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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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便利な女なのじゃ

こんにちは。

今日も一話更新です。

少しでも楽しんで読んで頂けるなら、幸いです。


 他にも話しておくことはあったかのう。ああ、そうなのじゃ。

「神殿の聖務がの、生活魔法を学びたいものが増えたおかげで滞っておるのじゃ。臨時雇いのリーダを雇えばどうかと言っておるのじゃが、それで既に生活魔法を学んだ魔術師なぞに依頼を出したいのじゃ」

 増えたのはわらわのおかげなのじゃ。増えるのはよいことゆえ自慢するのじゃ。仕事が回らぬことに関しても面倒を見ねばならぬのが問題なのじゃが。

「依頼を請けるより早く依頼を出すのですね。見習いや駆け出しの冒険者に依頼の出し方を説明していないのは事務方の手落ちではありませんが、窓口の方が僕よりわかりやすく説明してくれるでしょう」


 ギルマスは半笑いなのじゃ。地味にムカつくのじゃ。

「ただ、頼むあてがあるならその人を確保した上で指名依頼にするのが確実ですね」

「ふむ、ガントと興味がありそうだったゆえパードか、そのあたりに頼んでみようと思っておるのじゃ。話を通した上でさらに必要そうならまた考えるのじゃ」

「それがいいでしょう。さっきの祈祷師不足の話ですが、そう言ったお手伝いが本物のリーダとか祈祷師になったりはできないものでしょうか?」

「半聖半俗とは言うても一応は聖使なのじゃ。魔法として祈祷を使いたいだけではならぬ、心のありようの問題なのじゃ」

 わらわはいつの間にかならされておったのじゃがの!


「しかし、働いておってそう言う気持ちになれば道は開かれるであろうの。大道無門とも申すのじゃ」

 口に出してから気づいたのじゃが、前世で言うところの禅語なのじゃ。まあ意味は分かるじゃろう。

「聞いたことのない言葉ですが意味は何となく分かりますね。まあもし本当に祈祷師になってくれたりしたら先ほど言ってました優遇措置などは受けれるようにしますのでよろしくお願いしますね」

 その優遇策は財務的に大丈夫なのかなぞと訊いてみたのじゃが、他国の支部と比較した場合にポーションの負担が大きいことが統計データに現れておるそうなのじゃ。ポーションの供給や原料となる魔漿石の値動きにも問題が出ておるのじゃが、祈祷師が来ることはそれらの解決に繋がるゆえその為の支出問題にならぬそうなのじゃ。


「むしろ、単純に育成できるなら助成金を出してもいい話ですね。お金を出しておけば年限を決めて国外に出ることを禁止したりも出来ますし」

 まあそれは難しいと思うのじゃ。ただ、神さまの話なぞに興味を持ってもらえるよう子ども等の読み書き教室に神話ものがたりの教材を入れたりは出来るのじゃ。気の長い話になるがの。

「今までは僕たちが不足や問題を認識していてもどうしようもなかったのですよ。祈祷を見たことある人すら少なく、修道会すらもなかったわけですしね」

 ちょっと熱のこもった目でわらわを見ておるのじゃ。


「そこにですね、実際に祈祷を使いこなし、神殿と冒険者協会の両方に属し、しかも修道会を立ち上げて仲立ちをしてくれると言う至極便利な、失礼、とてもありがたいミチカさんと言う人物が現れてくれたのですよ。おかげで状況の改善へ向けた道筋程度は見えるようになりました」

「その道が冒険者と協会と、そして神殿にとってよい道であるよう祈っておるのじゃ。あとわらわ自身もちょっとわらわは便利なことじゃな、と自覚しておるのじゃ」

 軽く肩をすくめた後、ギルマスと二人でくすくすと笑いあったのじゃ。


「ああ、そう言えば修道会の総長印の印章を作らないといけないと言う話をしていましたが就任祝いにお贈りしますよ。協会の工作室に魔法具の工具がありますので直ぐに出来ます」

 そろそろ引き上げ時かと思ったのじゃがギルマスにそう呼び止められて印影の図案を求められたのじゃ。


 楯や幡であればなにやら聖句なぞも必要なのじゃが印章は図案のみでいいのじゃ。どうするかのう。前世の家紋は丸の内花杏葉(はなぎょうよう)であったのじゃが考えるのも面倒ゆえそれを流用することとするのじゃ。

 神殿の形式として丸ではなく卵形の枠を描き、卵の中に花杏葉を書き込むのじゃ。手書きは多少めんどくさいのう。

 卵の上部に生まれる空白には長さを変えた三本の横線、そう漢字の三を書き込むのじゃ。


「では卵の周りに修道会の名前や神殿とマインキョルトの文字を入れて、下にお名前を入れますね」

 ちょっと前世偏重になったかと思っておったのじゃが飾り文字でアーネヴァルト修道会と入ればちゃんとアーネ成分で相殺できておるのじゃ。己でもいまいち意味が分からぬことを思ったのじゃ。

「しかしこれは何の意匠ですか? 見たことがありませんね」

「馬具や馬車の飾りの一種なのじゃ。わらわの出自は旅の空の交易商で、旅は修行や人生の比喩でもあるゆえわらわの修道会に相応しい意匠なのじゃ」

 うむ、己ながらその場しのぎでよくそんな適当な説明を垂れ流すものなのじゃ。ギルマスはほうほうと感心しておるゆえまあよいのじゃが。


 ギルマスが秘書に合図をすると直ぐに描いた図案を預かり控えの間の方へ持って行ったのじゃ。おそらく所内便で工作室に送られるのじゃろう。

「鐘一つもかからないうちに下の窓口で受け取れます。担当はメーレでしたね。彼女にこの木札を渡してください」

「うむ、長々と邪魔をしたのじゃ。これで失礼するのじゃ」

 木札を受け取り席を立ったのじゃ。

「邪魔なんてとんでもない。有意義な会談でした。優先的にお通しするよう通達しておきますのでまた会いに来てください」

「秘書さん等に怒られぬ程度にの。ではまたなのじゃ」


 チュロスの礼を言う秘書に控えの間にエスコートされ、控えの間ではまたうさ耳を鑑賞しつつ挨拶をして、うーむ、一階ロビーの方へ行く見習いさんにまた案内してもらうのじゃ。

 都合のいい見習いさんが捕まるまで雑談をしつつうさ耳鑑賞が出来るゆえ完璧な選択なのじゃ。自力では絶対に迷うしの。

お読みいただきありがとうございました。

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