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調合師等との面談はまったり気味なのじゃ

こんにちは。

感想や誤字報告ありがとうございます。いろいろ考えてみます。

リアル引っ越し前で余裕がなくてすいません(>_<)


 続いての面談の相手は調合師の婆さま、弟子のアイラメさん、直弟子なのかどうかは分からぬ調合師の狐の人ことマキネさんの三人からなる調合師錬金術師匠合のメンバーなのじゃ。

 アイラメさんを便利に使つこうておったら婆さまの要望で急に参加してくることになったのじゃ。まあ良いのじゃが、こちらからは別段話すことがあらぬとも言うのじゃ。


「アイラメに処方を記録させたらしいけど、また変わったものを作ったもんだねえ。ああ、確かに美味しかったさね、ご馳走には感謝するよ」

 ウスターソースのことなのじゃ。アイラメさん使いの荒さに関しては知らぬ振りをしておくのじゃ。

「カツやフライは広まって行くと思うておるのじゃが、それに合うソースとして需要も伸びようと思うておるのじゃ。揚げ物以外にも使えるしの」

 取り扱いは基本商業組合に任せるゆえそちらと諮るよう伝えておくのじゃが、どうやらタルタルソースにも興味があるようなのじゃ。

「白いほうのソースも変わってたけどありゃあなんだい。卵なのかね」

 相変わらず舌は確かなのじゃ。


 それに対して横から老リーディンが教えてくれるのじゃ。老リーディンはタンクトップおじさんと箸置きに使っておった魔漿石の駒を大将の駒に使いながら盤上戦を打っておるのじゃ。打ちながら余裕があることなのじゃ。

「あのように色々と混ざっておるのは初めてじゃったが、マジョネースは中央では結構使われておるぞい。神君が好んだと言われておるわい」

 微妙に訛っておるのじゃがマヨネーズは初代皇帝が既にもたらしておるようなのじゃ。

「中央では卵が手に入りやすい、という意味でもあるのじゃ。それこそ初代皇帝の時代から帝都周辺では養鶏や酪農が盛んと聞いておるのじゃ」

「なるほど、卵が安いってのはすごいことだねえ」


「チーズのための酪農と併せて発展を祈っておるのじゃ」

 ちらと商業組合の組合長を見ながら言うたのじゃ。意図は伝わったらしく頷いておるのじゃ。

「ただ、マヨネーズは酢をしっかりと使つこうておるゆえ日持ちするのじゃ。それを考えると今回のタルタルの作り方とあわせて広めておいても構わぬ気もするのじゃ」

 意識して翻訳機能を通しておるゆえわらわがマヨネーズと言うたものがマジョネースとして伝わり、逆にわらわはマジョネースをマヨネーズと聞くはずなのじゃ。

 わらわが何度か作ったことのあるアイオリソースであらば酢を使っておらぬゆえ使い切り専用で商売には向いておらぬのじゃがマヨネーズは容器に入れて売ることに問題があらぬのじゃ。


「マヨネーズ作りをすると混ぜるための魔法具のありがたさがよく分かろうというものなのじゃ。しかしまあそれはおいておいて、なのじゃ」

 ハンドミキサーの存在は重要なのじゃ。しかしマヨネーズもしくはタルタルソースのことはまあ良いのじゃ。

「そうさね。婆たちも神殿の前に祭の屋台を出そうかね。価格的に安くするのは難しそうだけどカレー粉を使ったものがいいねえ」

「出すものはわらわに考えろと言うわけなのじゃな。まあ良いのじゃ、任せるが良いのじゃ」

 カレー粉の普及は益のあることなのじゃ。


「カレー粉の処方は既にあるゆえ屋台の差配はマキネさんに頼めば良いかの。無論、当日に売り子をする頭数は調合師等でまかなってもらうのじゃ」

「ふふん。そうですよ、余りあたしばかり働かせなくてもいいんです!」

 わらわが狐の人に仕事を頼むと、なぜかアイラメさんが無駄に立派な胸を張ったのじゃ。対して狐の人は驚いた顔で確認してきたのじゃ。

「は、はい。わたしですか」

「マキネさんは弟妹が四人もおると言っておったからの、屋台まで来たら食べさせてやると良いのじゃ。他の神殿関係の屋台でも食せるように引換券を仕事代の他に出しておこうかの」


「まあ! ありがとうございます。頑張りますね!」

 喜ぶ狐の人の尻尾が嬉しそうに振られるのじゃ。モフモフなのじゃ。

 狐の人の弟妹はちっちゃい狐であろうからそのモフモフを狙って、いやさそのようなことは考えておらぬのじゃ。本当なのじゃ。

「食べたいです。あたしも食べたいですよ!」

 アイラメさんが今度は食べたがっておるのじゃ。面倒な女なのじゃ。

「食べたければ働くが良いのじゃ」

「うう、働くので食べさせてください」


 わらわはため息を一つ吐くと、婆さまに言うたのじゃ。

「という仕儀での、二人を借り受けるのじゃ。他に調理が得意なんぞというものがおれば他に一人二人差し向けてもろうて構わぬのじゃ」

「アイラメを好きに使いすぎだとは思うけどねえ。しかしアイラメのほうに問題があるさね」

 婆さまもため息一つなのじゃ。


「今、生活魔法の伝授は予約制でしか受け付けておらぬのじゃが屋台で働いてもらうには必要ゆえ<洗浄>だけは別枠でわらわが教えるのじゃ」

 メイドさん等にも伝授せねばならぬし、ついでなのじゃ。

「その餌で後一人二人は差し出せと言うことだね。まあ仕方ないね、薬研をあれで片づけられるのは大助かりだからねえ」

 実際必須の生活魔法なのじゃ。一昨日や今日のお手伝いでも<洗浄>をこちらで掛けねばならぬのは少々面倒であったのじゃ。


「屋台に参加すると言うたが大体はミチカ任せさね。代わりに店番なんかは若手の調合師を連れて行って構わないよ」

「それは助かるのじゃ」

 そう言うて屋台の話を一旦切って婆さまは話を変えたのじゃ。


「その子ども等の教室、冒険者協会だからその仕事のことも少しは教えるのかい」

「基本的な体術程度と近辺の魔物の知識くらいはやる予定なのじゃ」

 わらわの答えに婆さまはアイラメさんになにやらメモを取るよう指示しつつ言うたのじゃ。

「ふうん、なら薬草をきちんと採集できるように教えるものを遣ろうかね」

「それは現役の冒険者の中にも受けたいものがおりそうなのじゃ」


「やる気がある子どもがいたら見習いに取ることも構わないよ」

「ありがたいのじゃ。アイラメさんは小さい後輩をいじめぬようにの」

 わらわの軽口にアイラメさんが膨れたのじゃ。

「ミチカさんはあたしをどういう人間だと思っているんですか!」

「いじめぬかも知れぬが無駄に大きい胸を張って先輩風を吹かせようとするとは思うておるのじゃ」

 婆さまが重々しく頷いて言うたのじゃ。

「そうさね。アイラメは自分がうろ覚えでも適当なことを自信満々に人に教えるんで危ないね」


「ちょっと! お師匠まで」

 アイラメさんが抗議の声を上げるのじゃが、狐の人も目を逸らして擁護はせぬゆえまあ調合師の中でもそのような評価なのじゃな。

「それはどうでも良いとして、なのじゃ」

「どうでも良くないですよ!」

 アイラメさんの声は黙殺して、ちょっと訊いてみたくあったことをこの機会に尋ねておくのじゃ。


お読み頂きありがとうございました。

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