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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
仮縫いに行ったり遊戯に興じたりするのじゃのじゃ少女
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双子等と勝負なのじゃ

こんにちは。

今日もよろしくお願いします。

「勝負だよ、ミチカ!」

「ミチカちゃん、お覚悟!」

 感想を取りまとめたり大会に向けての問題点を話したりしておったらいきなり双子等が勝負を挑んできたのじゃ。

「うーむ。王と鯱では定石の積み重ねが足りぬゆえわらわに勝つことはほぼ不可能なのじゃ」

 もう少し経験を積まぬとの。

「だから二人懸かりだよ!」

「ふむ、それでも無理だとは思うのじゃがやるだけやるかや。盤二つをこれへ」

 遊戯盤、十九路ではのうて十三路なのじゃが、これを二つわらわの前に据えてもろうたのじゃ。


「ではやるのじゃ!」

「なんか思ってたのと違うけど行くよ!」

 二人を同時に相手取るのじゃ。とは言うてもそう難しくはないのじゃ。

「よくできますね、そんなこと」

「所詮定石の組み合わせ作業なのじゃ。並列思考と呼ぶほどにもあらぬのじゃ」

 父さまはわらわと弟等二人、計三人懸かりを相手にしておったのじゃ。それでも全く勝てなかったのじゃ。むう、前世では随分と負け越しておる気がするのじゃ。

「片方を盤上戦チェスにしておけば流石に苦労するところなのじゃがの」

 父さまも三人のうち一人チェスにすると付け入る隙が生まれたものなのじゃ。そんな前世のことを思い出しながらパチパチと石を打つのじゃ。

 木製の石ではパチパチと石を置く爽快感が足りぬのじゃ。蛤の貝殻がどうなったかを聞いておきたいところじゃの。


「わー、負けだー」

「なんでー」

 考え事をしつつ打っておったら勝負がついたのじゃ。

「サーデが自分の模様を広げておるのを見てマーセは早めのヨセを仕掛けてくると言う左右で違う盤面を作ろうとした作戦はなかなか良いのじゃ。ただ、やはりもう少し経験が必要じゃの」

「ミチカとサーデ、マーセは考える時間を殆ど取らず打っていくので見ていて面白いですね。考えることも大事ですが大会での時間制限は必要でしょうし、ちょうどいい時間を定めたいですね」

 うむ、そうじゃの、とベルゾに同意しつつふと気になったゆえ卓に突っ伏す双子等に尋ねるのじゃ。

「して挑戦の意図はなんぞあったのかや?」


 何に考えもなくいきなり勝負を挑んでまいった可能性も普通にあるのが侮れぬところなのじゃが、今回はちゃんと目的があったのじゃ。

「ああー! 挑むときに言ってなかった!」

「言ってなかったから問題ないよ。もっかい勝負」

「それは却下なのじゃ。で、なにを言うてなかったのじゃ?」

「うどんだよ! ミチカ」

「ミチカちゃん、あたしたちが勝ったら屋台はうどんだよ。勝負!」

「もう勝負は済んでおるのじゃ! とりあえず屋台で出す料理の候補には入れておくのじゃ、安心せい」

 そう言えば双子はうどん好きであったのじゃ。しかし、考えるに悪くはあらぬのじゃ。カレーうどんっぽいものを出すのはカレー普及に関してもパンやナンより簡単で良い手なのじゃ。事前に仕込みさえしておれば屋台での手間はそう掛からぬのじゃ。


「いや、考えてるみたいだがトンカツがいいと思うぞ。カツサンドにすれば携行性もいいしな」

「おいおい、ジーダル。お前カラアゲ食ってねえの? 男ならカラアゲだろ」

 双子等の主張から変な諍いが発生しておるのじゃ。

「ふふっ、みんな考えが甘いわね」

「どういう意味なのじゃ、セイジェさん」

「ミチカちゃんはああ言うみんなの希望を聞いた上でその全部を裏切って驚かせるものを出そうとするわね」

「ああ、そうだよね。ミチカはそんなところがある」

 いろいろと見抜かれておるのじゃ。

「その驚かせるネタが先程エインさんのところで食したカレーパンであったのじゃがの。他にも考えてみても良いのじゃが、甘いものの屋台と食べ物の屋台で二つ出す上それと平行して遊戯の大会も開催しておるはずなのじゃ」

 単純に手が足りぬのじゃ。


「驚きのカレーパン。基本はカツサンド。今日の調理は作り置きしておいたものを売るだけで屋台を回せるように、ってことだね」

 今日の二品が屋台へ向けての試作であることが分かったようなのじゃ。

「流石よう分かっておるのじゃ。しかしうどんに唐揚げにと言われるとそれも悪うないの、と思うたのじゃ」

 カレーパンは揚げたてが美味しいのじゃが置いておいても大丈夫なのじゃ。そして売れ行きが良ければ揚げる時刻を定めて周知するという手法もとれるのじゃ。

「手が足りぬのは補えばよいのじゃが」

 わらわだけが頑張る必要なあらぬのじゃ。であらば誰に仕事を割り振るか、なのじゃ。ちなみにモリエの手はわらわの手の数に含めておるのじゃ。


「ベアルの店のようなところは屋台なども出さす完全に休暇を取っているのが普通のようです。なので調理の手としてなら使うのもありでしょう」

「ふむ、なるほどなのじゃ。作る料理のルセットを報酬として呼び出せば良さそうなのじゃ」

 わらわの考えておったのとはまた別の手なのじゃが、悪くないのじゃ。本来は高級店ゆえ屋台なぞ出さぬのであろうが神殿前に出張してもらおうかの。

「神殿前の広場は屋台の出店数が少ないので数を増やすのは喜ばれますね」

 無理にねじ込むことになるのではあらぬかというわらわの心配は杞憂と言われたのじゃ。で、あらばもう一つ分場所を押さえて置いてもらうのじゃ。


 よう考えればカレー普及はわらわではのうて調合師錬金術師匠合に投げても良いのじゃ。あるいは商業組合に、じゃの。

「了解です。組合長と匠合長の話し合いに条件として入れておくよう伝えますね」

「組合長に差し入れしておいたのが良い布石となったのじゃ。出す料理を作ってみせるゆえその日程の調整も頼むのじゃ」

 ミルケさんにお任せなのじゃ。ミルケさんの笑いがちょっぴり乾いておった気がするのじゃが、気のせいなのじゃ。

「其方等の屋台に対する要望もしっかりと聞いたのじゃが、まあなにを作ることになるかはお楽しみなのじゃ」

「応。楽しみにしとるぞ」

 棍棒の人やらは今日のカツサンドと菓子類ですっかり期待値があがっておるようなのじゃ。

「遊戯の大会の手伝いの礼はちゃんと報酬も出すのじゃが、屋台の食べ物も出すつもりなのじゃ。ゆえに遊戯を広めたり手伝いへ参加させたりの労を取ってたもれ、なのじゃ」


 と言うことで今日の遊戯の会は終了なのじゃ。有意義であったのじゃ。

 参加者と挨拶を交わしてお開きなのじゃが、わらわとオルン等雪の椿の面々はジーダル等の部屋の家具を見せてもらいその後住み込み護衛の件などを話し合うゆえ残ったのじゃ。

 オルン等の宿で話すつもりであったのじゃが、ジーダルの部屋で良いと言うてくれたゆえその言葉に甘えたのじゃ。ジーダルやベルゾとも話したり情報交換したりはしたいところであったのじゃ。



お読み頂きありがとうございました。

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