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眠い、眠いのじゃー

いらっしゃいませ♪

今日も二話更新です(1/2)。

次話は21時更新予定です。


 そのまま歩いて高級な住宅街区に紛れ込んだのじゃが、邸宅の前などに明かりが灯っておるのじゃ。いくつかの邸宅では、<光明>の生活魔法がかかっておるのか普通の松明や灯篭ではなく魔法の光が灯っておる、すごいのじゃ。ファンタジーなのじゃ。魔法を封じた魔法具と言うものもあるゆえそれかも知れぬの。孤児院では見なんだが魔漿石を使うランコストがかかるものの案外あるものらしいのじゃ。

 魔法を使った贅沢に驚くものの、反面、足下の街路は石畳ではなく土のままなのじゃ。そのくせ馬車を使いたがるゆえ路面は轍でひどいものなのじゃ。


 そう言う観光気分は兎も角、巡回の夜警がおるやも知れぬのが問題なのじゃ。それぞれの邸宅で衛士を雇っておるであろうゆえ、公的な夜警の見回りはない、という可能性に賭けてみるか、別のルートを模索するかなのじゃ。

 咎なき夜警どもを始末するのは他に方法があらねばばやるしかないのじゃが、やらずに済むのであればやらずに済ませたいところなのじゃ。

 当たり前なのじゃ。


 と言うわけでその当たり前の選択の結果、眠たい目をこすりながらやって来たのは中央広場なのじゃ。何度か夜警を避けるため路地に身を潜めたのじゃが、潜めておるうちに寝そうになってやばかったのじゃ。

 ちなみに中央広場は石畳なのじゃ。


 目的地は広場に面しておるこの城市の正神殿、朝にはラーリとクードンが来る予定の所なのじゃ。規模は違うのじゃが構造的には孤児院のある神殿と似通っておるゆえ建物の配置なぞはわかりやすいのじゃ。

 八つの鐘を鳴らし終わり一つの鐘まで無人となった鐘楼塔の木戸まで誰にも見つからず辿り着く。木戸を取得、と思ったのじゃが蝶番や閂のことを考えて枠の部分から収納なのじゃ。そして中に入ったら取り出して元通りなのじゃ。


 真っ暗な室内を手探りで階段を探して、安全を考えて四つん這いで塔を登るのじゃ。

 塔の内周の階段は基本登る方向が反時計回りだよ、と教えてくれたのは父さまなのじゃ。確かにここもそうなのじゃ。攻め込んで登ろうとする側は右が壁となっており剣を振るう邪魔になるのじゃが階段の上から降りてくる守勢は右手を自由に振るえるゆえ有利になる、と言う説明が正しければこの世界でも通用しそうな常識なのじゃ。


 そんなことを考えておったら直ぐに天辺の鐘楼台なのじゃ。夜じゃが充分よい眺めなのじゃ。星空もやはり圧巻なのじゃ。

 孤児院のある方は街に灯りがないゆえ判別つかないのじゃ。

 というのはさておき、ゴドノローア卿の屋敷!


ー現行レベルにおける射程の制限範囲外。取得の実行をキャンセル。


 ちっ。舌打ちなのじゃ。

 しかし、今のレベルでは、と言う説明である以上そのうち行けるのじゃ。むしろその方がびっくりなのじゃ。

 ダメもとで試してみた取得は失敗したゆえ、当初の目的通り高い視線でゴドノローア卿の屋敷に向かうルートを確認するのじゃ。


 屋敷自体は噂しか聞いたことがなくても直ぐに判別がつくのじゃ。権勢を示すため一区画をまるまる占めておる過剰なまでに豪勢で派手な屋敷なのじゃ。領主さまの城館と城市の庁舎を除けば、つまり私的な建築としては最大のものゆえ誤認の心配はないのじゃ。


 ルートを確認し終わったら眠たい体にむち打って行くのじゃ。あと、寒いのじゃ。こんな夜更けに出歩くものじゃないのじゃ。

 ゴドノローア卿の屋敷は一区画占有しておるゆえ逆に近づきやすいのじゃ。裏道を選べば直ぐ行けておった気もするのじゃが、ちゃんと確認した方が確実ゆえ判断ミスではないのじゃ。これは本当に、なのじゃ。


ー収納空間の出納口を展開。

ー出納口より投擲短剣を取得。投擲短剣を収納。投擲短剣(1)

 

 一瞬、ゴドノローア卿の屋敷の塀から動くものが見えた、と思った瞬間とっさに収納空間の出し入れ口を自分の前に広げたのじゃ。前にも広げたまま、姿勢を低くして後背にも背負うような形で斜めに二つ目の出納口を広げる。


 気づかれたと判断したのか投擲短剣を投げたと思しき者は塀から飛び降り黒っぽい土色の服に身を包んだ姿を現すや、一瞬の躊躇もなくわらわに向かって駆け寄ってきたのじゃ。

 待ってやる義理もないゆえ対象指定して収納なのじゃ。そしてほぼ同時にもうひとつ収納のログが流れたのじゃ。

 気づかれていないと判断しておったらしいもう一人が別の邸宅の塀の上からわらわに飛びかかろうとして後背に広げておった出納口へ飛び込んだのじゃ。


 それを確認する暇もなくゴドノローア卿の屋敷を取得、収納したのじゃ。増援なぞが出てきても面倒なだけゆえサクサクなのじゃ。

 ふむ、隠密かと思っておったら収納を確認すると暗殺者(2)だったのじゃ。おお、剣呑剣呑なのじゃ。



お読みいただきありがとう御座いました。

次話で第一章完となります。

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