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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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ダイスをコロコロなのじゃ

こんにちは。

三月ですね。ちょっと息切れ気味ですがよろしくお付き合いお願いします。


 カイザーシュマーレンを堪能して皆満足そうなのじゃ。冬に温かいスイーツは心が豊かになるからの。幸せなことなのじゃ。

 これのルセットに関しては一応商業組合や調理師匠合とやり取りをするかも知れぬゆえ料理人には外に出さぬよう命じることを頼んだのじゃ。エインさんの家で楽しむ分には何ら問題ないのじゃが。

 と言うより、この手の菓子のルセットは悩みどころなのじゃ。小麦の菓子は言ってみれば大抵模倣が容易いのじゃ。まあそれも踏まえてまとめて売り払うのも良いかも知れぬの。買ってくれるならではあるのじゃが。


「私は模倣が容易いとは思いませんよ」

「買う買わないで言えば必ず買うと思いますわ」

 リーエさんエッツェさんの嫁姑コンビは仲がいいのじゃ。

「一つ知っていれば推測できるものはあるかも。では最初が難しい。それと卵の白身がほんとに白くなる奴は以前にも使ってたけど多分このあたりの誰も知らない技」

「ふむ、そうなのかや。このあたりの料理人は熊さんしか知らぬからの」

 卵が高価であればメレンゲも珍しいのかのう。高価なものであればこそ調理に技法を凝らして欲しいものなのじゃが。


 モリエが双子等がまだ外で駆け回っておるなら回収して帰るとのことで今日はここで解散なのじゃ。

「では仮縫いの日は双子等を連れてくるのじゃ。そしてその日の夕にはジーダルの部屋で遊ぶゆえオルンにも言うておくのじゃ」

 先ほどの約束を一応再確認しておくのじゃ。

「うん、わかった」

「間に夕食が挟まるわね。私たちの宿でもいいけどジーダルとベルに一応相談しておくわ」

 セイジェさんは仮縫いが楽しみだわと言いつつモリエと一緒に帰り支度なのじゃ。

「うむ、頼むのじゃ」


「じゃあエッツェさんにはまたお世話になるわね」

「仮縫いの日もよろしくです」

 二人はエッツェさんに挨拶をして帰って行くのじゃ。わらわはエインさんの手が開き次第人狼ゲームなぞを作っておる木工細工の工房へ連れて行ってくれるとのことで待機なのじゃ。

 忙しない感じはするもののタスクはまとめて処理しておいた方が楽なのじゃ。既に明日は神殿と行き先は決まっておるし、商業組合には物件探しの件でも行かねばならぬのじゃ。香辛料探しやパン種購入なぞの買い物にも行きたいのじゃ。ガントの師匠にも会う予定だったのじゃ。

 いや本当に秘書が欲しいのじゃ。


 わらわがそう嘆息しておるとエインさんの手が開いたようなのじゃ。ちなみに嘆息ばかりしておったわけではなくこれまでに作った菓子のルセットなぞを書き出しておったのじゃ。こう行った仕事も面倒なのじゃ。

「魔力で押印する印章のように魔力で書くペンの類はないのかの」

「聞いたことはあるがそんなものに魔力を使う者は少ないのう。魔力とインクならインクの方が安かろうの」

 そう言うものなのかや。残念なのじゃ。

「貴族さまの御装具なんぞを扱っておる商人なら持っておるかものう。魔法具工房の職人とそう言う商人の心当たりに聞いてみておくことにするだの」

 おお、ありがたいのじゃ。

「貴族さまなら使うのかえ?」


「貴族さまは基本的に魔力が高いのう。古式を守ってる貴族さまだと爵位に相応しい魔力を持たねば位を嗣ぐことがゆるされないと言う話だの」

「インク代わりに使っても平気、と言うよりはそう言うことに使えるほど魔力が潤沢なのじゃと示す為じゃの」

「そう言うことだの」

 なるほどなのじゃ。

「冒険者をやっとる魔術師なんぞは貴族さまの三男坊や四男坊だったりすることもあるようだの」

 次男は嫡子の予備として逃げられぬのじゃな。南無南無なのじゃ。

「ま、ミチカちゃんならインク代わりに使ってもきっと平気だの。それはおいといて行くかの」

「うむ、案内をよろしくなのじゃ」


 馬車であったゆえ案内にはなっておらぬのじゃ。

 木工細工の工房はなかなかに大きなところなのじゃ。中では人狼ゲームの箱や札が大量に作られ加工されておるし、午前に話をした椿油の試供品と一緒に渡す木の櫛も既に量産体制に入っておるのじゃ。忙しそうゆえ気が咎めるのじゃが更なる仕事を頼もうかの。

 最初からわらわが指図しても怪訝な顔を向けられるだけであることくらい学習済みなのじゃ。ちゃんとエインさんを通して頼むのじゃ。

 とりあえず頼むものは三つ、なのじゃ。


 チェスタイプの駒の取り合いが既存の盤上遊戯なのじゃ。そしてコミュニケーションゲームの人狼ゲームを投入しておるのじゃが、後のゲーム作家を育てるためにゲームの奥行きを少しばかり広げておきたいのじゃ。

 ゆえにタイプの違うゲームとしてまず一つ、碁、なのじゃ。一対一の対決型であるのはチェス型と同じなのじゃが囲んで陣地をとる包囲あるいは陣取りのゲームで本質的にチェス型と異なるのじゃ。

 しかもルールは難しくないのじゃが奥は深いのじゃ。ただ、駒取りゲームに比べて抽象的であるゆえその点だけは難しいのじゃ。

「石駒には蛤のように肉厚な貝殻を使うのもよいのじゃがの」

「簡単な細工なら木材じゃなくても出来るはずじゃのう。素材に関して細工師匠合に怒られるほど作るなら話を通すにしろ、まずは試作だの」


 訊きたいことが素直に伝わって良かったのじゃ。わらわにはシンプルな碁石のイメージしかないのじゃが、昔の石には細やかな彫刻が施されたものもあったということゆえ高級品も作れるのじゃ。

 盤は十九路盤の他最初の手引きに使うため十三路盤も頼むのじゃ。盤の高さはテーブルにおいて対戦するゆえそう高くある必要はないのじゃ。

「これは簡単に思えると思うのじゃが、やってみれば奥の深さに得心行くと思うのじゃ」

「ふむ、やって見ねばわからんものだの。とりあえずミチカちゃんに渡す分、わしが預かる分、予備で三つ試作してもらおうかのう」

「そうじゃの。頑張ってくりゃれなのじゃ」

 職人が手元にいろいろ書き込みながら了承しておるのじゃ。石の数が大量に要る他は問題なく作れるはずなのじゃ。


 続いてはバックギャモンなのじゃ。

 ゲームの型としてはレースタイプ、駒をゴールさせることを競うゆえ所謂双六すごろくと同じタイプなのじゃ。うむ、冒険者双六なぞを作って見習いの見習いの遊び用に供してもよいの。それは兎も角、碁と違って作ってもらうものが多いのじゃ。盤の他、十五個の駒、二個のダイス、ダイスカップが片方分で二組、加えてダブリングキューブなのじゃ。

 うむ、最初からダブリングキューブを入れておくのじゃ。二十世紀に追加されたルールらしいのじゃがあった方がゲーム進行上便利ゆえの。

「問題はダイスなのじゃ。重心に大きなズレがあっては困るゆえきちんとした立方体になっておる必要があるのじゃ」

「占いで使うのは見たことがあるが遊びに使うのだの」

「占いなら絵柄かも知れぬが今回必要なのは数字なのじゃ。そしてダイスも魔物の角や牙で作らばまた良い味を出すのじゃ」


 収納空間で作った木製のダイスを二個見本として取り出し、それをダイスカップに放り込んでカラカラと振って目を出すのじゃ。

 うむ、ダイスを振るだけでも楽しいのじゃ。

「戦略性も無論あるのじゃが、ダイスによる運の部分が存在するのがこの手の遊戯の面白さなのじゃ」

 ダイスを取り上げわらわと同じように振ってエインさんもご満悦なのじゃ。

「これは面白そうですな」

「これ以外にもダイスを使った遊びはあるゆえダイスだけの生産も視野に入れてよいのじゃ」

 コロコロ。職人さんもコロコロしておるのじゃ。

「ダイスは大事なのじゃが、バックギャモンは遊戯盤が美しいのも大事だと思うゆえ頼むのじゃ」

お読みいただきありがとうございました。


昨日の前書きにも書いた今後の方針についてと言うかただの言い訳じみた雑文を活動報告へ。

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