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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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祈祷で治療なのじゃ

こんにちは。

本日も一話更新です。

少しでも楽しんで読んで頂けるなら幸いに存じますですよー。


 そして向かった礼拝室なのじゃが、山ほどの怪我人が呻き声を上げている、なぞと言うことはなく隊長らしき男と副官らしい男の体格のいい二人連れがリーダと話をしておるだけだったのじゃ。

 絵面的には体育会系のごつい男二人に凄まれている気の弱そうな文系学生と言ったところなのじゃ。しかし、その二人だけということは治療を受ける連中はまずは外で待機なのじゃろう。


「あー、おいでになられました。今回治癒の祈祷を執り行って下さるマーティエですー」

 いい歳をした男が語尾を伸ばしてしゃべるべきではないのじゃ。このリーダの問題点はそこなのじゃ。うむ、何となく感じておった問題点が明らかになって満足なのじゃ。

「なんだ小娘じゃねーか」

 副官の漏らしたつぶやきは静かな礼拝所におそらく本人が思っておったより大きく響いたのじゃ。自分のつぶやきにしまった、という顔をしておる、愚かなのじゃ。

 こっちもうちのリーダに負けず劣らずダメな副官なのじゃ。


「修行中の身の上じゃが、聖務として承った以上万事怠りなく執り行うのじゃ。諸神の祝福を求めるものをこれへ」

 わらわが涼しい顔をしてそう述べると、隊長らしき方が副官を軽くはたいてわらわに挨拶してきたのじゃ。

「うちの莫迦がすまん。城市警邏隊の北面第三隊のゲノールだ。今日はよろしく頼む」

「うむ、任せるのじゃ。そしてもし仕事が出来ておらぬならその時には文句を付けるがよいのじゃ」

「ああ、それが道理だな」

 そう応えながらゲノールは副官のわき腹を肘で突くのじゃ。しかし副官は少しふてくされたような顔をして立っておるだけなのじゃ、やはりダメな奴はダメなのじゃの。


 ちなみにゲノールは筋肉質のむさ苦しいおっさんなのじゃ。副官はゲノールよりは細くてすっきりしておるのじゃがそれでも充分むさ苦しいのじゃ。

 警邏隊の隊員は皆むさ苦しい筋肉なのじゃろうか。今からの祈祷治療を始める前からげんなりなのじゃ。


「しかし、警邏隊が来ると聞いたゆえとんでもない大仕事かと思っておったのじゃが其方の隊だけなのじゃな」

「先代の隊長が神殿の世話になったことがあるらしくてよ、それ以来俺たちの隊は世話になってる。ポーションの値段を考えたら大分安く治療してもらってんで神殿には深く感謝してるぜ」

 無礼を働く意図はなかったと伝えたいのか感謝を強調しておるのじゃ。


 そうこうしておる内に治療を受ける警邏隊の隊員たちが通されて来たのじゃ。わらわが可愛らしい美少女であることでざわめきが起きておるのじゃが、うむ、正直に言うと副官と一緒で幼いことに対する不安や不審のざわめきなのじゃが、まあどうでもいいのじゃ。

 ちゃんと治療してやればそれが仕事をこなすと同時に問題ないことの証明にもなるのじゃ。

 

 治療を受ける側のクズ魔漿石は自前のもので行うのじゃな。持っておらぬものに関してはリーダが帳面を付けておるのかえ。納得なのじゃ。

 まずは両脇から他の隊員に支えられておるようなそこそこ重い怪我のものからなのじゃ。足を折っておるようなのじゃ。

 短縮発動でもよいのじゃが、有り難みを感じてもらえるようちゃんと祭文を祈祷するのじゃ。そして治癒の権杖の効果はなかなかの優れものなのじゃ。確かにちゃんとした焦点具が欲しくなるのじゃ。


「す、すげえ! 借金してでも上級ポーションを買わなきゃなんねえかと覚悟してた怪我が治ったぜ。ありがとよ、お嬢ちゃん!」

「お嬢ちゃんではなく此処では祝祷師なのじゃ。マーティエと呼ぶがよいのじゃ。そして神殿の聖務として執り行っておるゆえ感謝はわらわにではなく諸神に捧げるのが相応しい行いなのじゃ」

 思ってもおらぬことを言われたのかきょとんとしておるのじゃ。仕方ないゆえわらわは肩をすくめてリーダに声を掛けたのじゃ。

「リーダよ、一番簡単な祈りの詞と祈り方を教えてやるとよいのじゃ。わらわから治療を受ける、祈る、その後帰るのだか待機しておくのだかは知らぬのじゃがそんな流れで回すのじゃ」


「わ、わかりましたー」

「お、おう。祈ればいいんだな」

 おっかなびっくり警邏隊員も祈っておるのじゃ。うむ、これはきっと小さくない一歩なのじゃ。

 わらわは神殿の組織、と言うものには懐疑の目を持って見ておるのじゃが神殿の孤児院でマード等に育てられた身としてこの国の神殿の状況の改善したい気持ちがあるのじゃ。無論出来る範囲で、であって無理をする気はないのじゃが。

 さあ、それも踏まえてさくさく治療していくのじゃ。


 わらわはサービス精神旺盛に余剰な魔力をきらきらとしたエフェクトとしてこぼしつつ<軽癒>化(デチューン)した<治癒>をかけ続けたのじゃ。過不足なくぴったりした魔力消費が本来の上手なのじゃが無駄があってもこの方が有り難みがあるであろうと言う思いつきなのじゃ。

 しかし、余剰な魔力の粒が発動時すっと消えるゆえ被術者の魔力消費が少し抑えられておるかも知れぬのじゃ。


「わっ、人が沢山いる」

「神殿って結構混んでるもんなんだな」

 所詮怪我人の多くはちょっとした打撲や切り傷ゆえさくさくと魔法治療を回しておるとなにやらそんな声が聞こえて来たのじゃ。

 礼拝所の入り口から中を覗いておるのは、おそらくその格好からして冒険者なのじゃ。

お読みいただきありがとうございました。

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