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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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冒険者の鑑札についてなぞの話を聞くのじゃ

こんにちは。

こちら本日二話目、但し先に登場人物紹介が入ってるので更新的には三話目?です。


一話目の前書きにも書きましたが明日からは一話更新体制に移行する予定です。

二話更新は書くことに追われすぎて余裕があまりないのですよね。

先の展開を考えたり、あるいは別の話を並行して書き始めるなりを考えようと思っております。

どうぞ、よろしくお願いいたします。


それでは少しでも楽しんで読んで頂けたら幸いです。


「バッジさん、ミチカさんはまだ登録前ですので冒険者同士という言い訳は通りません! 協会として警告しますよ」

 メーレさんが強い口調で犬耳たちに通告するのじゃ。

「はん、だが今から登録すんだろ」

「見習いになったら見習いらしく躾てやろうか」

 ま、言われたら引き下がるような奴がわざわざ協会のロビーで絡んだりはしないのじゃ。すごすごと引き下がるときにはやはり尻尾を丸めるのかのう、なぞと犬耳の尻尾には少し興味を引かれるがとりあえず無視でいいのじゃ。


「ふんふんふん。あ、わらわは一応魔法が使えるのじゃ」

 書類を埋めながらメーレさんと話をするのじゃ。背後からは犬耳どもの視線を感じるが、本当に暇なのじゃな。

 メーレさんは最初わらわが書類に記入しておる間に上司の裁可を貰いにいくようなことを言っておったのじゃが、この状態でわらわだけをおいていくことが出来ぬと考えたのか書類を運んでおる見習い事務員のような子どもになにやら言付けてわらわの記入する内容を確認しておるのじゃ。


「ははっ、お遊戯の他に噂の生活魔法が使えるとかか」

「ぎゃはは」

 騒がしいのう。無視しておるのも面倒になってきたのじゃ。

「噂とやらは知らぬが、生活魔法なら使えるのじゃ。生活魔法だけでも其方等を躾る程度のことはできるぞえ」

「なっ」

「手前っ!」

「み、ミチカちゃん挑発しないで」


 記入を終えた書類をメーレさんへ差しだしながら応えるのじゃ。背後が殺気だっておるのじゃがそこは軽やかに無視しておくのじゃ。

「わらわは育ちがよいゆえの、躾の悪い犬に吠えかかられたことなぞほとんどないのじゃ。ゆえに吠えかかられると逆に珍しくての、つい触ってみたくなるのじゃ」

「!!」

「みみみミチカちゃん!?」

 横目に見ると犬耳の顔はさっきまでの赤ら顔から怒りのあまり血の気が引いて白くなっておるのじゃ。素直な奴じゃのう。


「手前、チビだからと言って手加減してもらえると思うなよ」

「ぶっ殺されてえのか、こら!」

 あまりのことに一瞬停止しておったが怒声を上げる。しかしなんじゃ、孤児院に来ておった工藤とか言う奴の手下の方が迫力があった気がするのじゃ。なっておらぬの。チンピラ検定失格なのじゃ。

「其方等には無理じゃの」

 涼やかに返してメーレさんに向き直るのじゃ。


「登録が出来れば訓練所か何かを使えるのじゃろう。その書類が通ったら此奴等と少し遊んでやることにするのじゃ」

 メーレさんが目を白黒させて肩をすくめるわらわを見ておるのじゃ。背後からの視線は殺意のレベルに達した敵意が含まれておるのじゃが、その敵意もわらわの主導によるものなのじゃ。うむ、いいように言われておるのに比べていい気分なのじゃ。

 イニシアティブを取るのは大事なことなのじゃ。


「えっと、あの。ミチカちゃん?」

「メーレさん、それまでの間冒険者のことや協会のことを教えてくれると助かるのじゃ。見習いが知っておくべきことなぞじゃな」

「えっ、はい、うんそうだね」

 なかなかメーレさんの調子が戻らないのじゃ。これはちょっと申し訳なく思うのじゃ。まあ已むを得ぬ犠牲なのじゃが。


「ええっとまず階級と冒険者鑑札について説明するわね」

 説明し出すといつもの業務ということか落ち着きを取り戻したのじゃ。

 冒険者の階級は一級から始まって二級三級と増えていき、九級のあとAになるのじゃ。そしてAの後BCDEFと続く十六進法形式なのじゃ。AよりFの方が上位なのじゃな。


 ちなみに数字と文字アルファベットは帝国が定めたものでそのままアラビア数字にアルファベットなのじゃ。アルファベットは各地方で元の文字と混じったり変化したりしておるのじゃが、大抵はウムラウトのような記号がついておったりする程度なのじゃ。

 祈祷の祭文の難易度が高いのは使われておる古い文字と一般的に通用しておるアルファベットの間に文化的な連続性がないこともその理由の一つではないかと転生者視点でのみ推測できるのじゃ。

 まあどうでもよいのじゃが。


「数字から始まるのは文字が読めなくても数字は読めるものだからね。ミチカちゃんは問題ないけど」

 なるほどなのじゃ。背後の三人組の一人が舌打ちしておるのじゃが字が読めぬのかのう。

「番外的にS級がFの上にあるけど特殊な階級ね。それを加えて十六階級あるわ」

 ほほう。興味深いがとりあえず関係なさそうなのじゃ。

「始まる階級は申請があれば実力を判断して飛び級で始めることも出来るんだけど、年齢が足りてない特例の見習いになるミチカちゃんは自動的に一級からになるわ」

「うむ、それには異存がないのじゃ」

「鑑札には鉄の小片に協会の刻印がなされたものが付くことになるわね」


 鑑札は四角い木の板に金属の小片が鋲で留められておるそうなのじゃ。そして木地表面に登録情報なぞが記載されており、身分証として使えるのじゃ。

 冒険者協会と登録したマインキョルト支部の紋章が刻印される金属片なのじゃがこれは階級によって変化していくそうなのじゃ。

「四級までは鉄よ」

「錆びそうなのじゃ」

 ふふっとメーレさんが笑って応えてくれるのじゃ。

「鉄の鑑札を錆びさせるようなら引退した方がいい、というのが一応の目安なの。勧告するだけだから手数料を貰って再発行も出来るけどね。あ、でもミチカちゃんのように早い年齢で見習いを始める場合はゆっくり上げていけばいいからね。錆止めとか塗るといいわよ」


 五、六級は青銅。これも錆びそうじゃの。七、八級が真鍮で見習い脱出と言ったあたり。オルンとガントはここの筈なのじゃ。

 九級が赤銅で、これで一人前の冒険者と見なされるのじゃ。

 A級から銀金白金と貴金属が続き、D級からの魔鉄、魔銀、魔金と言う魔力鉱は鑑札を作るためにそれを入手してくるのが昇級審査の一部になるそうなのじゃ。この階級では鑑札は木札ではなく全部金属になるそうなのじゃ。

 ダンジョンのないマインキョルトでは最高がC級の白金なのじゃが、最近余所のダンジョンで成果を上げて帰ってきたC級がD級の審査を申請したのでマインキョルトにも魔鉄の冒険者が誕生するかも、と言っておるのじゃ。それってジーダル等ではないかのう。


 依頼と報酬の話や、そこから天引きで税金を徴収されておる話なぞも聞いておるとどうやら問題なく申請が通ったらしく書類と冒険者鑑札を持って見習いの女の子がメーレさんのところにやってきたのじゃ。心なしか見習いのこの顔色が悪いようなのじゃ。

「この書類を確認してね。規約の説明もまだあるけど、まずはこれでミチカちゃんも冒険者の仲間入りよ。改めて、ようこそ冒険者協会へ」

「こちらこそよろしくなのじゃ。ふむ、革紐もつけてくれるとは親切なことなのじゃ」

 冒険者鑑札を持ち上げ矯めつ眇めつ眺めるのじゃ。


 木の板の上半分に鉄の板が鋲打ちされており、その表面には剣を意匠にした冒険者協会の紋章とマインキョルト支部の帆船と水竜の紋章が入っており『冒険者協会と冒険者協会マインキョルト支部が冒険者として認め鑑札を振り出し保証する』と飾り文字で書かれておるのじゃ。

 この鉄の板部分は量産なのじゃろうな。

 鉄の板の下側の木の部分にわらわの名前などが記されており、一の数字とマインキョルト支部の文字が焼き印されておる。階級が上がると焼き印をさらに打つのか木の板部分を交換するのかどっちじゃろうな。


 そんなことを考えながら革紐を首に掛け、鑑札を服の下に入れるのじゃ。身分証でもあるゆえなくすわけにはいかぬからの。そう思っておると背後からじれたような怒声が飛んできたのじゃ。

「おう! 登録すんだんだな」

「冒険者同士の訓練としゃれ込もうや」

 おお、忘れておったのじゃ。なるほど見習いの子の表情の理由は此奴らであったのじゃな。納得なのじゃ。

「おお、すまぬのじゃ。すっかり忘れておった所なのじゃ」

「なっ」


「メーレさん、野暮用を済ませてくるゆえその後で規約の話なぞを聞かせてくりゃれなのじゃ。あとこの荷物はここに置いていって大丈夫かの」

「えっ、あ、うん。大丈夫だけど、大丈夫だけど」

 メーレさんもわらわと同じくすっかり忘れておったようなのじゃ。実は待てが出来るよいわんこだったのじゃな。

「ほれ、なにをしておるのじゃ」

「はっ?」

「わらわが練習所の場所なぞ知るわけがなかろう。案内あないすることを許すゆえ連れて行くがよいのじゃ」

 気が利かぬのう。評価は駄犬に戻すのじゃ。


お読みいただきありがとうございました。

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新人冒険者に降り掛かるお約束ですね W
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