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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
オルンのお悩み相談を受けるのじゃのじゃ少女
230/247

模擬戦もぎもぎなのじゃ

こんにちは。

遅くなりましたがよろしくお願いします。

更新停止気味なのに感想や誤字報告ありがとうございます。疲れている所為で泣きそうです。


土曜出勤ばかりなのはもう諦めました。しかし少しずつ書いていた分が消えてしまうと言うアクシデントでグッタリでしたよ。

「練習用の木楯もなかなかに面白いものなのじゃ」

 寒風吹き荒ぶ、とまでは行かぬとは言え寒い中馬車は郊外の空き地に到着したのじゃ。わらわは<防寒>で護られておるゆえ寒さは平気なのじゃが皆と同じようにしっかりもこもこの格好はしておるのじゃ。

「ああ、練習用と言うけど高級品だよ。それ。多分ちょっと前の俺だと買えねえくらいの」

 練習用の楯の裏には金具があって鉄の棒を固定できるようになっておるのじゃ。これは重りで、軽い木材で出来た楯に重りを追加することで重さを調整できるようになっておる訳なのじゃ。

 そしてその重さを武具屋に伝えることでちょうど良い重量の本物の楯を誂えることができる、という仕組みなのじゃ。


 本物の楯の素材も概ね木材なのじゃが、この素材に関しては材木問屋のご隠居に幾つか良いものを武具屋に送っておくよう先に頼んでおるのじゃ。

「金属で補強したり表面に魔物の皮を貼って強化したりするらしいけどまずは扱えるかどうかだな」

「使いやすい軽さのものがよく思えても、用途としては己を護れば良いだけのものではあらぬゆえよっく吟味するのじゃ」

「ああ、最初は順番に持ってみるからモリエは子ども等に簡単に体術を教えてやってくれ。サーデとマーセは合わせる段になったら呼ぶからあまり遠くに行かんようにな」

 オルンはモリエと双子等に指示を出しておったのじゃが、そこで一旦切ってわらわを見たのじゃ。ガントは楯の準備をしておってオルンに付き合う形なのじゃ。


「わらわはちょっと魔法を試し打ちしてくるのじゃ。魔法陣の構成要素であるとか祈祷の祭文であるとか、他魔術についても新しゅう色々と学んだゆえ少々試しておきたいのじゃ」

 冬枯れした林の方を指してわらわがそう言うとモリエや双子等が護衛について来るような態度を見せたのじゃが止めておくのじゃ。

「いやさ、わらわ自身に被害が出ることはあらぬのじゃが初めて使う魔法で制御が甘く周囲には被害が出るやも知れぬのじゃ。一人でやる仕事というわけなのじゃ」

 多少心配そうにするモリエ等にそう遠くには行かぬと約束して久しぶりの単独行動なのじゃ。


 範囲型の攻撃魔法なぞも試すのは事実なのじゃが、攻撃魔法を収納したりする機会がついぞあらんかったゆえ収納空間に魔法を収納するのも目的なのじゃ。収納してしまえばそれを元本に増殖できるのじゃ。

 そこそこ離れた所で祭文を祈祷するのじゃ。

 高まる魔力が冷たい風に紛れて周りに満ちていくのじゃ。わらわの魔力の成長具合を実感できる機会も少なかったのじゃ。確かに我ながら呆れるほどの魔力なのじゃ。


 渦巻く魔力に意志で方向を与えていくのじゃ。

れや

 祈りに応えていざや

 雷神の瞋恚よ くだりて滅せ

 ここは神罰の刑場

 神敵討つべし

<降雷陣>」

 稲妻が辺りに降り注ぐ範囲型の攻撃魔法を発動するのじゃ。

 十条ほどの稲光が林の木々を裂く、ド派手な魔法なのじゃ。林の外で見ておるであろうモリエ等に範囲系の派手な魔法を使つこうた実績を見せておくのが目的なのじゃ。


 無論、わらわは二兎を追うのを信条にしておるのじゃ。


−雷条を取得。収納空間に収納。雷条(1)

−雷条の複製。雷条(2)

−行動反復。魔力収納内魔力(0) 雷条(81)

−魔力収納格位上昇 第三段階


 視界の外縁部で収納空間のログが流れるのじゃ。魔漿石を使い潰すほどのことではあらぬゆえ複製は後で自分の魔力を突っ込んで行うのじゃ。

 魔力収納は全然使つこうておらんかったゆえ育っておらぬのじゃ。

 自前の魔力が充分であるしの。


 幾つかの祈祷や魔術を使つこうて収納したり、空中跳躍を修練したりと一頻り満足するまで自己鍛錬なのじゃ。

 魔法のほう、特に攻撃系は実は何となれば収納空間のみで乗り切れるのじゃが生存性を高めるための努力はやはり必要なのじゃ。

 さて、オルンのほうはどうなっておるかや。


「ん、なんじゃ。もう来ておったのか」

「応。息抜きも必要だからな」

 ジーダル等三人組が来ておったのじゃ。場所の説明は問題なく伝わっておったようなのじゃ。

「わ、わざわざありがとうございます」

「オルンが楯と言うのは良い考えだ。前に言ったときには剣に拘ってたが色々考えることがあったんだな」

 ジーダルは笑いながらそう言うたのじゃ。


「双子等の腕前との噛み合いの問題なのじゃ。先ずはちょっと模擬戦と行くかの。そこに模擬剣は準備しておるのじゃ」

 ジーダル対オルンと双子等の変則マッチなのじゃ。一応やるに当たってサーデとマーセを呼んでオルンを含め三人にちょっとした指示を預けるのじゃ。

「ふふふ、任せて」

「ジーダルのおっちゃんに目にもの見せてやるよ」


「ちょっと楽しみね」

「双子達はなかなかの素質があると師匠が言っておりましたが槍も上達しているのですかね」

 セイジェさんとベルゾは観戦モードなのじゃ。

 わらわとモリエは子ども等に手伝わせつつ荷馬車に積んでおった七輪のような炭の炉に火を熾して観戦しつつ喫すための茶を準備するのじゃ。

 火のほうは昼食にも使うのでしっかりと準備しておくのじゃ。


「サーデとマーセの動きは魔法に裏付けされておるのじゃ。まあ見ておると良いと思うのじゃ」

 <早足>と<跳躍>は双子等の槍との相性が良いのじゃ。オルンが軸としてしっかり動ければジーダルを驚かすこと程度は出来ると思うのじゃ。

 わらわも楽しみに見ておくのじゃ。


 オルンは結局大きめの涙滴型の楯を選んでおるのじゃ。悪くない選択なのじゃ。

 小さい丸楯が今まで身軽であったオルンにはあっておるのであろうがパーティの楯役というならばちょうど良いものであろうの。

 逆にもっと大きな方形の塔盾では双子等の動きについて行けぬのじゃ。


「なかなか様になってるじゃねえか。楽しみだぜ」

 木製の模擬剣を自然体に構えたジーダルの表情には笑みが深いのじゃ。

「胸をお借りします!」

「ふっふー、ジーダルのおっちゃん余裕見せてると泣かせちゃうぞお」

「あたしたちの動きに付いてこれるかな」

 オルンは緊張しておるのじゃが双子等は普段通りなのじゃ。


「しかし、ジーダルはやはり相当に忙しかったのじゃな」

「ええ、まあその話は昼ご飯の時にでも」

 模擬戦を前に楽しそうの度合いが過ぎておるゆえストレスが溜まっておるのではあらぬかと気づいたのじゃ。

 セイジェさんも多少お疲れが見えるのじゃ。


「ではまあわらわが号令をかけるかや。はじめっ!」


 わらわの声に四人が動き出したのじゃ。オルンはまだ不慣れなのじゃが、ちゃんと楯を前にぶつける様に押し出しておるのじゃ。

 涙滴型の楯に軽く模擬剣を当ててジーダルは試しておるようなのじゃが、実際甘く見ておると双子等に泣かされるのじゃ。


 オルンの楯を遮蔽に高速で出退しゅったいする槍ふた筋は捌きがたいのじゃ。

「お、おう。はええな!」

 左右だけでのうて槍のリーチは足下も狙える上下の打ち分けも可能にするのじゃ。

 まあ三対一であるからマッチング出来ておるのが現状なのじゃがそれでもジーダルの余裕はかなり削れておるのじゃ。


 楯のバッシュをフェイントにオルンの剣、それに呼吸を合わせてサーデの下段突き。それをジーダルが捌いた瞬間にマーセが<跳躍>でオルンを飛び越しての頭上からの振り下ろし、なのじゃ。

 しかし一瞬、ジーダルは楯ごとオルンを蹴り飛ばしその反動で後ろに転がってマーセの槍を避けたのじゃ。


「巧いのじゃ!」

「惜しかったですね」

 転がったジーダルはそのまま一回転で身を起こし引き終わっておらなんだマーセの槍の柄を叩いて落とさせて勝負は決したのじゃ。


「おっちゃんやっぱ強い!」

「いや、お前等のほうに呆れたぜ。思ってたより数段強くなってやがんなあ」

 ジーダルが首を振っておるのじゃ。しかし結構満足した風なのじゃ。

「オルンの楯も良いな。攻撃役の双子ちゃん等と息が合ってるのが強みだな。楯使いを練習したらもう三対一じゃ模擬戦しねえぞ」

 オルンの頭に手をやり髪をグシャッとかき回したのじゃ。オルンも至極幸せそうなのじゃ。


「楯はその形でよいのじゃな。あと楯使いを教える教師役にちょうど良いのを紹介してやっておいてくりゃれなのじゃ」

「ああ、それは任せろ。んでまあ腹が減ったわ」

「ではここで昼餉と行くかの」


お読み頂きありがとうございました。

本当に更新が疎で申し訳ないです。

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