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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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神殿のお仕事依頼なのじゃ

こんにちは。

今日も一話更新です。よろしくお願いします。


「そう言えば私に用とはなんです? パードと連絡を取りたいというのも同じ用件のようですが」

 温野菜のサラダと魚介のスープと共にお酒が葡萄酒に切り替わって双子等から解放されたガントがそう尋ねてきたのじゃ。

 もう冬ゆえ温野菜なのじゃろう。塩茹でしたブロッコリーを中心に盛りつけてあってパプリカが色味を華やかにしておるのじゃ。見事と褒めるほどではないのじゃが、今生で見映えまで気を配った料理を見たのは初めてなのじゃ。

 お味も悪くはないのじゃが、やはりドレッシングなぞにもう少し工夫があった方がよいのじゃ。

 温野菜のサラダに心の中でそう評を下しつつガントに答えたのじゃ。

「うむ、それなのじゃが、神殿が人手不足での。……」


「生活魔法を教える役やちょっとした事務仕事ですか。やることに異存はないですが一応師匠に話を通してからですね」

 説明したところ前向きな返答が返ってきたのじゃ。ありがたいのじゃ。

「其方等にも他の仕事があろうし、そう言う事務方の仕事も出来るものを何名か押さえておきたいのじゃ。パードはその候補じゃの」

「ああ、パードはそう言うのに向いてそうだな。だがどこで知り合ったんだ?」

 オルンはこの後買い物だよ、とモリエからお酒を止められたのじゃが本人も少し安心した風なのじゃ。ゆえにレモンの風味がついた水を飲みながらそう言っておるのじゃ。

「丁度わらわが神殿におるときに生活魔法を習いに来ての、わらわが伝授したのじゃ。ゆえに説明がしやすいのじゃ。っと、ベルゾよ。こっちを見ても其方等のような高位の冒険者に出す依頼ではないのじゃ」


 ベルゾは悲しげに嘆くのじゃが、マインキョルトのトップランカーの一員なのじゃ。ちょっと下っ端としては使えぬのじゃ。

「諦めるが良いのじゃ。興味があるなら仕事ではなく神殿に話を聞きに来ればよいのじゃ」

 他に用事がなければわらわが海の日と剣の日には神殿におることを教えたのじゃが、わらわがおらずともリーディンもなかなか興味深い話をしおる、ということも伝えておくのじゃ。

「ガントよ、もし師匠の許可が出たならばわらわがおる日の午前に神殿に来てくれんかの」

「師匠の所には明日顔を出すので明後日の海の日に行きますよ」

 わらわは明日はモリエとセイジェさんと一緒に街着を誂えに行くのじゃったな。オルン等のパーティもそれぞれに行動しておる日なのじゃろう。


「よければパードもつれて来てもらえると伝言する手間が省けて助かるのじゃ。其方が適しておると思うものであれば其方の判断で他に二、三人連れてきてくれてもよいのじゃ」

 ガントの了承とベルゾの見学に行こうかな、などと言う戯言が返ってくるのとだいたい同時に大皿の料理が運ばれて来だしたのじゃ。

 厨房の方から熊さんの声が聞こえるのじゃ。

「普段はそう言う料理の出し方はしてねえんだが、大食らいのジーダルがいるから仕方ねえんだ。勘弁してくれ!」

 大皿にはスライスしたタマネギの上にローストビーフのような肉の薄切り、と言うにはかなり分厚い切り身が円周に並び、ソースがくるっと回しかかっておるのじゃ。ハーブも散らしてあり大皿なりに見映えにも気を使っておることがわかるのじゃ。


「これはジーダルの好物でね、ベアは冒険に出るときもよくこれを仕込んで持ってきてたわ」

「で、この店を始めたときメニューに入っているのに喜んだジーダルが注文したのですが、皿に野菜と共に載せられていたのを物足りないと言って五回もお代わりをしてベアルをキレさせたんです」

「それ以来大皿というわけなのじゃな」

 確かに皿に野菜と彩りよく盛りつけてソースを綺麗にかければ上品さと肉のワイルドさの両方が表現されたメインの一皿になりそうなのじゃ。


 その後も大食い相手と考えておるのじゃろう、港町らしくアクアパッツァのような魚料理や肉と貝の炒め物、もう一度ローストビーフなのじゃがソースが変えてある、などと皿がどんどん運ばれてきたのじゃ。ローストビーフが二度出てきたのはジーダルの好物ゆえであろうの。

 パンも籠に盛られておるし、葡萄酒も追加で出てきておるのじゃ。昼と言う考えはなさそうなのじゃ。

 大皿で来るものゆえ緊張気味だったオルン等もすっかり元気なのじゃ。


「そう言えばなのじゃが、サーデとマーセが<早足>を使っておったしオルン等は生活魔法を修得しておるのじゃな」

「うん、みんなで習いに行ったよ。兄さんにも<洗浄>と<光明>は修得してもらったよ」

「私たちも私とベルゾは一通り、ジーダルには<光明>を覚えてもらったわ」

「普段使わなくてもダンジョンで全員<光明>を使えるってだけで安心感がありますからね」

 ほう、この蛤の炒め煮は美味しいのじゃ。飲食しつつ話を聞くとかなり生活魔法の話は冒険者に広まっておるようなのじゃ。


「冒険者の視点で優先度の高い生活魔法や使い道を書き出して資料室に置いてもらえるようにするかの」

「ああ、それはいいと思いますよ。注意事項なんかもですね」

 ガントが他人事のように言っておるが、わらわには冒険者視点が足りぬゆえ其方に割り振る仕事なのじゃ。いやベテラン視点を含めるとベルゾに働いてもらうべきなのじゃがベテランに対する待遇がのう。

 いっそ修道会運営にがっつり参加してもらうという方向ならばどうじゃろうの。

 ふむ、このパンは厨房で焼いておる焼きたてなのじゃな。パン種の入手についても後回しになっておるのじゃ。仕事が多すぎる気がするのじゃ、今度脳内タスクリストを組み立ててみるべきかも知れぬのじゃ。


「注意事項と言えばじゃな、<早足>を戦闘に使う気なのじゃったらしっかり練習して能力を完全に把握するのじゃぞ」

「ほえっ。そうなの?」

 パンを割りながらそう言うわらわにサーデが間の抜けた声を上げたのじゃ。

「持続時間を体に叩き込んでおかないと戦闘中に効果が切れて対応出来ないと言う事態が起こりますね。間合いが<早足>の速度で広がりますから間合いを把握するという基本の部分でも重要です」

 ベルゾはきちんと研鑽を積んでおるようなのじゃ。流石よの。


「二人で走り回るのじゃろうから己の間合いだけで足りぬのじゃ。相方の速度と間合いが分かっておらぬとぶつかることになるのじゃ」

「うん、わかったー」

「練習するよー」

「まあ今度練習の成果を見せてもらうとするのじゃ」

「かつもくして待てー」

 言われたとおり刮目して待つことにするのじゃ。うむ、焼きたてのパンはやはり美味なのじゃ。



お読みいただきありがとうございました。

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