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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
仮縫いに行ったり遊戯に興じたりするのじゃのじゃ少女
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カレーパンを作るのじゃ

こんにちは。

今日もよろしくお願いします。

「来るときはまだ届いておりませんでしたが、今日あたり<回転>の魔法具が出来てくると義父が申しておりましたよ」

「ほう、それは楽しみな話なのじゃ」

 これはその報告、ではのうてエインさんのお家で調理して行かぬかというサジェストなのじゃ。

 確かに魔法具の出来にも興味はあるのじゃが、どうするかの。そう思うてミルケさんを見るとオーケーと言うか、むしろウェルカムと言った感じのハンドサインを出してきたのじゃ。

 ミルケさんを昨日今日と連れ回した結果大分気安い仲になったものなのじゃ。


「では一旦エインさんの所に戻り調理、組合長へのまいないも作って商業組合へ顔を出し、ジーダル等の宿へ向かうのじゃ。言葉にすると少々面倒くさいのじゃが、それで良いかや?」

 確認を取ると皆良しと言うことであったのじゃ。正直面倒は面倒なのじゃが、望まれておるのは嬉しいことゆえ異存はあらぬのじゃ。ただ手抜きで行くのじゃ。

 方針が定まったゆえちゃっちゃと動くのじゃ。と言うわけで女店主やマードと挨拶を交わして仕立屋を辞去してエインさんのお家へ戻るのじゃ。

 ちなみにマードによろしく仕事を頼んでおったらいつの間にかお針子さん等への差し入れをする約束を結んでおったのじゃ。わらわ等の衣裳の縫製刺繍に精を出すお針子さん等への、と言うのじゃがむろんマードや女店主への分もなのじゃ。侮れぬ交渉力なのじゃ。


 エインさんのお家ではエインさんも息子さんのオズンさんも戻っておったのじゃ。その二人の仕事の成果を聴きつつ<回転>の魔法具二つ、ミキサーとミンサーを確認するのじゃ。ハンドミキサーは回転速度も手元で変えれるようにつまみがついておって高性能なのじゃ。思っておったより一段上の出来上がりと言って良いのじゃ。

 ミンサーは作る側に余りイメージがあらんかったのであろうが、その代わりわらわの引いた図面通りの出来なのじゃ。こちらは使ってみねば評価できぬのじゃ。挽き肉を使ってカレー、うむカレーパンを作るのじゃ。

 油を使い回して差し入れなぞはカツサンドにするのじゃ。これはモリエが主になって調理できるのじゃ。


 と言うわけで厨房に移動するのじゃが、見物人も大量に着いてくるのじゃ。手伝うよ、とは言われてもこの厨房はそこまでの広さではあらぬゆえモリエ以外にはおとなしくしておいてもらうのじゃ。エインさんちの調理人も悪いのじゃが見学なのじゃ。

 おっと、パン種があらねばならぬのじゃが、うむ、あるのじゃな。

「今回は無茶をする気はないゆえ作業を先に確認してモリエにがっつり働いてもらうのじゃ」

「了解。なに作るの?」

「わらわのほうは双子等がカレーに興味があるようゆえカレーを使ったパンを作るのじゃ。これはカレー粉の量的にここにおるものと商業組合への差し入れでおしまいなのじゃ」

 具になるカレーを挽き肉のカレーにするのじゃ。作業はパン生地作りとカレー作り、カレーは前回のスープと違い汁気少な目なのじゃ。


「メインの差し入れはカツサンドなのじゃ。カツサンドは以前作ったことがあるはずなのじゃ」

「うん。パンは焼いてあるパンを使うんだよね? パン種はカレーのほうをパン料理といってるからそっちで」

「その通りなのじゃ」

 本当に話が早いのじゃ。

「問題はソースかな」

「うむ。厨房が出来たらソースの開発もやらねばならぬの。今日は葡萄酢をベースに作ってみるのじゃ」

 パン粉の準備、肉の下処理、卵や小麦粉の準備とモリエが指折り手順を確認しておるのじゃ。

「油はこちらでも使うゆえわらわが準備しておくのじゃ。あと卵を混ぜるときはこの魔法具を使つこうてみてたもれなのじゃ」


 カツサンドはモリエに任せておいて大丈夫なのじゃ。カレーパンのほうは生地の一次発酵、休ませる、カレーを包んで二次発酵と<経時>を多用するゆえ多少バタバタとするのじゃ。

 まずはカレー用の挽き肉作り、本題のミンサー試用なのじゃ。小さい刃物を螺旋状につけた棒が回転し、本体の方に固定された刃物との間で牛肉がミンチになっていくのじゃ。少々荒いのじゃが、充分なのじゃ。少なくとも手作業でミンチを作る気はせぬのじゃ。


 エインさんも実際に見てどういうものかやっとわかったようなのじゃ。

「今日はこの挽き肉であることをそこまで活かした料理にあらぬのじゃ。今度挽き肉でこそ活きるものを作るとするのじゃ」

「楽しみにするぞい。工房でも実際に肉をそうやって細かくさせて改良するだの」

「よろしくお願いするのじゃ」

 挽き肉料理はなにが良いかの。唐辛子が入手できたゆえ麻婆系も良いのじゃが、まあハンバーグなりメンチカツなりが無難なのじゃ。

 今回はカレーの具なのじゃ。

 ミンサーのなにが面倒かと言うとなのじゃ、細かな刃物の間や器具本体の洗浄なのじゃ。そうそれが<洗浄>一発で終わってしまう不条理なまでの便利さなのじゃ。


「今回は標準のカレー粉をそのまま使うのじゃが、汁気が少ない分昨日より少し辛目になるやも知れぬのじゃ」

「昨日は変わった匂いだと思ったけど、今日は美味しそうでおなかが減る匂いに感じる。不思議」

「そうですね。カレーの匂いって癖になりますね」

 ふふ、モリエとミルケさんはもうカレーの虜なのじゃ。ある程度煮詰めたらローリエやらを取り除いて冷ますのじゃ。

「変な匂い!」

「モリエが言ってたけど確かに不思議な匂い!」

 いまだカレーの魅力を知らぬ双子等はそんなことを言っておるのじゃが、それはすぐ覆るのじゃ。まあ辛くてダメな可能性もあるのじゃが。


 横目で見るとモリエは肉を一旦叩いて戻すといったわらわが教えた手をしっかり行っておるのじゃ。そろそろ油を<加熱>と<微風>で丁度良く熱しておくのじゃ。

 竈や石窯は本来火加減が大変なのじゃが、わらわは<微風>による酸素量コントロールと<加熱>による微調整でかなり細かな操作が出来るのじゃ。

 改めて魔法を多用したマジカルクッキングは便利なのじゃ。それだけの魔力と知識が必要となるとは言えテクノロジー差の大きい前世と比せる調理環境を構築できるのじゃからの。素材面ではまだまだなのじゃが。


 さて、生地のほうなのじゃが相変わらず高価なバターや卵を惜しげもなく使うゆえちょっとだけ悪い気がするのじゃが仕方あらぬのじゃ。

 <経時>で一次発酵を短縮、そして軽く叩いてガスを抜き一個分ずつに分割して休ませるのじゃがここでも<経時>なのじゃ。

「<経時>は魔力の消費量が多いとは言うが、やはり便利だの」

「うむ、魔法具にするだけの価値はあると思うのじゃ」

 エインさんは新規事業の魔法具について思い悩むことが多いようなのじゃ。そんなことを話しつつもう一回ひっくり返してガス抜きを行い広げるのじゃ。

 広げた生地にカレーを乗せ包んだらしっかり閉じるのじゃ。開かぬように注意なのじゃ。


 ここでモリエがトンカツ作りに使っておる溶き卵を拝借してつけ、同じくパン粉もつけるのじゃ。

「ああ、油だけじゃなくてそれも一緒のを使うんだ。なるほどね」

「うむ、わらわが楽を出来るよう考えたのじゃ」

「ふふ。けどそれをつけるってことはそのパンは焼くんじゃなくてカツみたいに揚げるんだね」

「そう言うことなのじゃ」

 と言うことで二次発酵なのじゃ。ラップが欲しいところなのじゃが、あらぬものはあらぬのじゃ。固く絞った布巾をかぶせて少し水気を与えるのじゃが、前世ではラップをかけた上で行っておったゆえ多少の不安を感じざるを得ぬのじゃ。と言うことで<経時>の途中で布巾は取り除くことにしてみたのじゃが、ふっくらと二次発酵も済んで一安心であったのじゃ。


 カツのソースもモリエが大体を作り、わらわがちょっと味見をして調整したことで完成したのじゃ。カツサンドはこれで問題なく出来上がるのじゃ。

 こちらのカレーパンも後は揚げるだけなのじゃ。

 じゅわじゅわあ、なのじゃ! いや水気過多で跳ねることを恐れておったのじゃがそんなことはなかったのじゃ。

 うむ、美味しそうに揚がったのじゃ。他の皆は見たことのあらぬ色形の食べ物ゆえか不審そうに見ておるのじゃ。ふふ、驚くが良いのじゃ。

お読みいただきありがとうございました。

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