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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
クラムチャウダーを作ったりポーションについて学んだりするのじゃのじゃ少女
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よし、クラムチャウダーなのじゃ!

こんにちは。

今日もよろしくお願いします。

 先ずは蛤の話なのじゃが、この辺りでは煮るだけか焼くだけの調理で食べておるようなのじゃ。まあそれでも美味しいのが貝ゆえ問題はあらぬのじゃ。

 潮干狩りなぞをした後には貝塚を築くほど貝を食した縄文人へのシンパシーを感じるほどなのじゃ。

「私たちの故郷は内陸のほうに入ってるから貝ってあまり食べた覚えがない。マインキョルトに出てきてから何度か食べてはいるはずだけど」

「なんかくにゅくにゅしてる奴だよね?」

「この城市で食べた食事に結構入っておったのじゃがの。調理するところから見ねばならぬのかの」

 話してみるとボンゴレビアンコのような殻付きで調理されたもののイメージはあるのじゃが、身だけになっておるとあまり何かを気にせず食べておったようなのじゃ。くにゅくにゅと食感を語ったサーデはなかなか考えて食べておることが分かる話なのじゃ。


「殻から駒を作るのが目的ゆえ今回は茹でて身を外すことが決まっておるのじゃが、今度魚介をいろいろと調理するかの」

「おー、楽しみ」

「興味あるね」

「蟹の修道会風チーズ焼き、ぐらたん? も考えてみたら海のものだね」

 うむ、そうなのじゃ。頭の中がかなり和食に傾いておって、醤油のあらぬ環境では難しいのじゃ、と考えておったのじゃが一旦和食のことは忘れて魚介料理を考えるのじゃ。

「海の日には海産物を神殿にお持ちする約束でしたね」

「そうであったのじゃ。ではその折りには貝も頼むのじゃ。持ってきてもらおうという身で横着な言いなのじゃが」

 そう言えばそう言う話もしておったのじゃ。うむ、神殿もしくは修道会本部の厨房は祭りの屋台でも使う予定ゆえ確認を含めて使っておくのじゃ。


「喜んで準備いたしますよ。他にもご要望があればおっしゃっておいてください」

「リーディンの許可が貰えたならばなのじゃが、いっそその日に街の子ども等のことやら祭りの屋台やらで労をとってもらうものを招いて会食でもするかの。情報交換を含めて、なのじゃ」

 無論其方もなのじゃ、とタンクトップおじさんに言うと非常に喜ばれたのじゃ。

「噂を聞きましてね、『鳥籠と熊』亭に行きたいと思っているのですが予約を取るのにも一苦労な状況なんですよ」

 ほう、熊さんのところは大繁盛なのじゃな。よいことなのじゃ。多少苦労はあろうが調理関係でわらわにかかる苦労や面倒を少し受け持ってくれるであろうことを期待しておるのじゃ。

「考えてみれば修道会風チーズ焼きと言いながら神殿で出したことがあらぬのは如何なものなのじゃ。一品は決まったのじゃ」


 許可を、と言いつつ貰えぬこともあるまいと持ってきてもらう海鮮素材について話を詰めておくのじゃ。

 案外人数が膨らむゆえ神殿の食堂でリーディンに同席するものと修道会本部で食べるものとに分けるかの。食材もかなり必要となるのじゃが、とタンクトップおじさんを見るのじゃが鷹揚に頷いておるのじゃ。

 こちらも野菜やハーブ類を発注しておく必要があるのじゃ。ついでにいろいろと訊いてみると判ったことや有益やも知れぬことが出てきたのじゃ。

 先ず、地引き網などにかかる海藻は概ね畑の肥料にされておるのじゃそうな。これは見分けんぶんさせてもろうて昆布や若布なぞを取り分けてもらわねばならぬのじゃ。天草の類があらば寒天を作れるゆえそれもあらば嬉しきものなのじゃ。


 そして流通する量ではあらぬ程度の、船乗りが手荷物で持ち込んだ食材や調味料と思われる珍品がいくらかストックされておるそうなのじゃ。普通手荷物枠で持ち込むのは売れ線の定番品であるのじゃが、たまにチャレンジャブルな船員がおるのじゃそうな。

 ちなみに手荷物として持ち込んだもので小口の交易をするのは遠距離航海の船員の権利というか報酬の一部なのじゃ。航海士なぞの高級船員は函一つ分の持ち込み枠を有しており、最下級の船員は袋一つ分と言う風になっておるわけなのじゃ。

 それで大きく儲けを得ることが出来るかどうかはそのものの才覚に依るのじゃが、定番の品や船が交易品で積むのと同じものにすれば普通損はないのじゃ。で、定番で満足できぬ冒険的な輩がそのチャレンジに失敗した品物を港湾協会が引き受けてやったりするそうなのじゃ。

 港湾協会に余り得はあらぬのじゃが船員の生活支援は大きな視点で得があるとされておるのと、極稀に時間をおいて高く売れるものが混じっておったりもするゆえその利益還元なのじゃそうなのじゃ。


 そう、わらわはそこに薬種問屋でも持て余しておった茸類があると見たのじゃ。この辺りでは全く人気のあらぬ茸類なのじゃが、それを品薄であるゆえ売れる、と誤解したとき持ち込むものが存在するのじゃ。

 他にも思わぬ品があるやも知れぬゆえ見せてもらうのじゃ。

「工芸品とかであればとりあえず買い取っておいて、そのうち引き取り手が出てくりゃいいんですがたまに食材や調味料を持ってくる奴がいるんですよ」

 タンクトップおじさんは愚痴るのじゃが、それこそわらわには狙い目なのじゃ。しかし乾物やらの保存食はともかく食材は何事とか言うべき莫迦なのじゃ。

 しかし、莫迦最高なのじゃ! ありがとうなのじゃ、莫迦。

 タンクトップおじさんに連れられていった倉庫にあったのは、ジャガ芋なのじゃ!

 芽が大分伸びておるものもあるのじゃが、麻袋に詰まったジャガ芋がそこにはあったのじゃ。


 思わず喜びの踊りを舞うのじゃ。双子等もつられて踊っておるのじゃ。

「それは毒があるし、毒としての利用にも適さないと言われたんですが。正直捨てようかと思っていた品ですよ」

「毒があるのはこの芽の部分なのじゃ。芽を除けば食して問題ないのじゃ」

 言いきってから思うたのじゃが、前世のジャガ芋と全く同じである保証はないのじゃ。しかしまあわらわには<毒見>や<浄毒>もあるのじゃ。

「向こうを通関出来ておるゆえ種苗の禁輸品に含まれておらぬのかの。西方域でも重要視されておらぬのじゃろうか」

 ある程度は種芋にせねば、と踊り終わって芋を手に取ったのじゃ。

「西の大陸から西方域に運んだが売れず抱えたまま北方まで流れてきたようですね。西方でも毒芋とされてるようです」

 西の大陸ロメク・エフィで日持ちする食用品としてあがのうたものの、西方でも毒芋とされておって売れず、僅かな望みとともに北方まで持ってきてやはり売れず、と言うことらしいのじゃ。


「西方域で捨てて、代わりにまともな交易品をあがのうておけば結果としてそのほうがその船員の懐は潤ったであろうにの。まあおかげでわらわはジャガ芋を得ることが出来ておるのじゃが」

「毒芋だと判ってるのにこの港で売ろうとした莫迦に泣きつかれ、買い取ってやる義理があるのかどうか悩んだものですが、マーティエがお喜びなら良しとしましょう」

 タンクトップおじさんはそう言うて肩をすくめたのじゃ。まあ確かにその船員は大概な莫迦者なのじゃ。しかし、なのじゃ。

「うむ、その莫迦に感謝なのじゃ」

 種芋を分けても結構使えるのじゃ。とは言え西の大陸との直通航路はあらぬゆえ大事に使つこうて行かねばならぬのじゃ。神殿での食事会で使つこうてズークさんあたりに農場を紹介してもらうのは確定として、折角ゆえ今ここで蛤の身と合わせて調理するのじゃ。


「よし、クラムチャウダーなのじゃ!」


お読み頂きありがとうございました。

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