表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/247

伊達について考察するのじゃ

こんにちは。

前話が見直すと読みにく過ぎで多少改稿しました。余り改善できてないのですが。

少しでも展開を圧縮しようと前々回あたりから詰めてみてるのですが出来の悪い箇条書きになってしまい失敗です。

前書きが長くなりましたが試行錯誤して行こうと思っておりますのでこれからもよろしくお願いします。

 見物客等は物珍しげにそこかしこと見回っておるのじゃ。メイドさん等は業務上の興味で確認して回っておるようであるのじゃがの。

「石に施す彫刻類も祈祷で行っているのですね」

「わらわが立っておる大地に触れておる土と石のみを操れるのじゃ。ただやはり細部までは綺麗に仕上げるのは難しいのじゃ。暇なときに手作業で手直ししていかねばならぬであろうの」

 ベルゾの壁面に刻まれた彫刻を見ながらの質問にそう答えたのじゃ。ただ、細部の加工も以前に比べて格段に向上してはおるのじゃ。うむ、展開する場所が悩みどころなのじゃが無尽庵の改装も行わねばならぬのじゃ。


「しかし土や石が対象ゆえ木材は加工できぬのじゃ」

「と、言うところでワタクシの出番というわけデスよね、お嬢さま」

 話に入ってきたのが材木問屋のご隠居の連れてきた内装屋なのじゃ。初老の男なのじゃが、なかなかの伊達男でこの辺りではあまり見ぬ口ひげをきれいに脂で固めておるのじゃ。妙に高いテンションは気にかかるのじゃが職人であると同時に芸術家よりであると考えれば許容範囲なのじゃ。


「階段の手すりからお嬢さまの執務室や各部屋の内装までやることは多いデスね」

 オーバーアクション気味なのじゃが仕事のやる気にはあふれておるようなのじゃ。わらわの祈祷を駆使したマジカルビルディングに驚きはしても取り乱さず己の仕事を見極めておる仕事人なのじゃ。

「其方の差配でほかの工房に下請け仕事を回すならそれは構わぬのじゃ。ちゃんとしたものが仕上がってくるのならばなのじゃが」

「それは当然デス。石の建物で少し不安だったデスが中は木造でよかったデス。任せてくださいね」

 この伊達男は船の内装が本業という話であったのじゃが、確かに船内は木造なのじゃ。あるいはこの伊達ぶりは西方カブレなのやも知れぬの。西方域が造船の本場であるのじゃ。


 どうでも良いことなのじゃが伊達家なぞこの世界にあらぬのじゃ。ゆえに伊達家由来の言葉は通じぬ、と言いたいところなのじゃが帝国の初代皇帝が「ダテじゃない!」と言う叫びを何度も上げたことにより音そのままの「ダテ」は微妙に通じるのじゃ。伊達男、は通じぬと思うのじゃがの。


 なんにせよ、この伊達男に作り付けで作ってもらうものと出来合いの家具を買って据えるものとをざっくり話すのじゃ。モリエ等の部屋の調度も放っておくと最低限割れするゆえわらわが部屋に付いておるものとして揃えておくことにしたのじゃ。わらわの独断なのじゃ。

 内装で特筆すべき仕込みは隣り合うサーデとマーセの部屋のウォークインクローゼットなのじゃ。共用になっておりクローゼットを通って互いの部屋を行き来できるようになるのじゃ。


「おー、なんか秘密の通路で格好いい!」

「けど二人合わせても服なんてそんなないよ」

 その予定の場所分の穴が壁に開いておるのじゃが、その穴を前に双子等へ説明しておるのじゃ。

「服はこれから揃えてゆくのじゃ。春で一応大人になるのであろ。既に成人しておるモリエもの。それとの、そのクローゼットに一応の備えで槍掛けも置いておくのじゃ」

 サーデの部屋に飛び込んで槍を持ってマーセの部屋から出てくる、と言うようなアクション用なのじゃ。実際に使う機会があっては困るのじゃがの。秘密の通路感は増して双子等は満足そうなのじゃ。

「うん、狭いとこで使う短い槍を見に行かないとね」

「自分の部屋があるのも嬉しいし、廊下に出ずにすぐに行き来できるのもいいね」


 他のものの私室予定の部屋も一緒に確認しながら回り、伊達男とは作業の優先順位を話し合っていくのじゃ。

 わらわ、雪の椿のメンバー、メイドさん等と言う住むものの部屋を最優先に、その後玄関ホールや応接間の内装と言った来客対応に必要な場所から順にやってもらうことにしたのじゃ。

 材木問屋のご隠居に必要となる材木に関しても確認をしっかりと行ったのじゃ。女子の部屋はローズウッド、男子の部屋はクルミ材、応接間や食堂はマホガニーと言う材の使い方も確認しておるのじゃ。


 そして魔法具職人と内装職人が話し合って灯りに関しては取りまとめておるゆえわらわは承認するだけなのじゃ。

 お手洗いは<洗浄>式水洗トイレとなるゆえ各階に複数設置して問題あらぬのじゃがこれには見物人等が驚きと羨ましさを表しておったのじゃ。うむ、間違いのう羨ましかろうなのじゃ。


 今日出来る仕事があらかた終わったあたりでちょっと使いに出てもらっておったミルケさんとマキネさんが馬車で戻ってきたのじゃ。ミルケさんだけで良かったのじゃが、マキネさんは何か仕事が欲しそうだったゆえついでに頼んだのじゃがの。

「この辺りの風習は知らぬのじゃが、新築の棟上げで祝儀として酒や食べ物を饗応する地方もあるそうなのじゃ。とりあえずあがなって来てもろうた葡萄酒とツマミを取るが良いのじゃ」

 二人があがなって来た酒樽を手近におったオルンとジーダルに下ろしてもらい、見物人等にそう告げたのじゃ。

「机や椅子がのうて建材の余りに座るくらいしか出来ぬゆえ落ち着かず帰るが良いのじゃ! 大工衆は別に瓶でも用意しておるゆえ土産に持って行くのじゃ」

 そう告げて、わらわは水で乾杯と相成ったのじゃ。


 もう見世物は終わりなのじゃ、と言う宣言が通じたようで建材に直座りして酒食を行うような立場にあらぬ連中から帰り始めたのじゃ。ただ、其奴等は立場があるゆえ出来しゅったいの挨拶も長いのじゃ。

 まあ残ったのは職人や冒険者、そしてメイドさんとミルケさん、帰るタイミングを逸したのかアイラメさんと狐の人なのじゃ。職人や冒険者はタダ酒を残して帰るという選択肢があらぬゆえまあ当然なのじゃ。


 アイラメさんの狙いはなんとのう判ったのじゃ。

「二人はあの婆さまも来るのじゃから、明日も食事会の手伝いに来てくれるかや?」

「はい、賄いは……、痛い、痛いです!」

 ついアイラメさんにチョップしてしもうたのじゃ。頭を押さえるアイラメさんの様子にクスクス笑いながら狐の人は快く了承してくれたのじゃ。

「はい、是非お手伝いさせてください。頑張ります」

「うむ、よろしく頼むのじゃ。アイラメさんは婆さまの食事のお手伝いが必要やも知れんゆえそちらで」

「元気! 師匠は迷惑なほど元気だから食事にお手伝いとか要りません! あたしも手伝いますから」

 確かに矍鑠とした婆さまであったのじゃが、ストレートに己の師匠を迷惑なほど元気と表現して良いものであろうか、いや良くあらぬのじゃ。思わず反語表現なのじゃ。

 わらわと狐の人のジト目で失言に気づいたアイラメさんがわたわたしておるのじゃがそれはもはやスルーなのじゃ。


 職人さん等からは土木魔法への絶賛を受けておるのじゃが、どちらかというと遠くから乾杯されるだけなのじゃ。うむ、畏れられておるのは悪いことにはあらぬのじゃ。皮革細工の工房にもわんこの人がおったのじゃが職人は案外獣人が多いようで狸っぽい頭の人や犬耳の人がおるゆえちょっとだけ興味はあるのじゃがの。


 と、ジーダルが呼んでおるのじゃ。

 冒険者チームがだいたい固まって飲んでおるのじゃ。いや、ジーダル、オルン、そしてセイジェさんの三人以外は修道会チームでもあるのじゃ。

 モリエと双子等はその集団に混じらずわらわと移動しておるゆえの。

「どうしたのじゃ、ジーダル」

「おう。思ってたより大分とでけえな、この屋敷」

 見上げると確かにでかいのじゃ。ちょっと呆れるほどであるのじゃ。


「そうじゃの。ま、狭いよりはいろいろ出来るゆえ良いのじゃ」

「オルンたちを護衛に雇うのはいい考えだが、別にもう一人引退冒険者あたりを雇わねえか? 力仕事なんかもしてもらえばいいしよ」

 確かにオルン等も自分等の活動があろうしの、悪うはあらぬ考えなのじゃ。

「あてがあるのかや?」

「ああ、引退すると言ってる知り合いがいる。よければ紹介するが」

「其方の知り合いならば会ってみるとするかの」

 ジーダルより少々年上なのじゃが九級止まりで実力はそこまであらぬがまずは信頼できる男だという話なのじゃ。


 そんな感じで皆と会話を交わし、いや職人さん等とはあまり会話が成立せんかったのじゃが、酒が尽きたところで散会となったのじゃ。


お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ