バドミントンなのじゃ
こんにちは。
なんとか更新です。昨日はまた土曜出勤でした(>_<)
今から気力が続けば明日の更新分は準備するつもりですが電池が切れて寝てしまうかもです。
更新予定は立てれない現状ですがよろしくお願いします。
日常には潤いや愉しみが必要なのじゃ!
いやモリエや双子等がおってアイラメさんや狐の人が遊びに来るゆえ潤いは充分。愉しみも食を中心に充実させてきたのじゃ。新しい盤上遊戯も広まりつつあるし、屋敷を弄ることで住環境も居心地よくしておるのじゃ。不平不満なぞ言うてはバチが当たるのじゃ。
神罰覿面望む所なのじゃ。
と言うわけでわらわは今バドミントンスタイルのラケットにガットを張っておるのじゃ。
「なにやってんの? ミチカ」
「ミチカちゃん、それなに? 鈍器?」
オルンが同行しておらぬ時の槍の修練を制限されておって暇をしておる双子等が寄って来たのじゃ。
ヴルストを作るために羊や豚の腸を得ておるのじゃが、つまりそれをガットに転用できるのじゃ。
モリエに訊いてみたところ弓の弦に使うこともあるものの一般的ではあらぬそうなのじゃ。基本的に使うのは麻糸に松脂や油から作った秘伝の薬を塗ったものであるそうなのじゃ。
楽器の弦に使うておるやも知れぬのじゃが、まあわざわざ伝手を辿って調べるほどのことでもあらぬのじゃ。
「これは遊び道具なのじゃ」
「部屋の中で振り回すの?」
「専用の部屋を用意すれば出来るのじゃが、まあ外で遊ぶものなのじゃ。地面に絵や数字を書いて跳ねる遊びやら土器投げであるとかじゃの、あの類の身体を使うて遊ぶものの仲間なのじゃ」
そう言うた子どもの遊戯も地方ごとにルールが違うておったりして面白いものなのじゃ。
話ながら完成させた木製ラケットを振ってみるのじゃ。
まあ正直重いのじゃ。前世ではカーボン製のものしか使うたことがあらぬし当然なのじゃ。
シャフトを金属にする等の改良は使うてみてから考えることにするのじゃ。
この作製に乗り出した理由は材木問屋のご隠居から入手したコルク材にあるのじゃ。
コルクに鳥の羽根を膠で接着して作ったシャトルは既に準備しておったのじゃ。
さて、バドミントンと洒落込むのじゃ。なのじゃがその前に言うておかねばならぬのじゃ。
「冒険者は本気で動きすぎてはならぬのじゃ。まずは楽しく、なのじゃ」
双子等が全力でやると他のものと楽しく遊ぶことは難しくなるゆえ当然の注意なのじゃ。
「大丈夫だよ! 空気くらい読めるよ!」
「サーデはクロックノールで盤から駒を飛び出させてたよね」
「それで二人組対戦、負けたよね」
サーデがモリエとマーセにつっこみを受けておるのじゃ。
ついでに当然のように調合作業場に来て作業しておったアイラメさんと狐の人も誘うのじゃ。メイドさんには裏庭にお茶を頼むついでに暇なら参加するよう声を掛けておくのじゃ。
バドミントンは経験者か否かでシャトルの弾速が大きく違うのじゃ。無論わらわは手加減して気持ちよく打ち合うのじゃ。ラリーが続いたほうが楽しいしの。
「た、楽しいですね。ありがとうございます」
メイドさんからレモン水を受け取って一息ついておるのは己の執務室で仕事をしておったミルケさんなのじゃ。
ミルケさんは運動不足と年齢的なもので息が上がっておるのじゃがモリエや双子等は流石に冒険者で動き回るのは得意なようなのじゃ。
「遊び道具ゆえ商品になるとミルケさんが見るならばエインさんに回すと良いのじゃ。但しのう……」
「エインさん案件なことは了解しましたが、何か?」
少し口を濁したわらわにミルケさんが問いかけてくるのじゃ。
わらわの見る先にはバドミントン会場となっておる裏庭があるのじゃ。
子ども等のうち年下の女の子たち、ルッテとアルミアーフェはメイドさんについて仕事を習っておったゆえ一緒に茶や水を運んできた後バドミントンをしておるのじゃ。それも見越して子ども用の小さいサイズのバドミントンラケットも準備しておったのじゃ。
兎も角バドミントンをしておる二人の女の子を見ながらミルケさんに応えるのじゃ。
「今其方が穿いておるのと双子等が穿いておる短いので多少の違いはあるのじゃが、どちらにせよキュロットを同時に普及させるべきやも知れぬのじゃ。短いキュロットに同じく短い巻きスカートを合わせるのも良いのじゃが」
「なるほど。それは専属の仕立屋や縫製師匠合に話を通しておいたほうがよろしいですね」
「仕立屋のお姑さんは神殿で会うゆえそっちに話を通しておきはするのじゃが、仕立屋にはエインさんの家のお嫁さんから通してもらうのじゃ」
ラケットやシャトル作りをエインさんがするのであらばウェアもそっちに寄せておくのじゃ。
「了解です。しかしパンツスタイルは良いですね。これが動きやすいのでなんとかレーレッテさんに勝てましたし」
そうミルケさんはメイド長との勝負に勝ったのじゃが、むしろロングスカートであまり裾を乱すことものうプレイしきったメイドさんスキルに目を見張るものがあったのじゃ。
そう、そう言えば仕立屋からは衣裳の納品があっておるのじゃ。
セイジェさんの衣裳のお披露目は何か機会があらば大きくやりたいところなのじゃが、それは兎も角わらわ等の普段着事情は改善されておるのじゃ。靴も可愛ゆうなっておるのじゃ。
双子等は動きやすいキュロットがお気に入りで今もそれでバドミントンをしておるのじゃが、モリエは可愛い普段着が来たもののわらわの護衛任務があるからと冒険者か狩人らしい皮の上下のままなのじゃ。
まあ皮のパンツスタイルで動きやすそうではあるのじゃが。
「モリエ用にもキュロットに合わせた衣裳をまた頼むかの。<洗浄>があらば洗濯にも手間がいらぬゆえ着た切り雀で構わぬとは言え双子等ももう一着あったほうが良さそうなのじゃ」
主に破いたときに備えて、なのじゃ。それとわらわもミニのキュロットで一着か二着作りとうなったのじゃ。
「折角の専属ですしね。私は既に一着頼みましたよ。広げることを考えたので断りを入れて他の仕立屋にですが」
出来上がって来たものを着てみて直ぐに発注したそうなのじゃ。商業組合の窓口嬢等も早速何名か真似ておるそうなのじゃ。
元がミニスカートやタイトスカートであらば男性陣の保守に名を借りたスケベ心からの反対があったかも知れぬのじゃが、元は踝までのふんわりとしたロングスカートであったゆえ大した問題はあらぬのじゃ。
「食事会の贈物に布地があったからって私たちの分まで色々注文したばかりじゃない」
メイドさんから水を受け取ってありがとうと礼を言いつつモリエが戻ってきたのじゃ。
向こうでは双子等対狐の人とアルミアーフェの獣人コンビでダブルスをしておるのじゃ。それとアイラメさんとルッテが対戦と言うには余りにのんびりとしたラリーをしておるのじゃ。
「私たちは普通古着かお下がりで服を新しく作るなんて滅多にないことなんだよ。本当は」
「私などは街の商家の出身ですが、それでも子どもの間は確かに年に一着とか二着でしたね。誂えるのは」
しかし、大人になればその立ち位置に相応の衣裳が必要とされるし出る場所にも合わせねばならぬのじゃ。しかもそこに流行を取り込まねば軽く見られるのじゃ。
わらわ的にはまだまだ子どもの仲間だと思うのじゃが、今生の社会では充分に大人であるモリエにミルケさんがそう話をしておるのじゃ。
「流行をミチカさんが牽引してますので折角の立場なので活かさないとですね。それにモリエさんも注目を集めているんですよ」
「それは初耳だよ!」
まあ当然と言えば当然なのじゃ。わらわの料理に興味を持つものがその殆どを作れるモリエに注目しても不思議はあらぬのじゃ。
「雪の椿の皆さんと修道会の皆さんはミチカさんの側近と見なされておりますからね。エインさんやズークさんもミチカさんとの繋がりを求める人の対応にも追われているようですよ」
「色々と皆には苦労を掛けておるのじゃ。わらわは周りの人間に恵まれてありがたいことなのじゃ」
おそらくミルケさんも同じく注目されておるのじゃ。大抵このわらわの屋敷の執務室におるのはそれが理由であるのじゃろうの。
そんな中でもわざわざわらわの専属の名を欲しがった仕立屋さんはなかなかの剛胆さなのじゃ。まあ忙しゅうなろうと利益が優先というのは実に商家らしいのじゃ。
「子ども等の服は確かに古着でよかろうなのじゃ。ただキュロットに仕立て直したりはメイドさんに頑張ってもらうのじゃ。あの子等もそれを手伝って自分等でできるようになればよいしの」
「それはそうだね」
己等の衣裳のことは確定事項として流されたことにため息を一つついてモリエが同意したのじゃ。
「オルンとガントももう少し衣裳を持っておって良いのじゃが男物の見立てはできぬのじゃ」
「組合長に適当な男物の仕立屋を紹介してもらいましょう」
そんなことを話しておったら男の子等を連れて他出しておったオルンも戻って来、また修道会からガントも戻って来たゆえバドミントン大会も再燃したのじゃ。
今はラインを一本引いただけで遊んでおるのじゃが、流行るようであらばしっかりとしたコートの規定を書き出しておくべきなのじゃ。
そんなこんなでしっかりと愉しみを享受した一日であったのじゃが、オルンからこっそり相談があると言われたのじゃ。
なんであろうかの。
お読み頂きありがとうございました。
『その後キュロットに巻きスカートをつけたものがバドミントンスカートと言う謎の名前で流行しておると聞いて驚くこととなったのじゃ』
と言う一文を書きかけたけれど今までこういう未来時制は入れてないしな、と判断して削除。きっと語ることは無いのでここで供養。