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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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冒険者協会の子ども等との遭遇なのじゃ

こんにちは。

寒いですね。インフルや風邪に気をつけてお過ごしください。


 メイドに任せるときは言っておかねば緑茶に砂糖を入れられるのじゃ。これは宿に滞在しておる間決して忘れてはならぬことなのじゃ。

 中央風の、本当は南方茶らしいのじゃが、渋い茶はジャムを入れて、西方茶は時には蜂蜜を入れるがそのまま喫すこともあり、緑茶と豆茶は甘みを加えずに、とわらわの好みを念押しすることになったのじゃ。

 持ち込みの茶がそんなに何種類もあることに呆れておったようなのじゃが、それはそう言うものとして納得して貰うしかないのじゃ。試供品の味見もまだしておらぬしの。


 まあそんなわけで朝餉のあと優雅に茶を楽しんで、朝のうちから冒険者協会へ向かったのじゃ。

 オルン等との約束は昼前なのじゃが、それまでに窓口嬢のメーレさんと話をしたりギルマスへの面会依頼を出しておいたりとすることが幾つかあるからの。その他にも余裕があれば前回見ておき忘れておった資料室なぞも確認せねばならぬのじゃ。

 予定を練りながら協会に入るとロビーにはなにやら子どもが沢山おって騒がしいのじゃ。


 見習いらしい子ども等が十人ほどの集団の他、わらわと変わらぬぐらいからの見習い未満の小さい子ども等が十数人はおるのじゃ。子ども等はなにやら書き物用の木板を持っておる男性職員の話を聞いておるところのようなのじゃ。騒がしいというのはまあ半分は聞いておるよりしゃべっておるからなのじゃが。

 男性職員は入ってきたわらわを見て声を掛けかけたのじゃが、わらわがフードを払ったのを見て出掛かっておった声を飲み込んだのじゃ。

 おそらく職員は子ども等の仲間と思って声を掛けようとしたのじゃが寸前で違うと気づいたのじゃな。金髪が目立ちすぎるのと寒いのとがあって外ではフードをかぶっておったのじゃがその所為なのじゃ。


 しかし、その職員は飲み込んだのと違う言葉を出してきたのじゃ。

「えーっと、お嬢さんがバッジたちをノしたミチカさんかな? あ、俺は職員のムンドだ」

「うむ、わらわがミチカなのじゃ。が」

 なに用かのう、と言う疑問をぶつける前に子どもを三人ぐらい前に押し出してきたのじゃ。十歳程度の痩せた子ども等なのじゃ。

「ほら、礼を言っとけ」

「あ、ありがとう」

 同音異囗に礼を言うのじゃが言われる理由が分からず困惑するのじゃ。


「こいつらはバッジどもに身柄を押さえられてたんだ。あいつ等はもう悪いことに手は出さねえとか言っていろんなところに謝りまくってるらしいがどこまで本当だか」

 なるほどのう。多分、と言うか恐らくなのじゃがバッジがあの前面禿なのじゃ。まあ心を入れ替えるなぞ簡単に出来ることにはあらざるのじゃが実際はどうであろうかの。

「でもまあ、おかげでこいつ等は他の見習いの見習いたちと一緒に仕事に行けるわけだ。俺からも感謝しておく」

「ふむ、そのようなことまで考えておったわけではないのじゃが、どういたしましてなのじゃ。今日はどのような仕事に行くのじゃ?」


 金髪に興味を持ってわらわに近づこうとする子どもの襟首を捕まえたりしつつ職員は質問に答えてくれたのじゃ。

「冬の間に軍船や公用船を順繰りで陸揚げして、船底の牡蠣やフジツボを取る掃除をしたり塗料の塗り直しをしたりするんだ。その作業だな。子どもの出来る危なくない作業の報酬は安いんだが昼の賄いも出るし、仕事は冬中あるしで悪くない。相手が総督府だから報酬が出ずに取りっぱぐれるって心配もないからな」

「ほう、それは悪くないのう。其方等怪我をせぬよう気を付けてしっかり働いてくるのじゃぞ」

 子ども等にそう声をかけると元気な返事が返ってくるのじゃ。

「はーい、行ってきまーす」


「おい、走るな。まとまって行くんだって! あ、どうも時間をとって。失礼します」

 男性職員は子ども等を追いかけながら振り返ってわらわに挨拶をするとそのまま駆け去ったのじゃ。ほとんど先生か何かじゃの。見習い併せて二十名以上の子どもを引率するなぞご苦労様なのじゃ。

 子ども等の元気なさまにわらわもちょっと楽しい気分なのじゃ。ふふん、と気分良く窓口に向かうとやり取りを見ておったらしいメーレさんがにこやかに迎えてくれたのじゃ。


「いらっしゃいませ、ミチカちゃん。今日はどういったご用件かしら」

「うむ。ごきげんようなのじゃ、メーレさん。用件は修道会の上納や納税の設定やらのお願いじゃな。あと悪いのじゃがギルマスに面会依頼を出しておいて欲しいのじゃ」

 事務仕事の依頼で言葉を飾る意味はないゆえ単刀直入でイチコロなのじゃ。いや単刀直入は刀で刺し殺すと言う意味ではないのじゃ。

「えっ?」

 目を見開いておるのじゃ。まあ聞いたことのない仕事であろうから仕方ないのじゃ。


「これまでのジープラント王国内では申請のあらざる業務であったのじゃろうが、余所の国の冒険者協会では普通に行っておる仕事なのじゃ。ゆえに、手続きの書式自体はこの支部にもおそらくあるはずなのじゃ」

 わらわ一人の修道会でも昨日から存在しておるゆえ修道会があらざるのは過去形なのじゃ。

「な、なるほどです。ちょっと調べる時間をもらっても大丈夫かしら」

「無論、と言うより手間を掛けさせておるのはこちらの方なのじゃ。相済まぬことなのじゃ」

 わらわがおらぬならば不必要な業務な気もするのじゃが、苦情は神殿リーディン宛で頼むのじゃ。


「ギルマスへの面会依頼は先に所内便で出しておくわね。冒険者協会の北方諸国群総会へ向かうための準備をしているからいつ捕まえられるかはわからないけど」

 そう言うとメーレさんはデスクの島の間を行き来しておるメッセンジャーボーイのような職員見習いになにやら書いた木札を言付けたのじゃ。

 そして年嵩の事務職員なぞに話を聞きに行ったのじゃがそう待たされる前に戻ってきたのじゃ。

 その事務職員さんもなにやら書類棚をごそごそし始めておるのじゃが。


「主任が他の協会支部で見たことがあるって。確認作業をしただけで受付を実際したわけじゃないそうだけど。それで資料室で書類の書式探しをしなきゃなの。王国との収税に関する取り決めなんかは主任に探してもらってるけど」

 メーレさんは戻ってくるや席にも座らずにメモを見ながらそう言っておるのじゃ。あそこで探しておるのが税金関係の書類なのじゃな。商業組合でもお金の出入りがあるようなら一仕事してもらわねばのう。

「それで私は資料室に行ってくるのでもうしばらく待ってもらってよいかしら」

 座らぬのはすぐ行くからであったのじゃ。せわしないのう。わらわの頼んだ仕事なのじゃが。


「前回時間がのうて資料室に行けておらぬのじゃ。一緒について行ってもよいかの」

「あら、いいわよ。案内ですわね」

 うむ、メーレさんが捜し物をしておる間の暇つぶしも出来るのじゃ。

 カウンターを回って出てきたメーレさんに手を繋がれたのじゃ。いやそんなに小さい子ではないのじゃが、まあふりほどく理由もないゆえおててをつないでらんらんらんなのじゃ。

 手を繋いで階段を上り、二階の今度は食堂とは別の方へ向かうと資料室なのじゃ。やはりこの建物は広いのう。

お読みいただきありがとうございました。

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