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カピバラさんは食べられるのじゃ

こんにちは。

入浴回にたどり着きませんでした。やはりバタバタ書くとダメぽですね。

反省しつつも今日もよろしくお願いします。

 母屋に戻っておると何故かアイラメさんと狐の人もついて来たのじゃ。 今日の分のノルマは終わったのかの。劣化防止のための魔法陣かなにかが刻まれた金属の缶にカレー粉を詰め、なにやら書き込んだ紙を貼って封にしておったのじゃ。

 調合師の謎の文化なのじゃ。


「別段面白いことはせぬのじゃ」

「ここ最近聞いた中で二番目に信用できない言葉ですね」

 アイラメさんがドヤ顔で言うたのじゃ。

「別に一番目を訊いたりはせぬのじゃ」

「ええっ? 訊きましょうよ!」

 ドヤ顔から一転ショックを受けるアイラメさんの後ろで狐の人がわろうておるのじゃ。


「訊かなくていいの?」

「オチに己の師匠を使うにしろわらわを重ねるにしろ、どちらにしても己の立場を悪うするのみなのじゃ。訊かんでおくのが優しさという奴なのじゃ」

「はー。そういうもんなんだ」

「そういうものなのじゃ」

 双子等とやり取りしながら歩くのじゃ。後ろでなにやらアイラメさんが言うておるのじゃがスルーなのじゃ。


「ここが浴室なのじゃ!」

 目的の部屋につき、わらわはそう宣言したのじゃ。

 宣言した後、勢いよく脱いだ靴を改めて揃えるのじゃ。そう、広めの脱衣所は靴を脱いであがる構造になっておるのじゃ。

 調合師錬金術師匠合の調合室も靴を脱いであがる形式であったゆえ、経験のあるモリエとミルケさんはさっと脱いであがったのじゃ。調合師のアイラメさんと狐の人は言うに及ばずなのじゃ。


 双子等は冒険向きのしっかりとした編み上げの皮長靴で足元を固めておったゆえ脱ぎづろうてバタバタとしておるのじゃ。

 メイドさん等も人前で靴を脱ぐ習慣があらんようで戸惑い気味なのじゃが、双子等が脱ぐのを手伝うてやってから自分等もあがってきたのじゃ。


「おー、お風呂つき!」

「でも<洗浄>あるといらんくない?」

「なくなくないのじゃ」

 ぶっちゃけると浴室建設を急いでおらんかったのはその理由なのじゃ。

 <洗浄>が便利すぎるゆえ、純粋に楽しみのための浴室となるわけなのじゃ。美容と健康のため、と言うのはまだ若いと言うより幼きわらわの理由にはならぬのじゃ。


「これは中央のほうにあると聞く温水の風呂ですね」

「そっちにある部屋は普通に見るお風呂のようです」

 ミルケさんと狐の人が脱衣所から扉を開き浴室を見ながらそう言うておるのじゃ。

 ミルケさんが言うておるのは広い湯船なのじゃ。そして狐の人の言う普通のお風呂とはこの辺りで普及しておるサウナ風呂のことなのじゃ。見慣れた風呂も必要かと思うてサウナ風呂も設置することとなったのじゃ。

 別段嫌いではあらぬしの。


 そしてアイラメさんが一人用のバスタブとマッサージ台に興味を持ってふんふんと見ておるのじゃ。

「これはなんです?」

 アイラメさんの質問に答えたのはメイドさん長のレーレッテさんなのじゃ。

「貴人用の湯船でございます。良い匂いをつけた湯で身体を温め、そちらの台で身体を按摩する作法があるのですが、恥ずかしながら私も机上の座学でしか学んだことがございません」


 要はミルケさんも言うておるのじゃが中央には風呂があるのじゃ。

 転移者もしくは転生者で間違いあらぬ初代皇帝由来の風習と思われるのじゃが、風呂を求めた気持ちは共感せざるを得ぬのじゃ。


 兎に角そう言う中央の風呂の風習を老リーディンとの世間話で引き出し、そう言う風習の載った書物も神殿の書庫にあったゆえ風呂場建設に乗り出したのじゃ。

 わらわ由来の謎の行いではのうて中央の風習、なのじゃ。


 <洗浄>で身体を清めることが出来ることが前提であるゆえメイドさんの言う作法が生まれたのじゃな。湯船に入る前に<洗浄>で身体を清めると入浴の衛生面のメリットは存在せぬのじゃ。そして身体を清めたりするメイドさんの仕事もあらぬゆえマッサージなぞのケアが貴人の入浴に際してのメイドさんのお仕事となっておるだけなのじゃ。

 椿油を使つこうたヘアケアもその流れに組み込めばよいのじゃ。


 まあその貴人用のバスタブはおいおいメイドさん等で研究すると良いのじゃ。

「レーレッテさんは座学とは言ってもその単位を持ってますけど私どもは全く知らないことでしたので少々時間を頂くことになるかと思います」

「申し訳ありません」

「いや全く急がぬのじゃ。第一風呂自体がただの戯れに近いものなのじゃしの」


 メイドさんからの謝罪を流してお風呂の使い方を説明するのじゃ。

 給湯設備もサウナのほうもオール魔漿石、うむオール電化のように言おうと思うたのじゃが語呂が悪いのじゃ。まあ、オール魔法具なのじゃ。

「一応男女の別をつけておるゆえ、男湯のほうは後でマーセがガントに説明しておくのじゃ」

「了解したよー」

 男湯を使う可能性がある居住人はオルンとガントの二人しかおらぬのじゃが一応分けておかねばなのじゃ。


「うーん」

「モリエ。なにを唸っておるのじゃ?」

 お湯に入ると聞いたモリエがなにやら難しい顔をしておるのじゃ。

「あのね、何となく知ってる」

「なにをなのじゃ?」

「山とか森の奥にたまに温かいお湯が出る場所があって、猿とかモコ鼠がそのお湯に浸かってる」

 温泉なのじゃ!


「それは自然のお風呂です。神君に由来するそう言った自然のお風呂の施設もあると聞きますね」

 ミルケさんは最近中央についてよく調べておるのじゃ。良きことなのじゃが、わらわとしては齟齬が生まれぬよう気をつけねばならぬのじゃ。


「それモコ鼠とか獲り放題?」

「お湯の中だと傷の治りが早いらしいから狩人も傷を負ってたら入る。私は経験ないけど。それでお湯の周りでは狩りをしないのが掟」

 獣同士も一緒に湯に入っておる間は争わぬと言う狩人の間に伝わる伝説なのじゃそうな。事実かどうかはこれまた知らぬとのことなのじゃがの。

 あとどうでも良いのじゃが、モコ鼠はでっかい鼠でこの辺りでは肉を食うのじゃ。気持ちとしてはカピバラっぽいのじゃ。

 一応前世でもカピバラは食肉用に使ったりもされておったのじゃ。


「あのっ、近くでそう言う場所知ってます? そう言う傷の治療にいい温水の泉から採った水というかお湯は調合やポーション作りで使うんです」

 狐の人がモリエに訊ねておるのじゃ。確かに効能はありそうなのじゃがそれとポーションの効能が合わぬこともありそうなのじゃ。

 まあわらわが心配するようなことではあらぬのじゃ。


 まあ説明や雑談はここまでなのじゃ。

「湯を張ってみるゆえ入りたいものは着替えの準備でも行うのじゃ! 神君好みの広い湯船になっておるゆえ全員でも大丈夫なのじゃ」

 わらわの入浴の準備はメイドさんがしてくれるのじゃ。



お読み頂きありがとうございました。

教育課程もそろそろ終わりで本格的に新業務で心と身体が削られ出す予定です。

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