ディアンドルとはバイエルン辺りの民族衣装でオクトーバーフェストで見るアレなのじゃ
こんにちは。
少し短めですが今日もよろしくお願いします。
♯ディアンドル自体の説明をしたかしてないか思い出せないためサブタイトルで説明しておくスタイル
揃いのディアンドルとは言うたのじゃが実際は少しずつ違うのじゃ。
一番大きな違いはわらわとモリエのはスカートであるのに対して双子等のはキュロットであるところなのじゃ。キュロットはセイジェさんのジュストコールセットのもののように膝でつめるのではなくストレートに開放型なのじゃ。前世基準じゃと普通なのはこちらなのじゃ。なのじゃが、女性の慎みに関する考え方から生足を出すわけにはいかぬゆえ太股まで覆う長い靴下を準備してあるのじゃ。
ストッキングのサイドに八つばかりのリボンが付いておりこれを締めることで脚の形を出すようになっておるのじゃ。ゴムがあらば一発なのじゃが足りぬ部分は手間を掛けることになるわけなのじゃ。
ちなみにわらわはしっかり締めた状態のストッキングを収納空間から出し入れできるゆえこのタイプのハイソックスも問題あらぬのじゃ。装着状態のセスタスを展開したのはこの応用じゃの。我ながらずっこいのじゃ。
「リボン締めるの面倒だけど可愛いし動きやすい!」
「動きやすいし可愛いね。リボン締めるのは面倒だけど!」
面倒さは兎も角好評なのじゃ。
「少し胸が強調されすぎじゃないかな」
「モリエのはそれでよいのじゃ。わらわや双子等のは諦めてもっと普通のボディスにしたほうがいいやも知れぬのじゃが」
ボディスと呼ばれる、いやボディスと呼ばれておったのは前世なのじゃが、とにかく丈の短い胴衣をコルセットスタイルにしておるのじゃが強調するほどの胸があるのがモリエだけなのじゃ。
「いやあたしはこのままで大丈夫じゃないかな」
負けを認めぬことも時には大切なのじゃ。サーデのその気持ちも理解できるのじゃがこの場はこのボディスもそのまま本縫いしてもらい、可愛さを優先したものも別に縫ってもらうとするのじゃ。
ガリガリと型紙を起こしておるとミルケさんが覗き込んできたのじゃ。そう言えばミルケさんは型紙自体を見るのは初めてじゃったのじゃ。
他のものはディアンドルを着た三人を評しておるのじゃ。
「そのブラウスは袖の肩部分が膨らんでて可愛いわよね」
「うむ、この部分には自信があるのじゃ」
スカートに履き替えたセイジェさんがそんな感想を漏らすのじゃ。褒めてもろうてなんなのじゃが、余り今の季節向きにはあらぬのじゃ。まあ春の衣裳の先取りということにしておくかの。
「エプロンに刺繍を入れるのですね。エプロンが飾りになるのは変な気持ちです」
「実用のつもりはなかったのじゃが、屋台の売り子に着せるのもありなのじゃ」
ジュストコールのような大物ではあらぬゆえそう時間は掛からず細かな直し部分などが確認できたのじゃ。新たに頼むボディスはその修正を元にやってもらうゆえ仮縫いなしでそのまま頼んだのじゃ。
その後の確認はセイジェさんのスカートと普通の衣裳、わらわの普通の衣裳、と別段問題があるはずもあらぬ品目ゆえ気楽な作業なのじゃ。
「さて、仕事を増やして済まぬのじゃが今回骨を折ってくれたエッツェさんと連日わらわの仕事をやってくれておるミルケさんに一着ずつ注文したいのじゃ」
少し落ち着いて茶を喫したわらわがそう女店主に言うたら二人が慌てて止めてきたのじゃ。
「ああ、違うのじゃ。むしろこのお店への宿題となるのじゃ」
何のことか判らずに女店主とお姑さんマードがギョッとした顔でこちらを見るのじゃ。
「ジュストコールのような上衣は大物過ぎて手に余ろうゆえ、ブラウスとベスト、そしてスカートとキュロットじゃの。わらわではのうて其方等が型紙を起こすのじゃ」
わらわが起こしたものを参考に出来るゆえそう難しい宿題にあらぬのじゃ。既存の服をバラして型紙化したり紙を布代わりに体に当てて考えたりと言ったやり方も教えておくのじゃ。
「と言うことで二人は練習台になってやるというお仕事なのじゃ。型紙作りに失敗しておると仮縫い時にやり直しになるゆえ何度かつき合う気持ちで頼むのじゃ」
「そう言うことでしたら」
「こちらからもお願いいたします」
頷くエッツェさんに女店主が礼をしておるのじゃ。練習にやる気を出しておるようなのじゃ。
「新しい技術とは言うても与えられるだけでは身につかぬのじゃ。使いこなせるようにならねばの」
「まこと、その通りですわね」
マードは嫁である女店主や周りのお針子陣を見回しながらそう言うたのじゃが、皆やる気に満ちておるようで一安心しておるのじゃ。
「けど、キュロットですか」
「まあ受け入れられがたいことも考えてスカートも頼んだのじゃが、セイジェさんのを見て問題はあらんかったであろ。ミルケさんもエッツェさんも働く女であるのじゃから動きやすい衣裳があっても良いのじゃ」
「そう言うものですか」
ミルケさん的には余り自分の選択肢としては考えておらんかったのじゃな。まあパンツルックをするのは女性冒険者くらいじゃと言っておったし当然と言わば当然なのじゃ。
「商業組合でミルケさんが着ておれば注目を集め、それで流行になればこの仕立屋の名も上がりミルケさんはお手柄なのじゃ」
そうやってミルケさんを丸め込んでおると石屋が到着したそうなのじゃ。
「では採寸と布選びをやっておくのじゃ。それとも石屋とのやりとりにも付いて来るかや」
石屋との話し合いはこの縫製室ではのうて応接室になるそうなのじゃ。
ミルケさんとエッツェさんが話し合った結果エッツェさんが採寸でミルケさんは付いて来ることとなったのじゃ。多少信用が薄い気がする我が身なのじゃ。
わらわ、女店主とお姑さんマード、ミルケさん、メインになる仮縫いのジュストコールを着直したセイジェさん、これにお針子さんが連絡要員やお手伝いに二人付いて結構な人数なのじゃ。
ゆえに双子等と双子等を監督する役目のモリエは縫製室に置いて行くことになったのじゃ。護衛に関してはセイジェさんがいるから大丈夫、と言うことにしたのじゃ。
お読みいただきありがとうございました。