証拠品を渡して。ソレからテリィ様を、もう"ラッツ"と呼ばないで」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


突然、解散が決まり後片付けが始まった捜査本部。


「確かにステンの服からライアの血が検出された。結局、シュマが話してたコトはリアルだった」

「ダメ推しでステンの部屋からは青酸カリも出た。多分ライアとジョマ2人の殺害で、デソンファミリーの御曹司は逮捕ね」

「シュマはどうなるの?」


気の弱そうな(実際弱いw)シュマ。気がかりだ。


「保護観察処分で済むみたい。理由は不明だけど、最高検察庁が躍起になってる」

「そっか。でも、コレでミクスのトコロはデソンファミリーとの関係は最悪になったね」

「巨悪を眠らせないためには、自分も眠らない…なんちゃって」


ラギィもタマには面白いコトを逝うw


「ラギィ。今夜もシン彼のジョシとデートか?」

「彼は"節操なき医師団"でアフリカょ。だから、今宵はシネコンに行くわ。"シン禁断の惑星"をやってる」

「"シン禁断の惑星"って確かロボットプロレスの映画だっけ?」


思い切りトボけたら、アッサリ引っかかるラギィw


「ウソ。もしかして、見たコトないの?」

「僕はどちらかと言うと"スター坊主"派さ」

「信じられない!"シン禁断の惑星"は"スター坊主"に大きな影響与えた作品ょ?決めた!今宵はシネコンを奢ってあげるわ!」


しめしめ。


「あ。今宵はちょっち用事があって…」

「却下。ホラ、行くわょ!」

「じゃポップコーンとキャンディも奢ってくれる?」


既にスタスタと歩き出してるラギィ。 


「もちろんょ。テリィたんは、絶対に気に入ると思うわ。若い頃のレスリ・ニルセが出てるのょ?」

「マジか?映画の後にハンバーガーも奢ってくれるのか?ケチャップとマスタード抜き、ピクルス増し増しだょ?」

「調子に乗るな」


ドヤドヤとエレベーターに乗り込む。僕のリクエストを聞き流し…実はズル賢そうに微笑んでるラギィw


おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"法廷もの"です。秋葉原セレブを代表スル令嬢、そのファミリー、その令嬢殺人事件の公判中に怪死した裁判員、その気弱な弟、ソレを見て秋葉原から脱出を試みる裁判員、その従兄弟、黒メイド、裁判所の秘書、書記官、裁判員殺しを追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズ、敏腕警部などが登場しました。


さらに、主人公の元祖・元カノの大統領などもサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、すっかり街にいるヲタクは日本人だけになった秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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