今日はパンを焼くのじゃ
いらっしゃいませ。
本日も二話更新予定です。
これは一話目(1/2)。
二話目は21時更新予定です。
おはようございますなのじゃ。
やはり<遮光>は安眠効果があるようなのじゃ。魔力の回復も良さそうなのじゃが数値化できてないゆえ感覚的なものに過ぎないのじゃ。
そして手直し部分が一つ判明したのじゃ。二階にもお手洗いをつけるのじゃ。但し、階段を三段とばしで駆け下りたゆえセーフであったことは明言しておくのじゃ。
安眠効果で夜半にお手洗いのために目覚めたりせぬとかそんな効果もあったのやも知れんのう。
ちなみにお手洗いはすぐ下に小さい浄化槽を備えており、使ったら即<洗浄>なのじゃ。<洗浄>方式ゆえ二階三階でも問題ないのじゃ。
あ、わらわ的には<洗浄>方式なのじゃが恐らく本当は使用人が浄化槽を取り替えて外に捨てに行くのじゃ。
なんにせよ良い朝なのじゃ。
今日はパンを焼こうと思っておるゆえ朝餉の準備をしながら生地も捏ねて寝かせておくのじゃ。
石窯も使えるように薪を投げ込んで<着火>と<微風>で火を熾すのじゃ。石窯というのはじゃんじゃん薪などの燃料を燃やした後、余熱で調理するものなのじゃ。それを知ってはおったが使う薪の量は想像を遙かに超えておったのじゃ。
孤児院では焼いて数日経った固いパンばかり食べておった理由が理解できたのじゃ。これだけの薪を使うのであればパンも大量に焼かなくては割に合わないのじゃ。そして大量に焼いた結果古くなったものなどが孤児院まで流れてきておったのじゃな。まあそんなパンすら神殿が締められて数ヶ月食べることがなかったのじゃが。
なんにせよ納得なのじゃ。
納得しつつ捏ねる生地の量を増やし、朝餉の準備もやるのじゃ。生地を少し取り分けて延ばしさっと切って麺にするのじゃ。探してみたのじゃがパン種に類するものが厨房に見つからなかったゆえパンは種なしパンなのじゃ。ゆえに麺に転用しても問題ないのじゃ。
乾燥させたモルケッラの様な茸があったゆえ、水に放り込み<経時>をかけて戻す。漉した戻し汁はなかなかよい茸の香りがするのじゃ。
このモルケッラのような茸に限らず、茸類を孤児院で食べた記憶が全くないゆえこの世界での名前が解らぬのは困ったものなのじゃ。
貯蔵庫にあった鶏肉から胸肉を選び、適当に切って茸のダシがよく出た戻し汁と戻した茸が入った鍋に投入。そして火力が勿体ないゆえ鍋ごと絶賛加熱中の石窯の口付近に置く。ついでに石窯用の鍋に水を入れてお湯も沸かすのじゃ。
野菜を刻んで鍋に追加。鶏肉を先に入れたのは鶏肉からもダシが出るかの、という判断なのじゃ。
ちなみに貯蔵庫の食材は悪くならぬよう全部まとめて収納空間に収納したのじゃ。複数箇所に食材があるのも面倒ゆえ一元管理なのじゃ。
肉のエイジングについては内容を整理してから考えるのじゃ。
味を見て塩を足したりしつつ、最後に麺を入れて暫し待てば出来上がりなのじゃ。
燃えさかる石窯で熱くなってる鍋はトングで取るかと思ったのじゃが、先に気づいたので収納空間に一旦収納なのじゃ。うむ、便利。
平行して捏ねていたパン生地も大量に出来たのじゃ。蜂蜜を練り込んだ生地も少しだけ作ってみたのじゃ、お楽しみと言う奴なのじゃ。
この多量の生地は石窯に入れるときまで寝かせておくゆえ収納しないのじゃ。
パパッと生野菜でサラダを作り酢と油と塩のドレッシングをかける。トマトをこのあたりでは見かけないのが残念なのじゃ。生もなのじゃがドライトマトも見ぬゆえ未発見なのやも知れぬのじゃ。ジープラント王国の港町まで行く気でおるゆえこう言った食材に関して出会えることを一応期待しておるのじゃがどうなることやらのう。
オージ、林檎っぽい果実もまだまだあるゆえカットするのじゃ。ついでに剥いた皮と芯を生のハーブ類と一緒にポットに入れ湯を注ぐ。高級そうな茶葉がちょっと残念だったゆえ、今度は庶民風にフレッシュハーブティー、オージ風味なのじゃ。
収納空間から熱々の鍋を取り出して麺とスープを深皿によそい、ひと欠片のバターを落とした後、色味をつけるため生のハーブを少し散らす。うーむ、うどん、いやさ自称スープパスタ完成なのじゃ。
熱々のままなのは収納空間のおかげなのじゃ。残りも冷めぬうちに収納なのじゃ。
雑に切った麺が太くてうどんみたいな熱々の自称スープパスタ、サラダ、カットしたオージ、ハーブティー。贅沢な朝餉なのじゃ。
神々に今日の糧を感謝し祈りを捧げるのじゃ。孤児院の習慣は身についておるものじゃな。
サラダを美味しく片づけ、メインの自称スープパスタに取りかかるとするのじゃ。
うむ、ダシはよく出ておるのじゃ。ダシとして貢献してくれたモルケッラ風茸は<経時>のおかげかよく戻っており、スープを吸い込んでしっとりしており美味なのじゃ。
ちょっと考えておったのじゃがモルケッラ、モリーユは日本語だとアミガサタケだったのじゃ。思い出せてスッキリなのじゃ。まあどうでもよいのじゃがな。
麺はあまり腰はないのじゃが、よくスープに絡んでおる。悪くはないのじゃ。鶏肉はうま味を外に出しておるゆえ些かパサツく部分もあるのじゃがスープの具としては及第点なのじゃ。それに適当に刻んで入れた野菜類がいい味を出しておるので一緒に食せば問題ないのじゃ。
いやはや満足なのじゃ。調味料が限られた範囲でこれだけできれば充分なのじゃ。
香草茶も美味い。オージの香りが立って贅沢な気持ちなのじゃ。
満ち足りた気分でデザートのオージを齧る。前世でよく食した品種改良された林檎に比べて酸味の強いその味で思い出したのじゃ。
生地、追加なのじゃ。
お読みいただきありがとう御座いました。
ちょっとサブタイ詐欺かも。