8.その後
「しょ、勝者…ウェスザン選手…」
司会者が言った。
「ハ、ハル…ナ…」
私は膝から崩れ落ちる。
ハルナが謎の門に吸い込まれ、ウェスザンス1人の姿しか見えない。
ハルナは死んだ…?
ハルナの死。脳に八年前の光景がフラッシュバックする。
「ぃ、い、嫌ぁ…。」
手の震えが、体の震えが止まらない。
また私は…大切な人を…。
考えただけで体が震えて、吐き気がこみ上げてくる。
頭痛も酷い。
呼吸も荒くなる。
十分に酸素を吸い込めない。
意識がどんどんと…遠のいて行く。
「ハルナ…」
薄れていく意識の中。
ハルナの名前をぽつりと呟き。
「女の子が倒れたぞ!」
「おい、誰かこの子を医務室に!」
私は完全に意識を手放した。
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俺を取り込み、門の扉が閉まった。
門を潜ると真っ暗な空間が続いていた。ひたすら真っ暗な空間が。
体に力が入らない。
空間の流れに流される。
俺は死んだのか?
俺は今どういう状況に置かれているんだ?
生きているのか、死んでいるのか。
自分でもさっぱり分からない。
今のこの状況に脳が追いつかない。
空間の流れに流されること1分。
真っ暗な空間に光が差し込む。
今度は何だ?
俺は光が差し込む方向を見る。
するとそこには、さっきと同じ門の扉があった。
扉は開き、俺は扉の方に流される。
何処かに連れていかれるのか?
もしかして地獄とか?
あーあ。最悪だ。
盗みとか色々したもんなぁー。
そんなことを考えていると、疲れていたのか意識が薄れていくのが分かった。
そして、再び門を潜る瞬間。
俺は意識を手放した。
第1章 終
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