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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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エインさんと魔法具工房のお話なのじゃ

こんにちは。

今日もよろしくお願いします!


 やる気とは大切なのじゃ。いや、<早足>に関してもサーデのやる気がなかったわけではあらぬのじゃがの。

 と言うわけで双子等とモリエは三人ともきちんとした祈祷で<早足>が行えるようになったのじゃ。うむ、ガントやベルゾも<早足>である必要はないのじゃがどれか出来るように仕込むかの。

 まあまずはこの三人に<跳躍>を教えるのじゃ。


「この<跳躍>なのじゃが、以前は生活魔法に入っておったゆえ比較的魔力を使わずに行使できるのじゃ」

「えー、なんで生活魔法じゃなくなったの?」

「塀を飛び越えて泥棒するのに向いておるからなのじゃ。ゆえに其方等も悪いことには使わぬこと。そして勝手に人に教えぬこと。これは守って貰うのじゃ」

「うん、わかった」

「了解ー!」

 注意事項はそれでいいかの。木札に魔法陣を魔力で描いて教材を作って伝授するのじゃ。


「木札がかさばるから紙の需要があるんだよ。安い木札の方を使ってみせるのは悪くないんだけど、木札は鞄にそんなに入らないから!」

 確かに曲がらぬし厚みもあるしかさばるのじゃ。肩掛け鞄にそんなに入らぬし、入っておったらその四角い板の形が外から分かるのじゃ。

「き、気をつけるのじゃ」

 双子等にも笑われたのじゃ。なかなか難しいのじゃ。逆に収納袋を入手して仕組みを調べ量産してしまうと言う作戦を考えるべきかも知れぬのじゃ。いや、貴重らしいゆえ簡単に手に入るものでもないとは思うのじゃがの。


「<早足>と同期して使うつもりのはずなのじゃ。で、あればなのじゃ、これは最初からしっかり祭文を覚えて持続時間や強度を強化できるようにするのじゃ」

「あ、そうだねー」

「その方がいいねー。サーデに詰め込むよー」

 生活魔法の祭文は簡単なのじゃ。そして三人も<早足>でコツを掴んでおるゆえそう時間は掛からずに完全習得できたのじゃ。

 飛び跳ねておる双子等をしばし眺めてからモリエと共にマインキョルトの城市内に戻るのじゃ。

 おっ、浜では網を曳いておるのじゃ。うーむ、今度改めて見物に来るとするのじゃ。


「あの調子であればあっという間に使いこなしそうなのじゃ」

「そうだね。と言うかあれって兄さんと連携とれるのかな」

「ど、どうじゃろうの」

 オルン、済まぬのじゃ。頑張ってくりゃれなのじゃ。

「私の射線上に入らないようよく言い聞かせる必要もあるね。動ける範囲が広がりすぎだよ」

「問題点も多いのじゃが、双子等は弱点を潰すより長所を伸ばす方が上手く行くと思うのじゃ」

「それはそうだね。強くなったのは間違いないよ。ありがとう」

「あらミチカちゃんにモリエちゃん、おはよう」


 おしゃべりしながら歩いておったらセイジェさんに出会ったのじゃ。偶然のようで待ち合わせで同じ場所へ向かっておるゆえ必然寄りなのじゃ。

「おお、オルン等は無事に帰れたかえ?」

「あはは。そんなには飲まされてなかったわよ」

 セイジェさんは相変わらず本人は色っぽいお姉さんなのじゃが清楚な街娘風ファッションが似合っておらぬのじゃ。足下は冒険者向けの頑強な皮の長靴であるしの。

「どうしたの?」

「いや、セイジェさんにはどういう服が似合うか思案しておったのじゃ」

「格好いいのが似合うと思うな」

「まあ! そうかしら」


「モリエはかわいいものが似合いそうなのじゃが本人の好みはまた別のようじゃの」

「うーん、狩人の質素だけど実用的な服に慣れてるからね。かわいい服が嫌いな訳じゃないんだけど気後れする」

「ふむ。仕立屋でいろいろ相談しながら誂えるとするのじゃ」

 女三人寄ればかしましいと申すのじゃがわいわいおしゃべりしながらエインさんの店に向かうのじゃ。いつの間にか両方から手を握られて真ん中で小さい子のようになっておるのじゃが、まあ良いのじゃ。


 そう言うわけでらんらんとエインさんの店に到着したのじゃが。お買い物に直ぐ出発とは行かなかったのじゃ。

 お菓子のおみやげでお茶になった後、しばらく魔法具工房の件で捕まったのじゃ。まあわらわがエインさんと話をしておる間、買い物を引率してくれるエインさんの息子さんのお嫁さん、エッツェさんとセイジェさんとモリエの三人は仲良く話をして親睦を深めておるゆえ良いのじゃが。


 エインさんがやる気にあふれておるのもよいことなのじゃ。

 まずは商業組合とのやり取りであるとか神殿の話からわらわが修道会を立ち上げたゆえ神殿のリーディンに話は通す必要はあるのじゃが提携に問題はあらぬこと、いろいろと話したのじゃ。ついでに互いの申請書類や権利書類を書いて署名して押印なぞの事務仕事もやって満足なのじゃ。

 折角ゆえ魔法具工房には出資しておくことにしたのじゃ。このやり取りは商業組合の口座間で出来るという話ゆえお試しなのじゃ。


 <洗浄>を習得するために神殿に来るものが増えておることを伝え、魔法具の開発販売は急ぐ方がよいことなぞを助言したついでに<回転>の魔法具が出来ぬか相談なのじゃ。

 最初あまりよく分かっておらなんだエインさんなのじゃが、どう使うかをわらわとモリエが説明するや家事を行うリーエさんとエッツェさんが食いついてきたゆえ需要があることが分かったようなのじゃ。

 ハンドミキサーとして使いやすいものを工夫して欲しいものなのじゃ。今わらわは<回転>を使って手の中でぐるぐる回しておるのじゃがグリップと回転部を分けることで上手く行くはずなのじゃ。


 棒状の回転部に小さい刃を取り付けて挽き肉を作るミンサーとフードプロセッサーを作ってもらえるよう図を書いて説明なのじゃ。

「これでなにが出来るかは魔法具になっておらんでも道具の方が出来ておればわらわが<回転>をかけて実演してやるのじゃ」

 挽き肉やリバーのパテなぞはなんなら手をかければ出来るのじゃが、面倒なのじゃ。

「魔法陣があれば工房で陣を写して魔法具化出来るのよな?」

「出来るぞ。一流の魔術師でなければ発動できないような魔術も一応魔法具化自体は出来るらしい。使い物になるかどうかは別として」

「ふむ、木札を持ってくるのじゃ」


 肩掛け鞄から無限に木札が出てくる不具合は修正されましたなのじゃ!

 わらわは賢いのじゃ。うむ。

「あのね、ミチカちゃん。そうやって魔法陣を魔力で描いて転写するとかものすごい高等技術だと思うわよ」

「えっ! 魔法陣と魔力の流れを理解することは魔法使いにとっての基本的なことではないのかえ?」

 歪みのない、奇麗な魔法陣を細部までぼやけさせることなく構築できることと、魔力の流れを理解して魔法陣の構成要素に適量の魔力を注ぐことは一端いっぱしの魔法使い足るための必須、どころか前提の条件だと思っておったのじゃ。思いがけぬ見解の相違なのじゃ。

「うーん、私はそう言う魔術師じゃないから分からないけど、ねえ」

 セイジェさんはそう言ってエインさんを見たのじゃ。

「うむ。これが普通なら魔法具製作も簡単なことだろうの。わしも素人じゃが確かに奇麗な魔法陣だの」


「魔法陣を組み替え、あるいは自分で組み立てて新しい魔法を作って使えるようになれば一端いっぱしの魔法使いだと言われたのじゃ。魔法陣を焼き付けるのは魔法をちゃんと使えるという程度の話でその一端いっぱしになる前段階に過ぎぬのじゃ」

「それ、文字(A級)にならないと冒険者とは呼べない、位の基準な気がするわね。ベルかガントくんに相談するまで人前では慎んでね」

 マーリィの基準ならその程度普通にあり得そうなのじゃ。

「それがよいだろう。しかし、工房に持って行く分には大助かりだの」

「うむ、気を付けるのじゃ。それはそうとして水の魔漿石がなければ難しいかも知れぬのじゃが、<創水>と、散々言うておるのじゃが魔力をよく食う<経時>の陣も渡しておくのじゃ」


「おおう、ありがとう!」

 エインさんほくほくなのじゃ。<経時>は<洗浄>なぞと同じく神殿扱いの生活魔法なのじゃがわらわの修道会と提携の契約を交わしておるゆえその提携契約の範囲内なのじゃ。

「道具の方の作りなんかも確認して貰わんとならんでの。出資者にもなったのだし工房にも顔を出して欲しいんだが」

「うむ、まあこちらもリーディンと会ってもらわねばならじゃろうの。日程を後で調整するのじゃ」

 わらわも秘書が要るのかも知れんのじゃ。最近そう思うほど忙しい気がするのじゃ。なにゆえかのう。

お読みいただきありがとうございました。

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