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いつもアホだとおもうなよ

作者: 京本葉一

 なんか寒いとはおもっていた。今夜はあったかくして眠ろうと、毛布を引っぱり出してきて、完全冬仕様態勢でオフトンに包まれたにもかかわらず寒さに震えるにいたり、「これ悪寒やん。風邪ひいたときのやつやん」と気がついた。

 バカは風邪をひかない。

 アホは風邪をひいたことに気づかない。

 どうやら賢かった私は、翌日の夕刻、体温計なるものの存在を思い出して、これを使用、そこそこの発熱症状を確認した。「もう治っている気がする」という感覚は、あまり当てにならないと知った。


 ゴキュゴキュと水を飲みつつ、なにをするでもなくテレビ番組を視聴する。こういうとき、どこぞのサブスクな動画配信サービスと契約していたら、ずっとアニメでも見ていたのだろう。

 おもしろくはないニュースをみて、「公明○が動かないってことは、創価学○も似たようなことをやってるのだろうか」などと考える。


 カルト宗教のイメージといえば、


「このままでは大変なことになる。お前の先祖が原因だ。きちんと成仏させないかぎり不幸が終わることはない。お前がなにをやっても無駄である。だが問題ない。先生が成仏させてくださる。解決できるのは先生しかいない。それしかないのだから、これだけの御布施を用意しろ。なに? このままでは大変なことになるのがわからないのか。お前だけではない。お前のまわりも不幸になるのだ。お前の責任だ。お前が悪いのだ。この愚か者がー」


 と脅迫しつつ、あとは集団で、

「お前が悪い。お前はどうしようもない馬鹿だ」

 と圧力をかけつづける感じだろうか。


 現実を無視した無茶苦茶な理屈であってもよい。とにかく不安を煽る。脅迫する。思考を停止させる。何もできないと無力感を与える。ほかの情報を遠ざけて、解決策はひとつしかないと思いこませる。依存させる。悪いの自分であると罪悪感を植えつける。集団で囲い追いこむ。従わせることで共犯者にする。被害者は加害者となり、さらに被害は拡大する。


 悪質というか悪辣というのか、とにかく性質が悪い。なんでこんなしょーもない話を信じるのか、ちょっと落ち着いて考えましょうやと上から目線で賢さアピールをしたくもなるが、そうさせないように追いこんでいくのがマインドコントローラーというものなのだろう。

 人間は簡単に騙される。簡単に洗脳される。一度洗脳に成功してしまえば、わりとシャレになってない被害情報に触れることがあっても簡単にスル―してしまう。悪化の一途をたどっているのに妄信をつづける。むしろ勝手に弁護する。常識や良識も消え失せる。


「奈良公園にいる四足獣はね、ウマなんだよ。あそこで売っているのはね、ウマせんべいなんだよ。先生がおっしゃっているから間違いないよ」


 となってしまったら周りが説得を試みても逆効果にしかならない。

 議論は無駄である。

 言い負かしたところで意見は変わらない。


「そんなことより2022年の一番おもしろいアニメは『サマータイムレン○』で異論はないな?」


 と返すしかない。

 議論の余地などない。


 洗脳されてしまったら、本人に自覚が芽生えないかぎり救いようがない。妄信に疑念を抱かせる手段、気づかせる手段があるのかはわからないが、気づいたときに救われるための、邪魔されないだけの状況を整えてもらいたいとは思う。


「このままでは大変なことになります。とても危険なウィルスなのです。生活習慣の改善で解決はいたしません。ワクチンです。ワクチンだけが唯一の解決策です。二回打てば全部解決します。これしかありません。政府が割増料金で仕入れましたので、どんどん打ってください。えっ、安全ですけど? このままでは大変なことになるんです。あなたが打たないと周りのみんなに迷惑がかかるんですよ。慎重意見なんて不要です。ああいうのはぜんぶ反ワクの嘘ばっかりです。あいつらはただの馬鹿です。このワクチンを打たない人はみんな馬鹿です」


 みたいなこと言っていた元ワクチン担当大臣が被害者救済の舵取り役だそうだが、期待してもよいのだろうか。あの無責任な暴走力で団体を潰しにかかるのなら、評価が改まること「のど飴」のごとしである。

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