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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
物件を見に行ったりカレースープを作ったりするのじゃのじゃ少女
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物件は会議室に建っておるのでなく現場に建っておるのじゃ

こんにちは。

今日もよろしくお願いします。


 さて、ざっと懸案事項を片づけてやっと本題なのじゃ。

「はい、こちらが紹介できる物件のまとめとなっております」

 ぬう、またミルケさんに機先を制されたのじゃ。と言うわけで物件探しなのじゃ。

 港湾区画に隣接した倉庫街の物件、城市を貫いて流れる河や水路沿いの倉庫、このあたりが人気の高くつまりお値段も高い物件なのじゃ。城壁近くや河の東側の開発地区なぞの中心部から遠い物件はぐっとお安くなるのじゃ。城壁近くでも城門に近ければ少し人気が上がるゆえ中間層じゃの。

「そっちに分けてあるのはなんじゃ?」

「現在のマインキョルトはマインキョルトとジックキョルトと言う二つのキョルトが合併して出来てるのですが、北側の港がある旧マインキョルト地区の方が地価が高いのです。旧ジックキョルト地区の南端の方だとかなりお安いのですけど港まで馬車でも結構な時間が掛かりますね」

 と言うことで一応南側の物件情報も持って来てはおるもののお勧めは出来ぬと言う枠なのじゃそうな。


「港までなら近くの漁村からの方が城市の一番南からより早く着くかも」

 モリエの注釈でお勧めせぬことにも納得なのじゃ。と言うかマインキョルトの大きさが判るような判らぬようになるような話なのじゃ。

「マイン河の東側も最近城市に組み込まれたので土地に余裕があるのですが、交通の便が悪くてですね」

 要は橋の数が足りておらぬゆえ馬車が渋滞するとのことなのじゃ。積み荷を満載した川船が行き来しおるゆえ背の高いアーチ橋か跳ね上げ橋である必要があるのじゃが、つまりそれだけ高い予算が必要になるのじゃな。

 なんにせよ荷物を配達してもらうのに支障があるゆえここもお勧めせぬ枠なのじゃ。

「結局北側で厨房を増設したりしてもいい倉庫か、収納が大きくてちゃんとした厨房のある家のどちらかだね」

 そう言ってモリエがお勧めしない枠の資料を退けるのじゃ。うむ、ついお勧めしない枠を読み込んでおったのじゃ。


 確かに無謀にも東側で高級な料理店を出してあっという間に潰れてしまった物件なぞは見ていて面白いのじゃが、己の物件探しの役には立っておらぬのじゃ。まじめに見るかの。

「人気の高い地区の倉庫は火を使えないところが殆どですね」

「多少面倒にはなるのじゃが厨房と倉庫を別に借りるしかないかの。ん、この物件についておる印はなんじゃの?」

 大きく赤でチェックが入っておる物件の資料があったのじゃ。

「あ、それは登記と現状が大きく違う物件です。それは二棟並びの倉庫となっていますが火事を出して一棟は焼失、残っている一棟も外壁の焼けと屋根の一部が壊れているはずです」

 その火事で所有主の商会が潰れて商業組合の管理物件になっているそうなのじゃ。そう説明しつつも少し困った顔をしておるのじゃ。

「と言うか、お勧めしない枠に入れてたつもりだったんですが」


「ふむ、そう言う偶然はなんとなく因縁めいておるのじゃ。他にピンと来るものもなし、それを見に行ってみるかの」

「物件の資料見るのに飽きた?」

 流石モリエは鋭いのじゃ。正直、その通りなのじゃ。

「そうとも言うのじゃ。しかしの、焼け跡の方に厨房付きの家を建てて倉庫と繋げて使えば諸々の問題が解消されるのじゃ。場所も小さい水路に面しておる上、港にもそこそこ近うて便利なのじゃ」

「組合管理地ですのでお貸しするのでもお売りするのでも適正な価格なことは保証できます。けど建築になると改装と違って少々時間が掛かりますよ?」

 ミルケさんの言いは尤もなのじゃが、それはわらわでなければ、の話なのじゃ。


「わらわが大体の部分は祈祷で建ててしまうゆえ建材の確保と手伝い程度の大工がおればそれで大丈夫なのじゃ」

「ええーっ?」

「はて?」

 驚かれたことにちょっと驚くのじゃ。

豚鬼オークとの戦いの時に空壕からぼりを作った祈祷とかで出来るの?」

「うむ、その通りなのじゃ。<掘土>と<埋土>でも基礎工事くらいは出来るのじゃがの」

 ああ、モリエは見ておったゆえ納得するのじゃが、見ておらぬと予測の外なのじゃの。

「はぁ、そんな魔法まで使えるのですね。いろいろ聞きはしてるんですけど想像がつかなくて」

「大丈夫。ミチカのやることは見てても頭が追いつかない」


「ひどい言われようなのじゃ。それは兎も角工事は簡単に済ますゆえ問題あらぬのじゃ」

「はい、承知しました。土木魔法とか言われる魔術を使う魔術師もごく少数ですがいらっしゃいますので年齢を別にすればあり得ないわけでもないですよね。うん」

 なにか自分で納得しておるのじゃ。しかし土木魔法とか面白そうなカテゴリーなのじゃ。興味を持つと判っておったのか、すぐにモリエが教えてくれるのじゃ。

「魔力はあるけど戦闘は苦手とか、そう言う人が魔術で戦闘以外の仕事をすることがある。その手のお仕事」

「貴族の専属も護衛込みのお仕事ですからね」

「なるほどの。昨日ベルゾに紹介してもろうた者等は魔漿石や魔法具に魔力を込めたりしておると言うておったのじゃが、いろんな仕事があるものなのじゃ」


 現地を見て現状確認後、納得したら即契約という話になったのじゃ。賃貸でも買い取りでもどちらでも良いとのことであったのじゃが、話し合った結果好きに改築できるよう買い取ることにしたのじゃ。

 それもあって少々出納具合が判らぬようになってきたゆえ、イセンキョーで収納した商会や貴族の館にあった金貨や銀貨の類を預け入れしておこうかのとは考えたのじゃ。とは言え櫃に入っておるほどの量をいきなりは出せぬゆえかさばらぬ金貨を袋で出すとするのじゃ。

「はい預け入れですね。先程の書類でアーネヴァルト修道会の口座も開設認可が済みましたので少し鑑札の内容が変更になります。新しい鑑札を準備しておりますので少々お待ちくださいませ」

 作って数日であるというのにもう鑑札が新調されるらしいのじゃ。


 理由を訊いてみるとわらわの場合は商会ではのうて修道会なのじゃが、個人ではなく商会なぞの法人格で口座開設と言うのは本来それなりに資格や審査が必要らしいのじゃ。わらわが代表として開設し、ベルゾにもアクセス権があるという形なのじゃな。

「と言うことはベルゾも商業組合の鑑札を持っておるのかや」

「新しく発行いたしました。口座のことは商業組合に属していないと余りご存じないようでいたく感心なさっていましたよ」

 口座間のやり取りで決済できると言うのはホンに便利なのじゃ。ただ、最初の段階で相応の信用が求められるゆえ前世における気軽さはあらぬのじゃ。

「ミチカさんの調理関係の補助を務められるということでしたのでモリエさんの鑑札もただいまご準備いたしております」


 こちらから頼まねばと思うた時には先手を打たれておるのじゃ。なんとも侮れぬのじゃ。わらわの驚きとはまた少し違う感じでモリエも驚いておるのじゃ。

「口座の開設と、あとはミチカさんの代理として香辛料や薬種を購入できるようにしてあります」

 ただ、高級な品物の取引を任される担当者の顔が判らぬなぞと言うことが普通にはあらぬゆえ、最初に一緒に買い物に行って顔を通しておくようにとの忠告も受けたのじゃ。普通は代理であることを示す鑑札なぞも発行したりせぬそうなのじゃ。

「狩人と冒険者の鑑札を持ってる人はそこまで珍しくないけど、そこに商業組合の鑑札って……、ミチカの仲間って思われない?」

「なんという言い様なのじゃ! さ、三枚くらい普通、普通なのじゃ!」


「許認可をひとつ刻んだだけの鑑札、商業組合なら屋台とか露天市場とかへの出店権ですね。それならまあ三枚目でも不思議ではないですね」

 遠回しに否定されたのじゃ。なにやら釈然とせぬのじゃ。

「それは兎も角ですね、鑑札が届きましたら現地を見に参りましょう。そこを起点に見て回れる範囲の物件の資料も持って行きますのでよろしければ見て回りましょう」

「ミルケさんがつき合ってくれるのは嬉しいのじゃが、わらわ等はことのついでに香辛料なぞを見て回ろうかとも思っておったのじゃ」

 一件ならそこで分かれれば良いだけなのじゃが何件か見て回るのであれば予定を変える必要があるのじゃ。

「よろしければそれこそお付き合いさせてください」

 ミルケさんは物件周りと平行してわらわ等の買い物にも同行することを申し出て来たのじゃ。

 わらわの鑑札は確かに香辛料や薬種を扱うための認可が付与されておるのじゃが店側が信用せぬ可能性もあるゆえ組合の職員の自分が同行したいと言う話なのじゃ。面倒なやり取りを省略出来ると言うこちらに異存あるはずもあらぬ話なのじゃ。

お読みいただきありがとうございました。

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