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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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商業組合の鑑札も貰ったのじゃ

こんにちは。

今日も一話更新です。

どうぞよろしくお願いします。


「ではよろしくお願いするのじゃ、ミルケさん」

「こちらこそお願いいたします、ミチカさま。そして私にさんは不要です」

 組合長に代わって席に着いたミルケさんとまずは敬称について話し合いなのじゃ。

「それこそわらわのような子どもにさまは不要なのじゃ」

「いえ、組合の大事なお客さまですから」

 という譲り合いの果てなんとか互いにさん付けで妥協点が見いだせたのじゃ。


 ちなみに冒険者協会のように全員が全員と言うほどではあらぬのじゃが、やはり窓口には美人が多かったのじゃ。セクハラめいた世界なのじゃ。

 しかし、前世の世の中もセクハラとかパワハラが問題になるようになったのはそう昔のことではあらぬと聞いた記憶もあるのじゃ。わらわにとっては生まれたときからの常識なのじゃがの。

 それは兎も角ミルケさんはクリーム色に近い茶色の髪をやはりアップにまとめておる。切れ長の目にまつげが長い色っぽい美人さんなのじゃ。


 そのミルケさんが手際よく手続きを進めながら説明してくれるのじゃ。

 身分証としての鑑札は冒険者協会のものがあるゆえ商業組合のものは不要、というか商業組合では十二歳以下には振り出せぬのじゃ。身分証として以外の権利や資格は許認可を付与した鑑札で代用できるゆえその鑑札を出してくれるとのことなのじゃ。

 普段は露天の鑑札くらいしか出さぬゆえ滅多にせぬ手続きだと説明されたのじゃ。冒険商人みたいなものは余りおらぬのかの。


 説明で少し予想外であったのは商取引に関する認可も受けておるゆえ、組合にお金を預けることが出来ると言うことなのじゃ。利子は付かぬがの。

 国内限定らしいのじゃが、その口座を使った取引と手形を使った信用取引も出来るそうなのじゃ。まあまだ信用はないのじゃが。それを除いてもわらわに使う機会はないのではないかの。

 両替商が別にあることは知っておるのじゃが、原始的な銀行の業務や融資、決済代行などは商業組合が行っておるのじゃな。


 手続きにかかる手数料や組合費を先ほどの毛皮の代金から引いてもらいその残りと冒険者協会で毛皮を売った代金、旅の途中で調理をした報酬をついでに預かって貰うのじゃ。

 わらわは収納空間に入れるゆえ問題ないのじゃが、もし鞄に入れておれば相当邪魔になる量になっておるのじゃ。説明が必要になる可能性を考えると預けておきたいところなのじゃ。


 ちなみに銅貨は銀貨に両替して預けることになるのじゃが両替手数料はきっちり両替商匠合の規定額通りに取られるのじゃ。当然じゃな、取られなければ誰も両替商の世話にならぬのじゃ。というか窓口での両替してくれるのも実際にはお得意さま相手限定サービスで普通は両替商で両替して持って来なければならぬそうなのじゃ。

 サービスに感謝なのじゃ。


 そうこうしておるうちに鑑札が出来てきたのじゃ。冒険者の木札に金属片を打った鑑札と違い綺麗な銅板なのじゃ。いや、これは鑑札の格が無駄に高いのやも知れぬの。

「正直、こんなたくさんの認可が下りている鑑札なんて初めて見ました」

 ミルケさんが苦笑混じりに渡してくれた銅製の鑑札を矯めつ眇めつするのじゃ。

 商業組合の紋章とマインキョルトの紋章の下にわらわの名前が刻まれており、商取引に於ける全般の認可と通常商品、香辛料、香料、薬種、染料の各種卸売りへの参入権、船荷と輸入商品に携わる権利、魔道具に関する開発と販売の資格と許認可の押印と刻印が盛り沢山に並んでおる。最後の方はエインさんの要請に依るものじゃな。

 そして裏書きに組合長のサインがエッチング細工かなにかで入っておるのじゃ。

 その他、意味が読めぬ文字列や数字も刻印されておるがこれは偽造防止の符丁であろうかの。


 ふむふむとわらわが一頻り見終わるとミルケさんが鑑札に関する最後の注意をしてくれたのじゃ。

「この鑑札が預け金の出入に必要となりますので気をつけてください。符丁も刻まれておりますし、盗んだり偽造したりして他人が持ってやって来ましても自由には出来ませんが鑑札を新しくするのに相当な時間とお金がかかりますので」

「うむ、大事にするのじゃ」

 冒険者鑑札と同じ革紐に通して首から下げるのじゃ。

「そして申し訳ありませんがご希望の物件についてはまだまとめ終わってございません。後日また出向いて貰ってもよろしいでしょうか」

 あの後ずっとわらわとしゃべっておるのにまとまって出てきたらその方が怖いのじゃ。

「無論構わぬのじゃ。急いでおるわけではないゆえの」


「ありがとうございます。そしてお宿ですが、交易商などが使う治安のいい地区の宿への紹介状を準備いたしました。紹介状は年齢的なものを宿の方に納得して貰うためですが、そう言った面だけでなく何か不愉快な対応をされた場合はすぐに戻ってきてくださいね」

「おお、細やかなところまで気を使ってもらって感謝するのじゃ。ミルケさん」

 ミルケさんがにこやかに笑いわらわと握手を交わすのじゃ。

「なんでもすぐに相談をお受けいたしますので商業組合にいらしてくださいね、ミチカさん。私が担当になりますのでよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくなのじゃ、ミルケさん」


 商業組合でするべきことをなにかひとつふたつ忘れておる気がするのじゃが、思い出せぬものはどうでもいいのじゃ。思い出したときに対応したり後悔したりすればよいだけのことなのじゃ。

 少し時間は早いのじゃが宿に行ってみるとするのじゃ。 

お読みいただきありがとうございました。

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